さて、今回レビューするのは「マリオ+ラビッツ キングダムバトル」。
この作品は今年の1月18日に任天堂から発売された、ラビッツとマリオのコラボゲーム。ジャンルはシミュレーションアドベンチャー。
プレイ時間は20時間弱。ぼくは結構ステージをやり直しながら丁寧にプレイしたので、クリアまで一直線で進めるのならばもう少し早くクリアできるかもしれません。
シミュレーションゲームとしては平均的なボリュームだと思います。
ゲームの特徴
タイトル通り、今作はマリオとラビッツ のコラボゲームです。
マリオの世界観にラビッツの要素が混ざった、というストーリーですが、作っているのはUBIなのでどちらかというと、任天堂のゲーム、というよりUBIソフトがマリオをリスペクトして作ったコラボタイトル、という印象を受けました。
ただし、ジャンルは両者とは異なりシミュレーションゲーム。 加えて、従来のシミュレーションゲームとは、一風変わったシステムを採用しています。
ぼくは類似のゲームをプレイした事が無かったんですが、XCOMというゲームと似通っているのかな?
システムに関して詳しくは後述します。
評価点
戦略性の高いシミュレーションシステム
今作は、ジャンルをシミュレーション(以下SR)、アドベンチャーと言っているだけあって、
一般的なSRPGに比べると、全体的に戦略性の高いゲームデザインになっていました。
まず、特徴的なのは味方の人数が少ないことです。
通常のSRPGは多人数のユニットを指揮して戦闘していく形式が普通ですが、今作はなんと味方のユニットは三人だけ。
つまり、少ないユニットを指揮して多くの敵をどうやって倒していくか、という戦略性に重点を置いているんです。
ただし、その分ワンターンに取れる行動が非常に多いんですよね。
というのも、味方のユニットはワンターン中に、移動、攻撃、スペシャルスキルの3つを一回ずつ使用できるんですよ。
そして、移動で敵にぶつかれば「スライディング」、味方の上を踏んづければ「ジャンプ」といった多彩な行動を取れるんです。
序盤に限っては出来る事が少ない物の、後半になってくればこれらの一つ一つの要素を上手く使う事で、ワンアクションから莫大なアドバンテージが取れるようになっています。
例えば、マリオのスペシャルスキル「ヒーローサイト」は、敵が範囲内に移動するとダメージが発動する、という待ち伏せ系のスキルなのですが、
移動するという点を生かして、通常攻撃でのバウンスを使って吹き飛ばす事で、能動的にスキルを使う事も出来るんです。
このように、出来る事が少ないように見えてやり方次第では、多くのダメージを稼げるという奥深さが、今作で非常に面白いと感じた点でした。
やり応えのある難易度
前述した通り、今作のシミュレーションシステムは、かなり戦略性が高いのですが、その要因の一つとして非常に難易度が高い、という事も上げられます。
今作、ただでさえユニットが少ないのに、敵からの被ダメージが非常に高く、回復も限られたユニットのスキルでしか行えない為、基本的には以下に相手の攻撃を受けずにクリアするか、というシビアな難易度調整になっているんですよ。
この難易度調整は個人的に絶妙でした。
確かに初見殺しの部分は少なくないし、何度か「は?」と思った箇所はあったのですが、きっちり考えてやり直すと上手く勝ててしまう、絶妙なバランスなんですよね。
適当に動かしているだけでは勝てない、だけどちゃんと考えれば勝てる、という今作の難易度はシステムとも絶妙にマッチしていたと思います。
奇妙だけど印象的な世界観
今作の世界観は全体的に奇抜、という印象でした。
話の流れ的にはマリオの世界観にラビッツのテイストが混ざっという感じで、冒険するのはいつものマリオの世界なはずなのに、どことなく違うテイストを感じられてそれが逆に新鮮でしたね。
フィールドの雰囲気が独特なのも印象的!
ワールドとしては4つしかありませんが、荒野のような森、凍っている砂漠、暗い墓、機械要素のあるクッパ城など、印象的に残る舞台が多かったですね。
非常にグラフィックも綺麗で見ごたえがあります。
ラビッツのテイストはちょっとクレイジーすぎて、微妙に困惑した部分もありますが、なんだかんだクリアまでプレイしてみると良かったなーと。
特にラビッツピーチは性能的にも必須級の能力だったので、マリオに並びずーっとスタメンで使っていたからか印象的なキャラクターです。
自撮りクレイジーなのはスパイスが利きすぎていると思いましたけどね。
スキル、装備のカスタマイズが楽しい
今作には従来のSRPGであるような、キャラクターの育成・カスタマイズ要素も存在します。
武器はコインシステムで新調していく形で、スキルシステムはスキルポイントを使って成長させていく感じになっています。
これらの要素は派手ではない物の、キャラクター毎に細かく性能が分かれているので、カスタマイズ性が高く、考える要素の強いゲーム性ともマッチしていたと思います。
それに加えて、良いと思ったのがステージが終わった際の評価システム。
これは、ステージクリアにかかったターン数と、戦闘不能キャラクターがいるか否かで、評価が出されるシステムなのですが、これが高いとボーナスコインが大きくもらえるんですよね。
つまり、よりキャラクターを強くする為には、上手くプレイをする必要があり、これが非常にリプレイ性を高めているように感じました。
難易度の高いステージでハイスコアを狙うのは少々骨が折れますが、やるだけどんどん成長させていけるので、次のステージもハイスコアが狙えるようになっているんですよね。
いい循環を生み出していたと思います。
ステージの合間に楽しめる探索要素
今作は、シミュレーションステージの合間に、探索が出来る要素が存在していますが、これも良かったと思います。
そこまで膨大なフィールドを探索できるわけではありませんが、仕掛けを解除して道を進めたり、宝箱を開けたり、マリオらしい赤コインを集めたりと、頭を使う仕掛けが色々と存在するので飽きずに進められました。
探索要素、として切り取ると少々物足りない部分はありますが、合間のサブ要素としては満足できる作りで、ステージと合わせて頭の体操感覚でプレイしていましたね。
いい意味でマリオっぽくない音楽
今作は音楽も中々良かったと思います。
城のBGMのようにマリオのテイストを受け継いでいる部分もあるんだけど、全体的にはいつものマリオと違う、映画的な落ち着いた曲が多くて、世界観にはいい意味で合っていました。
全体的にテーマを大事にしているな、と感じたのも好印象です。
バトルにしろ探索パートにしろモチーフを共有した曲がいくつかあって、それがステージ内で場所に合わせてシームレスで切り替わるので力が入っているなぁと感じました。
問題点
やや単調気味なゲーム進行
前述の通り、今作はのゲーム進行は、シミュレーションパートと、探索パートが交互に繰り返されて進んでいくのですが、少し単調すぎる気がしました。
と、いうのも探索パートはシミュレーションの合間にやる要素としては中々よく出来ているんですが、一つの探索ゲームとして見ると探索できる範囲も要素も少なく、単調気味なんですよね。
ステージからステージの合間がそれほどないのも相まって、探索的な要素に期待すると肩透かしを食らうかもしれません。
基本的にシミュレーションをするゲーム、と割り切ってプレイした方が良いと思います。
移動の際に誤爆が起きやすいシステム
今作、基本的にスライディングとジャンプを活用しながら進めていかないと、厳しい難易度なので後半になってくると、広範囲を行き来しながら進める事になるのですが、
ワンクリックしただけでキャラクターが進んでしまうので、何回か誤爆してしまいました。
一マスでも押し間違えると、致命的な事も少なくない高難易度なので、出来ればここは確認ボタンの導入でもしてくれると助かったと思います。
なまじ、リプレイもステージの最初からしかないので、一度押し間違えると絶望感が半端ないんですよね…w。
後半は連続で高難易度ステージをやらされることもあるので、最後の方で押し間違えた時にはもう…。
一部の加入キャラクターの加入が遅い
今作、一応キャラクターの加入がストーリー進行に従っているのですが、一部のキャラクターの加入がかなり遅いのが気になりました。
特にヨッシー!
ぼくはPVでロケットランチャーをぶっ放すヨッシーを見て、「あっなんか面白そうだな」と思っただけに加入が非常に遅くて残念でした。
最終ステージの半ばくらいでようやく仲間になるので、ストーリー中ではほとんど使用出来ませんでした。
まあ、一応ストーリーには活躍要素もあり、性能自体も申し分なく、加入からラスボス戦までは継続して使えたので、まだ良かったですけどね。
使えるユニット自体も少ないだけに、あんまりポンポン加入しても仕方がない、と考えたのだと思いますが、出来ればもう少し早くして欲しかった。
まとめ
こんな感じでしょうか。全体としては硬派ながらやり応えのある、丁寧に作られたコラボゲームだと感じました。
ストーリー要素や探索要素といったRPG的な要素に期待すると、肩透かしを食らうと思いますが、シミュレーション要素は非常に練られて作られており、考えるゲームが好きな方には非常に向いていると思います。
個人的にも、発売前にはさほど期待しておらず、まあ一応買っておこうかな、という感じで購入したのですが、思いの外楽しめました。
頭の体操感覚で一日一ステージ、とかいうペースでプレイしていたので、クリア期間はだいぶかかってしまいましたが、そのおかげか世界観に関しては丁寧に頭にインプットされた気がします。
総じて コラボタイトルとしては良質ですし、硬派なシミュレーションゲームとしても楽しめるタイトルなので、頭を使うゲームがしたいなぁ、と思っている方にはおススメしたいですね!