どうも、ば~んです。
今回は「アノニマス・コード」の感想記事です。
プレイ時間は25時間弱。クリアだけならば20時間で、そこからバットエンド回収なんかをやっていたらこのくらい、という感じ。価格帯を考えると、やや短めの内容かなと。
発表から7年越しに発売された科学アドベンチャーシリーズの最新作
本作、立ち位置としては「科学アドベンチャーシリーズ」の新作となります。
ただし、内容としては独立しているので、単体作品としても問題なく遊べるのかなと。一部過去作のキャラクターも登場しますが、そこまで重要ではなかった印象。
後、本作発表から発売までが非常に長い作品でした。発表されたのは2015年だったので、なんと7年越しだったんですね。
なので、一部古いノリがあるかな?と思っていたんですが、意外にもそれはあまり感じませんでした。
後述しますが、内容の方はIT社会がテーマになっているのもあって、むしろ2020年代の今発売したからこそしっくりくるような描写も多かったので、ある意味ではありだったのかななんて。
セーブ&ロードを世界観設定に盛り込んだ斬新な切り口
そんな本作の最大の魅力は、メタ科学アドベンチャーの名に恥じぬ斬新なシステム面!
本作、俗にいうタイムリープものなんですが、その仕掛けにセーブ&ロード機能を採用しているんですよ。
主人公、ポロンは物語の中で定期的にセーブを行い、過去に戻らなければいけないときにロードを使ってその時点まで戻る、というのが本作のメインの流れになります。
このシステム、何が面白いかって、ゲームとしての魅せ方が素晴らしい!
例えば、ゲーム進行の部分。特定の場面でプレイヤーがロード画面を開くことによって、ロードを主人公に促しゲームを進行させていくという「ハッキングトリガー」というシステムを実装しているんですよね。
なので、さながらプレイヤーがキャラと共同で物語を進めているような感覚を得られるし、何よりゲームだからこそ成り立つ表現なので凄く新鮮な体験に感じました。
他にも、プレイヤーのセーブデータと主人公のデータが保存される場所が同じだったり、キャラクターがプレイヤーの存在に言及してきたり、メタらしい要素は満載。
このメタ表現、後半に行くと更に加速していくので、次はどんな展開が待ってるんだ!?というワクワク感を得られるのも素晴らしかったです。
こんなゲーム表現があるなんて!?
比較的王道なメインストーリー
そんな本作のストーリーですが、全体的に見ると結構王道的だったのかなと。
勿論、このシリーズらしく、色々な陰謀や都市伝説から構想を広げた裏の組織などの要素は入り交じっているんですけど、メインの部分はかなりまっすぐな作りというか。
主人公のポロンとヒロインのモモのテイストは、少年少女という感じなのでボーイミーツガール的ですし、他の科学アドベンチャー作品と比べても、若干年齢層が低めの印象です。
物語の方向も最初から最後まで大きく変わることはなく、使命のために頑張るヒロインと、そのヒロインを助けるために行動する主人公がという感じで描かれているので、分かりやすいかなと。
現代社会と良くマッチしているITテイストなイベント
ストーリーの中で面白いなと思った点の一つがITを軸にしたテーマ。
例えば、ストーリー中盤までに起こる事件はいずれもIOT(Internet of Things)テロをテーマにした事件になっていました。
例えば航空、仮想通貨、VR技術などなど。昨今の世の中の発展で、現実的に想像がつくようなテーマを採用しているので、興味を惹く作りになっているのがいいなと。
この手の事件を追っていくタイプの作品は数あれど、Iotにここまで絞った作品はあまり見ないので、いよいよ時代のデジタル化が進んできているんだなあという所も実感できて、より面白く感じられました。
他にも、例えばゆっくり解説が描写で登場したりだとか、終盤の展開に動画配信サイトが深く関わってくるとことか、
この時代だからこそ納得感が得られる描写が多かったのも良かったです!そういう意味では非常に現代的な作品だと感じました。
バビ肉とかいう単語が出てきたときは笑ったけど。
掘り下げ不足だが魅力的なキャラクター達
キャラクターに関しても良いキャラクターが多かった印象です。
前述した主人公とヒロイン以外だと、例えば、主人公の相棒クロスは冷静沈着で非常に頼りになるハッカーでした。
他にも、オズのおっさんと鮫洲室長のコンビ、サイバーフォースドール、謎の語尾のノンノや意外と頼りになるウィンドと、いずれも個性的でいい味を出しているキャラクターばかり。
それぞれ、ストーリーの中でも見せ場は存在しているので、一定以上の描写はあったかと思います。
ただですねえ、本編自体があまり長くないのと、個別キャラに絞ったイベントなどがないので、もっと彼らに関する話も見たかったのが正直な所。
それぞれ、精々1章活躍があるかないか程度なので、もうちょい日常パートでの描写とかが欲しかった。いい個性を持っているだけに、惜しいんですよね。何かファンディスクとかで補完して欲しいですけど、厳しいかなあ...。
科学アドベンチャーシリーズらしい重厚な設定
後はですね、設定面もつくりも面白かったです。
特に面白かったのが、「世界層」という概念。細かくはネタバレになってしまうので伏せますが、凄い設定を思いつくなと。成り立ちが分かれば確かにそうなるな、と違和感なく感じられる見事な設定に感服でした。
他にもこのシリーズらしく。既存の都市伝説や陰謀論から発想を膨らませたような描写も多く、豊かな発想力を楽しむことが出来て良かったです。
耳心地の良いテクノ系のサウンド
サウンド面の出来も良かったです。
作風に併せてテクノ系の曲が多いんですが、電子ピアノを使った音使いが優しくて耳心地がいいんですよね。うまくストーリーに集中しつつ、場に合うような曲になっていたかと思います。
個人的には事件のたびに流れる「PROGRAM」と、反撃の時に流れる「ACCELERATOR」の2つが特に耳に残りました。この2曲、メロディラインが共通しているのもいいんですよねー。
サントラ、欲しかったので限定版買えばよかったなと後悔しています…。いずれ市販してくれるんでしょうか...。
気になった点
後半のシナリオ展開がいまいち
本作のシナリオ。個人的には結構好きなんですけど、後半の展開はちょっといまいちに感じました。
3つ目の事件辺りまでは非常に楽しんでプレイできていたんですけどね、その後がどうにも駆け足気味に感じてしまった。
結局あの難所に答えが出せないまま、次のパートに行ってしまうのも含めて、遊んでてモヤモヤ感が残ってしまいましたし、
その後も妙に急ぎ足のせいで、キャラクター自体の掘り下げも物足りないし、ボリュームも少なくなってしまっていてちょっと尻切れトンボ感があるんですよね。
一応、最終盤の展開や結末に関しては個人としては満足しているので、なんだかんだ良かったかなとは思っているんですが、最高級の素材を活かしきれていたかと言われると何度も微妙な所で、もったいないな~と。
後半次第では、世紀の名作になり得たと思います。
ハッキングトリガーが分かりにくい
前述したハッキングトリガー。大変魅力的なシステムだったと思うんですが、気になる所もありました。
それは、どこで発生するのかが分かりにくすぎる点です!
シーンごとに、ハッキングトリガーイベントが設定されているようなんですが、1文でも過ぎてしまうと反応しなくなってしまうので、かなり指定が細かいんですよね。
なので読み進めているとすぐ、その時点を通り過ぎてしまうし、バックログから戻るなんてやり方も出来ないので、非常に分かりにくく感じました。
おまけに、イベントリストやフローチャートもないので、どこで見落としがあったのかすら分からないという。
システム自体は面白いだけに、それをもっと活かすような作りにして欲しかった。
終盤の攻略難度が高すぎる
後はですね、終盤の攻略難易度も異様に高いです。
プレイヤーが手動で進めていく仕掛けを盛り込むこと自体は面白いし、好きなんですけど、いくらなんでもヒントが少ないですよ!
特に終盤で発生する2つの詰みポイントはシビアすぎる気がしました。前者は、そんな結構前のテキストまで細かく覚えてないよって感じ。後者はもっと意味わからなかった。
仕掛け自体は悪くないだけに、もう少し効果的な導線が引かれていると良かったかなーと。
まとめ
以上、感想でした。
ちょっと物足りない部分はあった物の、全体的には楽しめたので、十分良作だとは思います。
ただし、発売まで7年も掛けたことや、過去の科学アドベンチャーシリーズとの対比を考えると、シリーズファンにはガッカリ感を持たれるのも仕方ないのかなという感じ。(後は余計な社長の炎上の件とかもありますが。)
ただ、そこをあまり気にせず、単体として遊ぶ分にはそれなりに楽しめるクオリティではあると思います。
とにかくアイデア面の着想と、ITをテーマにした作風自体は素晴らしいので、そこに興味を持った方は是非体験版を遊んでみてください!
個人としては今後の作品展開も期待したいんですが、どうなるかな~。あまりセールスは振るわなかったようですが....。