どうも、今回は「トライアングルストラテジー」の感想記事です。
プレイ時間は68時間32分。難易度はノーマルで遊びました。2周クリア+サブ要素は7~8割制覇でこのくらいという感じですかね。
1周の目安は難易度にもよりますが、大体30~35時間程度になるかと思います。
- オクトパストラベラーに続くHD-2D新規作品
- 選択が楽しめるゲーム性
- 王道戦記物として楽しめるストーリー
- 丁寧なキャラクター描写
- 奥深い戦闘システム
- 壮大で作品にマッチしたサウンド
- 気になった点
- まとめ
オクトパストラベラーに続くHD-2D新規作品
まず、最初に本作の立ち位置から。
本作はHD-2D表現で描かれたシミュレーションRPGで、HD-2Dの枠の中だとオクトパストラベラーに引き続く完全新作となります。
もっとも、開発を行っているのは別会社であるアートディングであり、共通しているのは表現とプロデューサーくらい。
内容の方も、一部ワードが共通しているくらいで明確な繋がりはなさそうなので、事前にプレイすべき作品などは特にありません。
ではそんな完全新規の本作がどんな作品だったのか、下記で説明していきます。
選択が楽しめるゲーム性
本作、最大の特徴は選択を楽しめるゲームシステムです。
ストーリー道中、主人公セレノアは度々、重大な選択を迫られるのですが、その選択を運命の天秤というシステムによって、プレイヤー自らの手で左右することが出来るようになっているんですよ。
運命の天秤は多数決での意見が採用されるのですが、プレイヤー自ら、各員に説得を行うことで意見を変えさせることが可能なんですね。(※交渉に失敗すると、意見が変わらないままのこともあります。)
これがとても面白く感じられました。
というのも本作の選択、いずれも明確な正解になっていないことが多いんですよね。
そのため何が自らにとっての正義かということを考えて選ぶ必要があり、物語をより実感を持って体験できる作りになっていました。
時にどちらも選びたくないような選択もあり、頭を悩ませながらプレイするのは辛くもあったけれど、とても楽しかった。
選択って、難しいね...。
もう片方の展開も気になる選択肢
物語中、そんな選択を数多く行っていきますが、運命の天秤パートが結構多いのもあり、その分岐数はかなりの数に上ります。
完全にすべてのイベントを制覇する場合は、4~5周要するほど。
もっとも、終盤の選択以外は物語を根底から変化させるほどの差は及ぼさないため、話の大筋が大きく変わるということはないのですが。
それでも、選んできた過程と最後に選んだ選択の流れによって、プレイヤー個人が体験する物語は大きく変わってきます。
選んだ後でやっぱりあっちを選んでおけば...。なんて気持ちになれるのも、絶妙な選択肢が多く存在する本作ならではの良さと言えるでしょう。
周回でも楽しめるような工夫
このように選択の楽しめる本作ですが、周回が楽しめるような作りもバッチリでした。
というか、2周目以降に解禁される要素がかなり豊富なので、周回前提といっても差し支えないかもしれません。
良い工夫だと感じられたのは以下です。
・1周35時間程度と周回しやすい程よいボリューム感。
・特定のルートを選択しないと加入しないキャラクターの存在。
・前に仲間にしたキャラクターは周回でもそのまま使用可能。
・レベルは引き継ぎだが、敵のレベルも周回に併せて上昇。
・2周目以降では選択によって得られる信念値(※)の値が表示されるようになる。
※Moral(道徳),Benefit(恩恵),Freedom(自由)の3つが存在しており、作中の選択肢によってもらえるポイントが変化します。
特に良かったのが、仲間、レベルの引継ぎとそれに伴う敵の強化。
通常この手の周回ゲームは、分岐前までのパートは同じなので、消化作業になりがちですが、本作の場合敵側も強化されるので、一周目では問題なく突破出来た敵に思わぬ苦戦をすることもあるんですよ。
勿論、逆にこちらの強ユニットを使用してあっさりクリアできるところもあり、プレイ感覚が異なる楽しみがあるんですよね。
このおかげで、ぼくは普段、あまりゲームの周回はしないんですが、本作の場合、全く苦になることなく周回で遊ぶことが出来ました。
王道戦記物として楽しめるストーリー
そんな分岐に富んだストーリーは中々面白かったです。
内容としては、王道のファンタジー戦記物なのですが、戦記物が好きな方であればニヤリと来るような設定が満載なんですよ。
具体的にポイントを上げると...
・「エスフロスト」「グリンブルク」「ハイサンド」の3国で成り立っているノゼリアという大地が舞台。
・塩と鉄の利権をめぐる各国の対立。
・平和な序盤から一気に戦火が巻き起こるギャップ。
・主人公であるセレノアは、巻き起こる戦火の中、自家ウォルホート家の存続のために、数多の苦難な選択を迫られる。
と、こんな感じ。どうでしょうか、ワクワクしますよね♬
特に序盤は感情を揺さぶられるような、シビアな展開が描かれるので一気に惹き込まれる作りになっていると感じられました。
こんな感じで進んでいくストーリーですが、中でも面白いのが色々な思惑が錯綜する展開です。
メインストーリーのサブ要素であるサブストーリー内では、それぞれの国家の思惑が描かれるシーンが挟まれるため、様々な視点から物語が楽しめるようになっていました。
各々の陰謀が渦巻く中、今後どんな展開に進んでいくのか、とりわけ中盤までの展開は先が気になって仕方がなかった。
丁寧なキャラクター描写
キャラクター描写も丁寧でした。
ストーリーに関わってくるメインメンバー8人は、ストーリー中のみならず、運命の天秤パートでも個々の主張を行うため、キャラクター像が非常に掴みやすくなっているんですよね。
個人的にはメインの中だとベネディクトが好きでした。
本作におけるBenefit(利益)を体現するキャラクターで、とにかく手段を選ばない、現実的で頼りになる参謀キャラなんですが、一方で内に様々な物を秘めている複雑な人間として描かれているんですよ。
ぼくは1周目は彼のルートを選択しただけに、2周目の最後のシーンではめちゃめちゃ感動してしまった。声優さんも演技も素晴らしかったですね。
また、サブキャラクターに関してもそれぞれ、定期的に
サブイベントが発生するため、そこで掘り下げを行っています。
なにより素晴らしいのが、戦闘時にボスとの因縁のあるキャラクターは、会話イベントが発生する仕様です!
本作のサブキャラクター、設定を見ると全然サブの位置づけじゃないようなキャラも何人かいるんですが、因縁ある相手との戦いに出撃してみると、しっかり会話してくれたりするので、より物語に深みがでていました。
終盤の某ボスは因縁あるキャラだらけで会話イベント7回くらい出ました。
奥深い戦闘システム
戦闘はオーソドックスなシミュレーションバトルに仕上がっていました。
特別なポイントはそこまで多くありませんが、個々のシステムがかみ合っているため、出来は良く感じました。
細かくポイントを語って行こうかと思います。
位置取りが重要なダメージシステム
戦闘時は位置取りがかなり重要になっています。
例えば高所から攻撃すると補正が入りダメージがアップしますし、背後からの攻撃は必ずクリティカルになります。
味方通しで敵を挟めば、連続攻撃が発生しますが、それは敵側も利用可能。
それ以外にも地形によっては、かなり細かく補正が入るようなシステムになっており、ワンアクションにおいても、事前に色々と考える必要がありました。
本作、被弾時のダメージがそこそこ高いのもあって下手にユニットを前に出しすぎると、的のようにボコボコにされますし、かといって、のんびりしているとどんどん敵が増えてくるマップもあるので、中々一筋縄ではいきません。
ポイントを見定めて、時に慎重に、時に大胆に進軍させていく。そんなじっくりと考える楽しさがあって、個人的にはとても楽しみながらプレイできました。
ユニットごとの個性付けが明確
本作、使用可能なユニットは全30体*1ほどいますが、いずれも性能に明確な個性を持っています。
そのため、戦闘においてどう使用していくのかの役割を決めやすく、色々なユニットを使用しながらプレイしていくことが可能になっていました。
勿論、ユニットの性能差が全くないわけではないので、どうしても出番の差が出はします。
それでも特定のマップにおいては滅法強かったりするユニットもいますし、そもそも進軍マップか、防衛マップによっても得手不得手が変わってくるので、偏りが出ないようにできる限り調整しようという工夫が感じられました。
そんな個性も多種多様。例えば的になる身代わりを作れるキャラクターであったり、地形利用に長けたスキルを複数持つキャラクターであったり、敵を魅了することのできる専用スキルを持つキャラクターであったり。
どんなユニットをどういう組み合わせで出陣させるか、そこをしっかり考えて、いざ上手くハマったときの気持ちよさは最高でした!
特徴豊かな戦闘マップ
ユニットと同じく、戦闘マップも多様性に富んでいました。
低所からの高所攻略、自陣防衛などシンプルな構造は勿論のこと、敵に見つからないようにしてクリアだとか、風変わりなステージも存在。
中にはトロッコやリフトなど、マップ内移動できるようなギミックが用意されているステージもあるので、飽きが来ませんでした。
ギミック、使うの難しいのも多いんですが、上手く使えるとさっくりクリアすることが出来るので、そこら辺もなれるまでの試行錯誤が面白いんですよー。
育成しやすい救済措置
キャラクターの育成しやすさも特徴です。
最大30体ユニットがいることもあり、どうしても成長が遅くなってしまうユニットも出てきますが、本作、コマンドアクションを行っただけで経験値が入る仕様のため、
高レベルステージで出撃させる⇒適当な補助コマンドでも使ってレベルアップ、⇒撤退コマンド(経験値とアイテムは取得状態のまま、戦闘前に戻る)を使用、
という流れで簡単にレベル上げが行えるようになっていました。
この撤退コマンド、他のRPGだと経験値の状態は引き継がれないことが多いので、かなりいい仕様だったかなと。
おかげで、出撃のキャラクター選択の幅が最後まで広いまま、試行を楽しむことが出来ました。
壮大で作品にマッチしたサウンド
サウンドは大河ドラマなどで有名な千住明氏が担当されていますが、オーケストラ音源で演奏された壮大な曲が多くて、戦記物としての内容に良くマッチしていました。
シミュレーションRPGというジャンルに併せてか、戦闘時の曲はいずれも一曲が長いという工夫が見られたのも良かったなと。
個人的に特に好きなのは「TRIANGLE STRATEGY -Main Theme-」。
メインテーマですが、激動から戦火が巻き起こっていく本作のストーリーを体現したような見事な曲調で最高なんですよー!
悲壮な雰囲気なのに、口ずさめるフレーズが作れるのって凄いですよね。
戦闘曲だとやはり「Combat -宿命-」かな。
曲名通り、作中の重要敵との戦闘で流れる曲なんですが、シチュエーションがとにかくよく、めっちゃ熱いんですよ!
本作の戦闘曲の中では珍しく、主張の強いメロディを前に持ってきた、熱いタイプの一曲なので、耳に残りましたね。
14章でのあいつとの戦いは最高に熱かった!
気になった点
中盤以降雰囲気の変わるストーリー
本作で一番気になったのは中盤以降のストーリー部分。
ちょっとネタバレにもなってしまうので、具体的表現は避けますが、簡単に説明すると、主人公たちに都合のいいように話が進みすぎな気がしました。
特に序盤がシビアな展開続きだっただけに、その打開をどう描くのかを期待していた所もあったのですが、ちょっとあっさり目だったような?
まあ中盤以降は中盤以降で、衝撃的な世界観設定が明かされたり、内部キャラクター同士の主張の対立など、前半とは別の魅力が描かれてはいるので、面白くないわけではないですし、個人的には最後まで楽しめはしたんですけどね。
序盤に描かれた物語展開の先としては、物足りなく感じてしまいました。
サブキャラクターのイベント作りが物足りない
本作、メインとなるメンバー8人はストーリー中でも多くの描写があるのですが、それ以外のサブで仲間になるキャラクターに関しては、キャラクターイベントという個々のイベントのみでの描写に留まっています。
これ、意図的な物だとは思うのですが少々物足りなかった。
というのも、サブキャラクターのイベントは1対1での会話に留まっていて、掘り下げが物足りないんですよ。
おそらく、敢えてサブ要素を表に出し過ぎない渋さを狙ったんだとは思いますが、サブキャラクターにも魅力的な面々が多いので、もっとイベントが見たかったのが正直なところです。
まとめ
と、こんな感じでした。全体的にはかなり楽しめた作品です。
シミュレーションRPGの醍醐味である試行錯誤に重みを置いた戦闘と、選択が重要なシステムを組み合わせることによって、じっくり考えることのできる楽しさを生み出せていたのかな。
ストーリーも完ぺきではなかったと思いますが、国家の思惑と徐々に明かされていく世界観設定がとても興味深く、最後まで飽きずに楽しむことが出来ました。
考える部分に重きを置いているため、戦闘はあまり考えずにサクサク進めたい、という方には合わないと思いますが、シミュレーションRPGが好きな方には是非遊んでみてほしい作品です!
かなり骨太な内容なので、ガッツリ遊びたい人にもおススメできますね♬
*1:特定ルートでのみしか、加入しないキャラクター含む。