どうも、ば~んです。
今回は「都市伝説解体センター」の感想記事です。
プレイ時間は11時間弱。割と丁寧に遊んだつもりですが、1話1.5~2時間程度のボリューム×6話という感じ。2000円という価格帯的には申し分ないボリュームかなと。内容が濃密なわりに、サクッと遊べるのが魅力でもあるかなと感じました。
都市伝説を軸に、事件の謎を解いていくアドベンチャーゲーム
本作、ジャンルとしては謎解き系のアドベンチャーゲームになるのかなと。
謎解きと言っても、自分で導線を明確に引いていくわけではなく、あくまで、調査した結果を整理して一つにまとめるという形なので、逆転裁判の調査パートみたいなイメージが一番近いかなと思います。
ポイントになっているのが、都市伝説をテーマにした事件であるということ。本作で扱われている都市伝説はインターネットに詳しい人であればどれも聞いたことがあるようなものばかりで、そこから着想を広げて事件という形に落とし込んでいるのが非常に面白いし、巧く感じました。
なお、やや硬派な見た目なので怖い作品なのかな?と思われてしまいそうですが、メインはミステリーサスペンスで、ホラー要素はぼちぼち程度でした。同ジャンルの他作品と比べるのであれば、パラノマサイトよりも怖くない、くらいな感覚です。なので、ホラーが苦手な方でも遊ぶことは全然可能かなと。
以下では、そんな本作の魅力を紹介していこうと思います。
丁寧に良くまとまった、一話ごとの横軸ストーリー
本作、まずストーリーがとても面白いです。全体で見ても面白いんだけど、1話ごとの完成度も高め。
都市伝説を彷彿させる事件の内容はショッキングなものが多く、インパクトがありますし、その上で、都市伝説の中にある本質を「解体」することで謎を明らかにしていく流れは、どこから紐解かれていくのかという所にワクワクしながら読み進められました。話数ごとに毛色の違う都市伝説がテーマなのも飽きない作りで素晴らしい。
また、都市伝説というと、方向性的にはオカルトチックなので、超異常現象のような突拍子もない設定が出てきそうですが、そういう部分は本作はあまりなく。あくまで、都市伝説の背後に潜む闇を現実的な視点で描くという匙加減も好印象。
事件自体に意外性はしっかりありつつ、プレイヤーが置いてけぼりになるシーンはあまりないので、ミステリーゲーム初心者でも追いやすいつくりになっていたのではないかと思います。
過去の事象を視認して、推理を進めていく探索パート
本作、基本的には色々な場所を調べたり、人に話を聞いたりする探索パートがメインです。これだけだと他のアドベンチャーゲームとも大差ないですが、特徴的なポイントが何点かありました。その一つが、眼鏡をかけることで、過去の痕跡が覗けるシステム。
痕跡は怪異のような形で出てくるので、見た目的にもインパクトがあるし、謎を解くカギに繋がっているので、新鮮味があって面白い仕様でした。直接的な答えが出ているというわけではなく、なぜその姿で表示されているのか?という点もヒントになっているような感覚で良き。
もう一つ良いと感じたので、情報の整理の仕方が丁寧な点。定期的に集めた情報で仮説を立てるパートがあり、そのすべてが集まった段階で「解体」が始まるので、流れが分かりやすかったと思います。
最後の解体シーンも出来が良い!カットイン演出と共に、これまで調査した内容を元に謎を紐解いていく感覚が気持ちよく、思わずモーションを真似したくなってしまう爽快感がありました。
とこんな感じで、シンプルながら探索パートの出来は良く、サクサク遊び進められるのも本作の魅力の一つ。地味に会話シーン時に会話の選択肢で選択していないものがカーソルの一番上にくるなどの便利な仕様もgood!
今の時代をうまく表現したSNS描写
ストーリーの面白さ、探索パートの魅力。基本的な本作の軸はこの2つですが、それだけではなく、更にもう一つのポイントがあります。それがSNS調査。本作ではTwitter,もといXを模したSNSを使って情報を収集していくパートがあるのですが、これが非常に強烈でした!
というのも、現実的な再現度がかなり高いんです。特にマイナス表面で。昨今のSNSはポジティブな要素よりもネガティブの要素の方が目立ちがちな印象で、無責任で身勝手な発言が目立っていると思いますが、まさにそうした書き込みが本作の調査パートでは山ほど出てきます。
これは開発側が実際にSNSと深く付き合っているからこそ、出てくるものを感じられたので、不快感はあったけれど、一周周って感心してしまった。
本作においては、このSNS描写もストーリーの中で絶対に欠かせない要素になっているので、この再現度合ってこその説得力が生まれているという意味では素晴らしかった。
今の時代だからこそ、説得力のある描写に仕上がっているなあ。
上手く隠された先に繋がる伏線描写
このように本作、1話ごとの話だけでも十分面白いと感じられるクオリティなんですが、それに加えてすごいのが、それぞれの話に先に繋がる伏線が用意されていること。
それも、その時点では分からないけど、後で読み返すと分かるような、絶妙な隠し方で置かれているので、話としての構成が非常に巧みです。
細かく語るとネタバレになってしまうので説明しにくいのですが、本作は絶対にネタバレを踏まずに読み切って欲しい。そんなタイプの作品です。
魅力的なキャラクターたちが織りなす掛け合いの魅力
本作、キャラクターもとても良かったです。主人公のあざみことあざみーは、気弱で天然系だけど強い善性を持っていて、徐々に成長しながら事件を追っていく姿がとても王道的でかわいいキャラクターでした。リアル寄りな描写が多い中で、こんな子いるわけないだろ!って思ってしまうくらいの光属性。
また、相方として事件についてくるジャスミンは、冷静な姉御肌という感じであざみーとの補完関係が絶妙でとにかく掛け合いが良かった。あざみとジャスミンの関係性で描くSNS調査の楽しさよ!
そして、解体シーンを盛り上げてくれるセンター長も欠かせないキャラ。一見不気味そうに見えるんだけど、色々と会話シーンを見ているとなぜか愛着がわいてくる不思議なキャラクター像がすごい!基本、メインメンバーはこの3人だけなんだけど、彼らが非常に良い組み合わせだったので大満足でした。
欲を言うのであれば、彼ら3人で進めていく物語をもっともっと見てみたい!本作、色々メディア展開もあるっぽいので、ちょっと追ってみたいなと思ってます。
耳に残るサウンド
サウンドは全体的に出来が良かったと思います。
作風に合わせて、暗めでおどろおどろしい電子系のサウンドが多めなんですが、不思議と耳残りは良くフレーズが耳に残るのがなんだか不思議な感覚。
【シンセサイザーを多用した曲調】が【ドットで表現されている本作】に【絶妙にマッチしているの】が要因かも!?
ゲーム演出と併せた作りも良く、毎章ごとの解体に合わせた「KAITAI」はゆったりとしたテンポながら盛り上がる曲調だし、終盤に流れる「Truth」はこのゲームで唯一といってもいい王道的な盛り上がりが見れるシーンで流れるので、とても記憶に残る。
そしてやはり欠かせないのが、毎章ラストに流れる主題歌「KIKIKAITAI」。最初聞いたときは「ん…?」と思ったものの、章ラストの幕切れからの次章への伏線と共に流れる演出はプレイヤーを魅了すること間違いなし!クリアした後に歌詞を見ると、本作を象徴する曲だなーって思えるのもいいですね。
気になった点
一方通行なゲーム進行
本作、気になる点はあまりありませんでしたが、一行通行なゲーム進行に関してはややもったいなさを感じる所がありました。
セーブデータを複数に分けたりすることはできなしですし、手動セーブもできないので、基本要素は取り逃したら、後から見ることはできないですし、話数が切り替わるとそれまでに見れた人物相関図の情報が見れなくなってしまったりするんですよ。
なまじ丁寧に作りこまれているだけに、一回きりの仕様になってしまっているのが何とももどかしく。ここら辺は、本作が仮に好評で完全版などの発売があれば、もう少しリッチな仕様にして作りこんでくれると、より沼が深くなる名作になるのかなと思うので、期待したいですね!
まとめ
以上、感想でした。これは名作です!発売日時点ではスルーしてしまっていて、評判の良さを察知して購入してみたんですが、大当たりでした。これをスルーしてしまう自分の嗅覚の無さを恥じます。
とにかくストーリーの部分が最大の魅力になっているので、それに関して話せないのがもどかしいですが、都市伝説やミステリーが好きな人はぜひ遊んでみてほしい!後、探索して情報を整理していく、という流れもシンプルにまとまっているので、そういうアドベンチャーゲームが好きな人も楽しめるかなと。
個人的にはもう本作をクリアしてから、しばらく本作のことをずっと考えてしまっていて。ここまで心、記憶に残るノベルゲームはパラノマサイト以来なので、すごく満足度高かった。本作、バックに集英社がいるということで、色々なメディア展開も期待できそうなのも良いですよね。しばらく追いかけてみようと思います!