(2021年10月追記)
本記事は、2018年10月にアップした感想記事の再編集版になります。Switch版「CRYSTAR -クライスタ-」の発表に合わせて再アップしてみました。
(※本記事は2018年に発売されたPS4版を元に記述しています。2022年にSwitchで完全版が発売。内容自体は大きな変化はなし。)
さて、「CRYSTAR -クライスタ-」クリアしましたよ。ざっと感想を書いていこうかなと思います。
ちなみにプレイ時間は32時間ほどでした。クエスト要素もあまりないので、普通にプレイしてもこのくらいになるのではないかと。予想していたより少し長かったですね。
王道な名ストーリー
まず良かったストーリー部分から。今作は少女の涙をテーマにしたゲームという事で、鬱ゲーや泣きゲーみたいな雰囲気を想像している方が多いと思います。
実際、確かに話は暗いし、シリアスなんですがそれ以上に非常に王道的なストーリーでした。
いくつもの苦しみや悲しみを迎えながらも、その時の涙は無駄にならず先へ進む力になる。悲しい展開、鬱展開があってもそれはしっかり次への布石になる、というストーリー構成なので極めて王道的だと思います。
特に最終章へ至る展開のカタルシスは半端ない!敵だったキャラクターがその場だけ協力してくれる展開が好きな人にはおススメしたいですね。
全体的に伏線の回収も見事。描写が丁寧な分、どうにも違和感のある描写が残るキャラクターなどもいるんですが、それもきっちりと回収されるので気持ちが良いです。
以下ネタバレ含む感想。
ネタバレ(クリック)
個人的には、アナムネシス、千、小衣、みらい辺りの話が全て繋がっていたのがとても良かったかなと。記憶が残っているとはいえ、最後アナムネシスとみらいと共闘するシーン、色々な思いがあるはずなのに受け入れててみんな強いなって思いました。
一人の悪意が他人の復讐を呼び込み、更にまた他人の復讐を呼び込む。そういう輪廻が今作の悪魔が仕組んだシステムでしたが、結果的にそこでしっかりとぶつかり合ったこそ共闘できたのかな、と思うとループ内の色々な結末にも意味を感じられて、味わい深かった。
そう考えると主人公は微妙に主軸から外れている気もするんですが、久遠の存在だったり、777の存在だったりしっかりと結び付けられているので上手いシナリオだったなーと思いました。
丁寧なキャラクター描写
全体的にキャラクター描写も秀逸でした。
主人公、零は最初はとても弱くもろいんだけどストーリーを進むとしっかりと成長してくれるので最後の方はとても安心してプレイできました。
仲間になるキャラクターも描写もとても丁寧でした。復讐に囚われている小衣、正義に思い悩む千、何故か主人公と遊びたい777。
つらい悲しい過去を抱えている面々ですが、ストーリー中の掘り下げはばっちりですし、しっかりと自分の答えに辿り着くのでスッキリします。
個人的には777が一番好きかな。泣けるシーンも多かったです。
また、少数のキャラクターで関係性を綺麗に構築しているのも高評価したい部分。ほとんど出てくるキャラクターに無駄がありませんでした。
素晴らしい雰囲気作り
全体的に世界観の雰囲気は良かったです。
ステージは内容はともかくとして、各テーマに沿った幻想的な描写は美しかったですし、フィールドもかなり綺麗に描かれていました。
敵を倒して、その思念を清算して装備を得るという独特なシステムもゲームに良くマッチしていた印象です。
そんな世界観に合わせた削除氏によるBGMも素晴らしく、雰囲気ゲーとしては結構質が高かった印象です。
サントラ、出たら欲しいんですがどうせ出ないんでしょうね。ゲーム内で聞けるモードがあるだけまだマシか。
残念なゲーム部分
さて、残念な事にゲーム部分の話に入らなければいけません。
もう何からダメというより全てがダメなので、説明するのもめんどくさいのですが、一応細かく説明していきます。
つまらないアクション
今作、アクションが本当に面白くないです!
おそらく、開発はアクションゲームを他に作った事がないのだと思いますが、今の時代
ここまで爽快感もスピード感もないアクションゲームは中々ないですよ。
ブログ用動画テスト pic.twitter.com/B6PXIdOfzr
— bladbarn (@bladbarn02) 2018年10月31日
文で書くよりも実際に見てもらった方が早いと思うので動画を用意しました。見ていただければわかると思うんですけど、とにかく気持ちよくないんですよね。
遠くから遠距離攻撃してくるうっとおしいのが大体1セクションごとに数体存在しているので、とりあえず真っ先にそれを倒しに行かなければいかないんですが、 その作業を永遠と1ステージ間やる事になるのでとてもめんどくさいです。
スキルもキャラクター事に偏りが激しく、有用な物も終盤まで登場してくれないためテンポも悪い。
一撃食らっただけで吹っ飛ばされるスタン、ダウン時の謎無敵、回避不可の硬直、技の空振り、硬直ハメの連続かみつき、追尾ビーム、等々とにかく気持ちよくないアクション要素が満載でした。
必殺技のようなモードも発動すると無敵でもないくせに 前が見にくくなったりと全然洗練されていません。
(追記)
※追加実施されたバージョンアップデータにより、上記の点はいくらか改善されているようです。詳しくは下記PVを参照。
自動生成のようなマップ
これも先ほどの動画で何となく察してもらえたかと思うのですが、今作のマップは自動生成のごとく中身がありません。
セッションごとに分岐があるだけで、極めて単調。寄り道先にあるのは必要性の薄いアイテムのみ。
この内容を1ステージごとに、3回分やらされるのでたまった物じゃありません。単調なアクションと併せて、凄い眠くなりました。
敵は使いまわし、サブ要素は皆無
低予算のゲームにはありがちなことですが、本作は敵は一通り出尽くすと色違いのモンスターの使いまわしが始まります。
そして衝撃なのが、終盤になってくると色違いですらなくなってくることなんですよね。序盤のモンスターの名前違いみたいな感じで平然と出てくるので驚きました。
サブクエスト要素は皆無で、終盤に各キャラクターとイベントがある程度です。それはもっと序盤、中盤に入れて欲しかった。
ループオブループ
そんな内容を乗り越え、一周をプレイしたプレイヤーの心を折りに来るのが終盤のループ展開です。
今作、6~8章までを計三回プレイする必要があるのですが驚くことにステージは同じ、戦うボスも大体同じ。つまり三回同じ事をやらされるんです。
特に6章は遠くから状態異常を付加する遠距離攻撃を仕掛けてくる雑魚を、ボス扱いにして、5体同時出現させるとかいう、最恐最悪のクソボスが登場する場面なんですが、三回もやらされました。しんどかったです。
まとめ
こんな感じですね。一言でいうと記事名通り、質の高い設定、ストーリー、雰囲気を残念なゲーム性で味付けしたという感じの作品でした。
フリューにはありがちな内容と思いますが、他と比較しても、ゲーム性は質が高いとは言えない感じでした。
アクションゲームとしてあまりに洗練されていないので、アクション要素を求めて買うのはおススメしません。
ただ、世界観、ストーリーに関してはそれを差し引いても一見の価値があるかな、と僕は最後までプレイして思いました。
あまりアクション性の面白さを重視せず、一風変わった雰囲気のある作品、王道のストーリーがみたい!という人は、プレイを考えても良いかもしれませんね。