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【レビュー】パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語【感想】方向性は青春ミステリー軸にシフトしたが、シナリオの完成度は圧巻の出来!

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どうも、ば~んです。


今回は「パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語」の感想記事です。

プレイ時間は、12時間弱。なめどりとエンディング分岐はすべて網羅したので、やり込みとしては一通り完走できたかなという感覚です。前作が8時間ちょいで終わっていたので、大体1.5倍ほどのボリュームかなと思います。ボイスがなく結構サクっと読み進めていたというのもあるので、人によっては、もう少し読み進めるのに時間がかかるかもしれません。

のゲームのポイント!・1980年代の三重伊勢湾を舞台にした、パラノマサイトシリーズ第二作目。
・前作とは異なり、ホラー感が薄く青春サスペンスといった雰囲気のシナリオ。
・先が気になるストーリー展開は前作以上の圧巻の出来

前作から3年ぶりのパラノマサイトシリーズ2作目

本作は「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」に続く、ゲーム版パラノマサイトシリーズの第二作目です。ただし、ジャンルはホラー感が弱まり、青春系のサスペンスミステリーといった感じの雰囲気。


今回の舞台は三重県の伊勢湾で、主に人魚に纏わる伝承や怪奇がストーリーの軸。前作で登場した呪いの設定はそのままに、各地に伝わる人魚伝説を様々な角度から再解釈したような形ですね。なので、伝記系のミステリーが好きな人は変わらず楽しめるかと。


前作は特に夜パートの前半部にホラー要素が集中していましたが、今作は舞台自体が景観豊かな孤島で、明るい背景のパートも多く、おどろおどろしいシーンも少なめでした。全くないとまでは言いませんが、これくらいであればホラー要素をそこまで警戒する必要はないかなと思います。また、前作との繋がりもそこまで深くないため、本作からでも十分楽しめる作品です。

そんな本作の特徴は下記でまとめていきたいと思います!

複雑に絡まった謎を解き明かす、鮮やかなシナリオ構成

本作、シナリオについては前作以上だなと感じました。前作も非常に素晴らしかったですが、それ以上にハマって一気に読み進めてしまった。


まず良いのが、プレイヤーを飽きさせない怒涛の仕掛けです。冒頭からいきなり衝撃的な展開を描くことで、興味を惹かせるのは前作からそのままに、時系列のシャッフル要素が加わりました。このおかげで、一度読んだパートの意味合いが後の描写を踏まえると変わってくるという、アドベンチャーゲームならではの魅力が加わっています。

肝となっているのは、本作の冒頭で描かれるある事件。これを解決するというのが、中盤までの話の軸になっています。


事件の背景には様々な謎や思惑が隠されており、複雑に絡まった真相を明らかにするために、色々な視点から物語が繰り広げられるのですが、ここがもうあまりに面白すぎる!最初、何が起きているのかすら分からない状態から、少しずつ情報が集まっていく感覚が最高に楽しく、ノンストップで読み進めてしまいました。

複合的な事象によって隠されている真実を明かしていくのは最高だ!


前作とは違い、終盤のどんでん返し的な要素こそ少なくはあったものの、意図的なミスリードや時系列の操作などで最後まで意外性はある内容に仕上がっており、とにかく密度が高い。ここまで一気に読み進めたくなる作品には、なかなか出会えません。

人魚伝説を再解釈し、シナリオの中核に置いた大胆な設定

そんなシナリオの魅力をより濃密にしているのが、設定の核となる人魚伝説。本作は舞台となる伊勢湾に限定せず、日本各地に残されている人魚伝説を丁寧に取りまとめたうえで、設定に再構築しているので、前作に続き伝記系のノベル作品としてのレベルが非常に高いと感じました。


何より、史実からのエッセンスの抽出がとにかく上手い。本作、前作の七不思議よりも更に深く、直接的な歴史のエピソードから要素を持ってきているのですが、「なるほど、そうくるか!」とストンと落ちてくるほど、説得力あるまとめ方をしています。まさか、これだけ盛り込んで「人魚姫」要素まで入れてくるなんて。


もちろん、前作にあったような土地固有の文化や風習といった設定面のTipsも引き続き登場。三重の伊勢湾、まったく行ったことがないんですが、海や神と隣り合わせの文化はどことなく異国感があり、とても魅力的に感じました。

前作より行くハードルはかなり高いけど、ちょっと行ってみたい...!

相変わらず魅力的な、小気味いい会話劇

登場するキャラクターは前作に引き続いてとても魅力的でした!基本的には前作を踏襲した2人セットのバディの描き方となっており、掛け合いが相変わらず楽しいです。キャラクターの方向性も前作とは敢えて少し変えていて、マンネリをほぼ感じないのも良かった。


個人的には勇佐と里の二人が特に好き。この二人の何とも言えないセリフ回しはこれぞパラノマサイト!という小気味いい会話シーンを作りだしており、ついくすりと笑ってしまう魅力があります。この二人に関しては、プレイヤーには見えない所の思惑が最後まで隠されているのも、ある種では信頼できない語り手要素に繋がっていて、先が気になったなー。


変な選択肢を選んでもそれに合わせた反応があったりだとか、キャラごとの反応作りがとにかく細かいので、キャラクターに愛着が持てるのも良いですね。勇佐くんにはずっとボケ倒しててほしい。

要素としても面白く、作品の一要素としてまとまっている素潜り漁パート

本作、ゲームパートにも前作から進化している点を感じました。それが「素潜り漁」。


主人公が海女という設定というのを活かして、なんと序盤から海中を移動できる探索要素が用意されているんですよね。アドベンチャーゲームに必要な要素なのか?と発売前は少し懐疑的だったのですが、これが中々面白いんです!


と、いうのも基本的には海中に潜って漁をしていくだけですが、海底から船までの距離が遠く、少しでも欲張ると酸素切れでゲームオーバーというかなりシビアな難度設定になっているんですよ。なので、最初は少しずつ集めながら経験値を手に入れて、レベルアップしていくことで探索範囲が広がるというデザインになっていました。



このデザイン、ゲーム的には成長要素として面白いし、海女のシビアさを表現している点も良いし、何よりストーリーの設定面にもしっかり食い込んでいるのが素晴らしい!ゲーム的な面白さと、作中の設定と、風土の雰囲気。いずれの表現にも貢献していて、素晴らしい役割を果たしていました。

相変わらず面白いアドベンチャーゲームとしてのギミック

前作から存在したアドベンチャーゲームならではのギミックも引き続き続投。本作は謎解き系の仕掛けに力が入っていた印象です。



ホラー味が薄れたおかげで、緊張感は薄く、じっくりと謎解きが出来るので中々楽しかった。


また、これ以外にも前作であったアドベンチャーゲームならではの要素は健在。ちりばめられているなめどりはもちろんのこと、終盤に向けたメタ要素も続投。今作は前作よりも更に凝った仕掛けになっていて、難しすぎるようにも感じたものの、内容としてはとても力が入っていて面白かったです。

気になった点

ルートやエンディングの整理が微妙なフローチャート

本作、唯一気になったのがフローチャートです。前作と似たようなシステムを採用しているのですが、少しUIがいまいちに感じました。


気になったことは二点あって、一つ目はルートが分かりにくい所です。本作、前述のとおり、時系列の入れ替えギミックを入れているのですが、一部IF展開によるルート分岐があるんですよ。ここの分岐がフローチャート上だとはっきり表示されていないので、視認性が悪く感じました。

もう一つはエンディングの表記です。前作から続いて、真エンド以外にもいくつかエンディングが用意されていますが、フローチャートの仕様上、エンディング表記がはっきりと記載されないので、これまた視認性がいまいちです。結局何個エンディングがあるのか、ゲーム上からは判断できませんでした。

致命的とまでは思わないですが、複数ルートのあるアドベンチャーゲームとしては少し残念かなと。

まとめ

以上、感想でした。いやー、今回も最高でした!2月にして、早くも今年ナンバーワンアドベンチャーゲームを引いてしまったかもしれません。

方向性こそ前作のホラーテイストから変わったものの、前作の良さだったシナリオ構成、キャラクターの魅力、風土に合った設定などは全て継承され、少し違った味付けでまとまっている傑作です。怖い演出こそ減ったものの、サスペンス色はしっかり残っているのでミステリーが好きな人にはより楽しめる配分だったかと。

シリーズとしては、前作のキャラは登場させず、流れの関係だけ少しだけ提示する、みたいな配分は良いと感じました。それくらいであれば、どこからでも遊べるシリーズになりそうなので。本作も評判よさそうですし、今後も積極的にシリーズ展開してもらえると嬉しいですね!

前作の時は舞台の聖地巡礼もして記事化もしたので、今回も出来ればやりたい...!コラボとかも始まったみたいですし、離島ということもあってなかなか足を運びづらいですが、なんとか機会を作りたいところです...笑。