どうも、ば~んです。
今回は「Staffer Case:超能力推理アドベンチャー」の感想記事です。
プレイ時間は大体25時間。本編の全分岐網羅とサブストーリー、おまけのStaffer Rebornまで遊びきったら結構なボリュームに感じられました。Switch版はフルボイス仕様だったのでそれらを聞き切ったという影響もありそうですが、インディーゲームとしては中々の内容。
- Steamから移植されたSwitch版
- 独特な世界観で繰り広げられる、キャラクターの小気味いい掛け合い
- 能力を軸に、細かく練りこまれたストーリー
- 逆転裁判の調査パートを模倣したようなゲームシステム
- サブストーリーから外伝まで、盛りだくさんなサブ要素
- 気になった点
- まとめ
Steamから移植されたSwitch版
本作は2023年にSteamで配信された作品のSwitch版になります。もともとインディーゲームなのですが、移植にあたってフルボイス化され、作品の雰囲気が掴みやすくなっているように感じました。

題材としては、1960年代のロンドンを舞台にした推理アドベンチャー。基本的には現場調査をして、推論を導き出して事件の謎を解く、というシンプルな進行。ただし、特徴的な要素として、世界観設定に「ステッパー」という超能力者がおり、この能力が事件に絡んでくる、というものがあります。

他のゲームでも似たような題材はあるのですが、本作の場合、特徴的なのが、超能力を「静」の要素として使用しているということ。どちらかというと超能力のような現実離れした設定は「動」の要素として、演出を盛り上げるために魅せる使い方が多い印象ですが、
本作の場合は超能力はあくまで事件の要素として登場するだけで、事件を追って解明する流れは通常のオーソドックスなアドベンチャーゲームの形と変わらないんですよね。ここのロジカルで落ち着いている雰囲気が本作独自の味に繋がっていた印象です。
以下では本作のポイントについて触れていきたいと思います。
独特な世界観で繰り広げられる、キャラクターの小気味いい掛け合い
本作、まず掛け合いが良いです!会話シーンの出来が良いので、キャラクターの魅力がうまく伝わってくる。基本的には主人公とそれを取り巻く3人の仲間との間で物語が進んでいくのですが、いい意味でボケるキャラクターが多く、小気味いい会話に耳心地の良さを感じました。

本作、世界観自体は結構重く、特に、ステッパーの生きにくさを描いているシーンはかなり暗めなのですが、個々の会話シーンがコミカルなので、暗さ一辺倒になっていなかったのが良かったなと。ここら辺はフルボイスになっているおかげか、より魅力が伝わりやすくなっていた印象です。

個人的にはテナとブリアンのエピソードがとても好き。サブキャラクターに収まらない所までキャラクターの造詣が作りこまれているのが、インディーゲームとしてはかなり濃いなと。
この2人の外伝エピソード好き。
能力を軸に、細かく練りこまれたストーリー
本作のストーリー、総合的に見て素晴らしい出来だったかなという印象です。
まず、盛り上がり所の作り方が上手い。一番最初の1話こそチュートリアル的な話の作り方で平坦な印象でしたが、2話以降は毎回話に捻りギミックを入れてきていて、徐々に分かってくる真相に何度も驚かされました。

前述したとおり、本作のキーは「超能力」なので、通常ではありえないような謎について常識外の思考が求められながらも、「何がトリガーだったのか?」「どういう条件だったのか?」と、ロジカルに事件を追っていく感覚がとても楽しく。

何より素晴らしかったのが第4話。全体的に面白かった中でこの4話だけは、他の作品でも全く見たことのないような、とんでもないどんでん返しギミックが用意されていてすべてが分かったときの衝撃がすごかった!この話に関しては、前述した「ステッパー」要素をフルで活かしきった、ある意味狂気すら感じてしまうほどの展開で面食らいました。
結末がどこに向かうのか全く分からなくなる、衝撃的すぎる展開!
逆転裁判の調査パートを模倣したようなゲームシステム
ゲームシステムの部分はシンプルに例えるなら、逆転裁判の操作パートが一番近いのかなと。実際、作中にはキャタツネタが盛り込まれていたりもするので、間違いなく意識して作っているはず。実際、現場に対しての仲間の反応を楽しめる要素も用意されています。

流れはシンプルで事件が起きた現場を確認して手がかりを集めて、ストーリーの流れに合わせて検証していくだけ。ここで集めた情報を元に、資料を作成して推理を進めていきます。
推理パートは、ストーリーに合わせて主張すべき事柄を明確にするために、それまでに集めた情報に対して、情報を突きつけて相手の主張を崩したりしていく感じ。画面的にも動きが少なく、目立った演出はないものの、じっくり考えながら事件を追うことの出来る良さも感じられます。

一方で盛り上がりがないかと言われるとそんなこともなく、各章の目玉演出として、終盤に「六角推理」が用意されています。これはこれまでの事件で集めた情報を全てひっくり返して、一気に真相の土台を突き止めていくという大技的な演出で、こちらはしっかりと盛り上がるシーンになっていました。
サブストーリーから外伝まで、盛りだくさんなサブ要素
本作、本編は全5話構成なのですが、それにプラスで外伝が2エピソード分収録されているのと、更に本編とは別ゲームの「Staffer Reborn」まで入っており、中々ボリューミーな内容でした。

外伝については、本編で描き切られなかったサブキャラクターの話と、本編後の話を少し描いた形。いずれもフルボイスですし、本編の補完にもなっているので見ごたえがありました。
別のゲーム「Staffer Reborn」に関しては、同じ製作チームが作った本作のスピンオフ作品という感じ。スピンオフというだけあって、本編後に遊ぶと作品同士の繋がりが分かるような仕掛けになっています。
内容は本編とは少し違って死から蘇り続ける、奇妙な状態の老人の謎を解くというもの。システム面は本編ではそこまで登場回数の多くない、操作パートを軸に進めていく感じで、巧く差別化されているなと。内容は短いながら、こちらのストーリーも作りが秀逸で中々楽しめました。
気になった点
意図が掴みづらい一部の照合パート
前述した照合パート。ストーリーに合わせて必要な事柄を抜き出して提示する必要があるんですが、一部何を選べばよいのかよくわからなくなる場面がありました。というのも、指示があいまいなシーンがあるんです。
曖昧な文脈の流れで、曖昧な指示の元ワードを切り出さないといけないというのが、中々難易度が高く、結局総当たりをせざるを得なかったのでやや面倒に感じました。ここら辺はシステム的に難しい所だとは思うんですけどね、ヒント機能も万能な出来ではなかったので少し気になってしまった。
文字が小さい
もう一点、これはSwitch移植による影響なのかもしれませんが、文字が小さくて読みにくいです。

チュートリアルも画面がごちゃごちゃしているようなマニュアル式で、しっかり読み込むのに少し時間がかかってしまいましたし、物語途中で出てくる細かいテキスト面も一部異様に文が詰まっていて、頭が痛くなる場面がありました。
一応右側にある虫眼鏡機能も用意されてはいるのですが、もう少し文字のごちゃごちゃ感は減らしてもらった方が読みやすくはあったかなと。
まとめ
以上、感想でした。
インディーゲームながら作りこまれたストーリー面に、豪華なサブ要素と、満足度高めの一作でした。特に4話の衝撃が中々でしばらく余韻に浸ってしまいましたよね。
Rebornや外伝の内容を見るに、同世界観上の続編も考えていそうな感も伝わってきたので、続編の展開にも期待したい所ですね。
キャラクターの良さやシステム面は逆転裁判に通じる所があるので、作品ファンにもおススメしたいですし、単にアドベンチャーゲームファンにもおススメしたい一作。最近は、こういうインディーゲームの名作アドベンチャーゲームを色々遊べて楽しい!
