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【レビュー】ロストスフィア【感想】改良点も多いが、相変わらず無難な作り

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さて、ではレビュー記事。今回レビューするのは「ロストスフィア」。

【Switch】ロストスフィア

【Switch】ロストスフィア

  • スクウェア・エニックス
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この作品は2017年10月12日にスクウェア・エニックスから発売されたRPG。


製作はTokyo RPGで実質的に「いけにえと雪のセツナ」の後継作と考えて問題ないと思います。

ゲームシステムも共通している点が多いですし。前作から1年半というかなり早いスパンでの作品になりました。

ついでにPSVがマルチから外され、代わりにロンチタイトルでセツナを発売したSwitchが加わっています。

プレイ時間は25時間ほど。キャラクタークエストは全てクリアしたので達成率的には80%くらいですかねぇ。

前作から価格が1000円上がった割にはボリュームはあまり変わっていませんでした。

ゲームの特徴

今作は前作同様、昔のRPGを意識した作品です。基本的に前作をベースとして作られている為、大きく革新的な点はありませんが、いくつか変更されている点もありました。

 

まず、今作の主人公は普通に喋ります。前作の主人公に比べると少年的な要素が強いキャラになっています。パーティーの雰囲気も前作に比べるとやや緩めな印象でした。


そして、今作は世界観に沿ってフィールドでアクションを取れたり機装という機械にのっての移動や戦闘を行う事が出来ます。


ただ、やはりアクセントの付け方が変わったという程度にとどまっており、基本的には舞台とキャラクターが変わって改良されたセツナという感じでした。

評価点

より楽しくなった戦闘システム

今作で一番楽しかったのは戦闘システム。前作で元々面白かったのが更に進化してより楽しくなりました。


セツナシステムや宝石によりスキルシステムは前作と同様ですが、特筆すべきは位置取りの概念が出てきたこと。

これにより範囲攻撃をどう動かして敵全体的に当てるか、キャラクターをどう配置して敵の攻撃を避けるか等といった駆け引きを、能動的に行えるようになっているのがとても面白かったです。



そして、制限こそある物の機装による戦闘も中々派手で良かった。機装には各キャラクター毎に使用できる専用のスキルがあるんですけど、これがどれも強力なんですよね。


思う存分使えるのは終盤になってしまうのが少し残念ですが、派手に大ダメージを連発できるのはかなり楽しかったです。

戦闘バランス自体も、要はやる前にやれといった割とインフレ気味でしたが、所々に強敵がいたので歯ごたえも割とありました。


特にラスボスは強すぎて3回ほど負けてしまいましたよ。防御コマンドや状態異常を防ぐアイテムなどがないので、攻撃で押し切られやいんですよね。あれは中々きつかった。


他にも連戦の所も多いし、死に際に大ダメージを出してくるボスも多く、一筋縄ではいかない箇所も多かったと思います。

戦闘に貢献するアーティファクト設定が面白い

今作ではワールドマップで至る所にロスト現象が発生している箇所があります。


その個所では記憶という戦闘や落ちている物を拾う事で手に入るアイテムを使って、アーティファクトという建物を設置する事が出来るんですが、これが中々面白かった。

ただ、建てるだけなのでその部分に面白みはありませんが、この「アーティファクト」は、戦闘や移動に影響を及ぼす特色を持っているんですよね。


例えばワールドマップでもいつでも地図が見ることのできる建物だったり、バトル中に敵のスタータスが見えるようになったりする物だったりと、種類は多岐にわたります。


基本的に冒険を快適にする種類が多い性質上新しいのを建てたくなる、という部分はシステムとして成功していると思いました。色々付属効果がついてるのを見るのは楽しいしね。

設定の凝っているストーリー

今作はストーリーの全体の流れは前作よりも良くなっていると感じました。


世界の消滅と月をテーマにした壮大なストーリー
は所々の伏線を含めて中々丁寧に展開されており、ロスト現象の真実や黒幕の思惑などは、いい感じにまとまっていると思いました。


また、各キャラクターも前作より魅力的だったと思います。個人的に特に好きなキャラクターだったのかヴァン。


パッケージで裏に主人公(カナタ)と共に描かれているだけあって、ストーリー中での存在感も大きいキャラクターでした。言動は冷たいけど仲間思い、そして責任感の強いという性格はストーリー中遺憾なく発揮されていて良かったと思います。(多少気になる部分はあったけど。)


他のキャラクターも前作同様キャラクタークエストで保管されているので、割と良いパーティーだなとは思いました。やや空気なのもいるけど。


ストーリーの全体的な流れは前作同様切ない感じのエピソードが多いですが、問題が解決した後の流れは前向きなのでそこまで雰囲気は暗くありません。


唯一ラストの展開は若干スッキリしないかも。前作ほどではないですが、ビターなエンドなのでそういうのが嫌な方はご注意。

総じて悪くない程度のストーリーにまとまっていると思いました。前作の切ない感じのエピソードが詰まったストーリーもそこそこ好きだったけど、今作は規模が大きくなっていてより良かった。

特にラスボス戦は音楽も相まってとても熱いので印象的。が…→問題点へと続く。

相変わらず素晴らしい雰囲気

何度もここについては言及していますが、今作はとにかく雰囲気が抜群に良かったと思います。


消えていく世界を舞台として、中核になっている月の描写に拘った景観。ここに一番力を入れたんじゃないかなと、思うくらいに頑張っていたと思います。


個人的にかなりお気に入りなのが、飛空艇で飛んでいるときのカメラワーク。


世界全体を映しつつも、月をこれほどまでにと強調したシーンは、非常に美しく特に意味もなく飛び回ってしまいました。こんなカメラワークは初めて見たのでそういう意味でも印象的でした。

素晴らしい音楽


音楽は抜群に良かった。切ない世界観に絶妙にマッチしているメインテーマ、フィールド曲、通常戦闘曲に始まりクオリティの高い曲揃いです。メインテーマをアレンジしている曲も多く耳に残りますね。

個人的に印象的だったのは終盤のコーラスが入ったボス戦とラスボス戦。特にラスボス戦はメインテーマのアレンジを全面に押し出した曲で、激しさと切なさと熱さが入れ混じった素晴らしい曲でした。


相変わらずイベント曲も切ないメロディが多くて印象に残るし、音楽に関しては文句なしでした。

前作からの改良点が多い

今作は前作から改良されている点も多かったです。まず、前作のPSV版で見られたようなカクつきや長すぎるロードがなくなりましたし、前作でぼくが文句を言っていた強敵も消えました。

また、キャラクターの装備カスタマイズの枠も前作から広がりましたね。戦闘に加えて色々なカスタマイズが考えられるので、そういうのも好きな方にはおススメできるかも。

問題点

冒険をしている感が弱い

今作は序盤と終盤にお使い的な要素が多く、前作に比べて、冒険感がより弱くなっていると感じました。


たたでさえ全体的に世界も狭いのに、それらを行き来させられてもあんまり面白いとは感じません。移動速度が遅いのも相まって色々察してしまいますよ。


おまけに寄り道的な要素も終盤まではほぼ皆無。セツナでさえ、寄り道専用の小屋なんかはあったのに、今作では一つも見当たりませんでした。


せっかく途中で船や飛空艇が手に入ってもイベントがないので、探索する楽しみがほとんど皆無なんですよね。もったいない。

唯一プレイしていて冒険感でワクワクしていたのは、王国領を進めているあたりかなー。あそこらへんはイベントが新しい街に行く度に発生して、RPGをしているなぁと感じました。ああいう感じで全編やって欲しかったです。

所々に違和感のあるストーリー進行

今作のストーリー、悪くはなかったと思うんだけど、どうにも所々に違和感を覚える部分がありました


何でしょうね、場面ごとの繋がりが雑なのかな。展開を優先しすぎて、その間の過程がうまく描けてなかったように感じます。


ポイント絞っている分、場面単体で見ればよいシーンも多いんですが、流れでプレイすると決して名ストーリーとは言えないかなって。


以下ネタバレも含む感想です。

ネタバレ(クリック)

例えば序盤、主人公はとある事情で、今まで協力していた組織を裏切ることになるのですが、その流れが驚くほどにシンプル。一国を相手取るという事実をまるで感じさせない軽さにはさすがに違和感を感じてしまいました。


こういう感じのケースが、全体的に多かったんですが、とりわけ気になったのは、ロック関連の描写です。おそらく彼はゼムロードの指示によってギアロイドに改造されたのに、ストーリー中、カナタもルミナも何故かそれを指摘しようとしません。


挙句ゼムロードは不器用だけど、帝国を守ったかっこいい人物として死ぬとかいう展開に終わり、最後までその部分に触れられることはありませんでした。


いや、そこは触れてよ...って感じ。

不便さが残るシステム

前作もそうだったんですけど、今作には今のRPGにあって当然な、ファストトラベル機能やダッシュ機能が備わっていません。


厳密には機装を使っての加速や、部分部分でのワープ機能はあるのですが、あくまで限定的な物でした。

前作はお使い感がそこまで強くなく、1作目という事で納得していたのですが、今作は行き止まりのダンジョンが多く、最悪の場合そのままもう一度ダンジョンを戻りなおすことになったりすることもあってかなり気になりました。


先に述べたお使い要素も、この不便さを加速させていたと思います。

まとめ

こんな感じでしょうか。全体的に見ればセツナよりは大分良くなっており、さすがに二作目なだけはあるなと感じました。ただまあ、正直まだまだ改善の余地はあるのかなとも。

個人的にはもう戦闘は完成している感じがあるので、これ以上いじらず、それよりも、もう少し寄り道的な要素や世界の広大さを増やしてほしいかなと。素材の使いまわしている感がどうにも気になってしまう内容だったので、そこは少し残念でした。

 

ただ、売り上げ的にも続編が出るかは怪しいですよね…。全体的に内容が保守的過ぎるので、これ以上新規ユーザーが増える作品かと言われると微妙ですし。個人的には出してくれたら買うかもしれませんが…。

総じてセツナを踏襲しているタイトルなので、あれが合わなかった人にはあまりおススメしませんが、久しぶりに昔風の軽めのRPGをプレイしたいという方には合うと思います。既にPS4版は値崩れしていますし、安価で買えば、割と楽しめるタイトルだと思うのでそういう面でもおススメかも。

【Switch】ロストスフィア

【Switch】ロストスフィア

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