どうも、ば~んです。
今回は「ファミコン探偵俱楽部 笑み男」の感想記事です。
プレイ時間は体験版と併せて大体20時間くらい。リメイク版の消えた後継者+うしろに立つ少女で併せて15時間くらいだったので、ボリュームは割とありました。これでもまだ短い感はありますが、価格が上がった相応の内容にはなっていたのかなと。
- リメイク版の流れを引き継いだファミコン探偵俱楽部シリーズの最新作
- 都市伝説を軸にした、過去2作とはまた趣の異なる作風
- 過去2作から大きく強化された人物の心理描写
- 驚きのある終盤の演出展開
- 遊び心のあるシステム面のギミック
- 耳に残るサウンド
- 気になった点
- まとめ
リメイク版の流れを引き継いだファミコン探偵俱楽部シリーズの最新作
本作、作品としてはファミコン時代に発売されたファミコン探偵俱楽部シリーズの最新作になるのですが、実質的にはSwitchで展開されたリメイク作品と同系列の新作と考えてよいかと思います。
実際、開発会社は同じMAGESだし、キャラクターデザインやCVはリメイク版と同じものになっており、時系列が最新なのも含めて、リメイクと続けて遊ぶとすんなり本作に入れてよいのではないかと。
ただし、直接的な繋がりは描写としてはそこまで深くは触れられていないので、本作から遊んでみるというのも、正直全然アリかなとは思いました。
システム面としては、細かな変更こそあるものの、基本のベース元は大きく変化なし。というわけで、作品の持つ雰囲気に関してざっくり触れていこうかと思います。
都市伝説を軸にした、過去2作とはまた趣の異なる作風
そんな本作ですが、今回のテーマとしているのはタイトルにもある「笑み男」という都市伝説。泣いている女の子の前に現れ、笑顔の袋を被せて殺してしまうという、恐ろしい都市伝説に纏わる事件の謎 を解いていくというのがメインの流れになります。
過去に起きていた連続殺人事件と、今起きている事件の関連性を追っていく中で、徐々に本当に笑み男が存在しているのではないか?と思わせる出来事が起こっていくのが本作の肝。いわば怪異の実在性に対する恐怖を描いた作品ですね。
内容が不気味な都市伝説ということで、一部のホラーに近い雰囲気は2作目、うしろに立つ少女に近しい所もあり。ただし、あちらは怪異が実在するか分からない故の恐怖だったので、本作とはちょっとホラーの方向性は違うのかな。
基本はコメディチックな物語展開で進んでいくものの、瞬間的に一気に盛り上がるシーンが定期的に挟まれるので、先が気になる内容になっていたかなと思います。ただし、気になる点もあったので、そこは後述。
過去2作から大きく強化された人物の心理描写
本作、一番重点的に描かれている部分はミステリーのギミック、ではなく、人物描写の部分に感じました。過去作に比べて、個人と会話するシーンの時間が長くなっている分、それぞれの登場キャラクターがかなり深堀されていた印象です。
特に、警察の神原刑事と教師の福山先生との会話シーンはかなり多めで、本作の顔とも言えるのではないかと。彼らとの会話シーンは、直接的に事件と関係する話だけではなく、キャラクターを補完するような会話が多くみられます。
割とコミカルな描写も多く、愉快なキャラ達でした。
後述するようにテンポが悪い部分にも繋がってしまっていたとは思いますが、一方で事件に関わった周りの人たちの描写としてはかなり丁寧で、過去作に比べてキャラクターに愛着を感じられたのでこれはこれで意義ある描写だったのかなと。
後は、やっぱりシリーズものなので、あゆみちゃんや主人公のその後が見れたのもファンとしては嬉しかったですね。特に、あゆみちゃんは消えた後継者では出番少な目だったので、うしろの少女の後のエピソードであれからの成長が描かれていたのはキャラクターの補完に繋がっていて、良いなと思いました。
驚きのある終盤の演出展開
本作、終盤の演出がすごくインパクトのある作りになっています。話の構造が凝っている、というよりは表現の仕方がかなり変わっていて、ぼくは初見でビックリしてしまいました。
表現自体はノベルベームと捉えると、やや賛否が分かれそうな部分に感じましたが、表現法としては納得できる内容だったので、これを採用したのは個人的には正解だったのではないかと思います。というか、あれに関してはあの表現方法しかなかったのではないかと。
あの描写があるからこそ、クリア後にずっしり来る重さと本作の人物描写に特化したテーマの一体感を感じられたので、期待していた方向性とは少し違いはしたものの、すごい作品だったな!という感触が残ったので、そういう意味では見ごたえ抜群でした。
まさか、ラストをああいう感じで締めてくるとは!?
遊び心のあるシステム面のギミック
システム面に関しては、前述通りほとんど変わりないんですが、一つ良いなと感じた点がありました。それは、細かいフラグ判定が色々と用意されていること。
例えば、調査中に色々と各所を調べることが出来るんですが、そのアクションをしたか or しなかったかによって、その後の会話展開に一部変化が生じるようになっているんです。
しかも、フルボイスのゲームでこれをやっているので、かなり贅沢な使い方をしているように感じられました。この作品、価格が上がっている分、こういう小ネタはかなり細かく作られているんですよね。人によっては気づかないでクリアしてしまう人もいそうで、ちょっともったいなくも感じました。
プレイヤーの体験によって変化する体験をフルボイスで入れるとは...!
耳に残るサウンド
後は、BGM。リメイク版と同じく、MAGESの阿保剛さんが担当されていますが、割と耳に残っていい感じです!
全体的にうしろに立つ少女と似た曲の使い方が多く、特に笑み男のメインテーマの作り方はかなりうしろの少女のテーマを踏襲して作ったんじゃないかって。作中何回も流れるので、緊張感が入る演出として耳に残るし、シリーズ感のあるサウンド演出になっていて良きでした。
あゆみちゃんのテーマや探偵事務所など、過去作のアレンジも多めで、シリーズを追っていると楽しめる仕掛けも多く、限定版を購入して良かったなと思える出来でした。
気になった点
全体的にミステリーとしての質は高くない
本作、あくまで個人的な印象ではあるんですが、ミステリー作品としての質は高くないです。低いとまでは言いたくないですが、期待していたほどではない。
確かに、ストーリーを最後まで追えば謎は全て判明しますが、謎の明かし方があまりきれいではなく、かなり強引な形で終幕してしまうので、ストンと落ちてくる感覚はかなり薄かった。そもそものギミック自体がかなりあっさり気味で、意外性も薄かったと思います。
前述したとおり、キャラクターの心理描写に絞ったストーリーはこれはこれで面白かったし、重さを感じさせる終盤の描写も見どころは多く、嫌いではありません。
ただ、個人的にはうしろに立つ少女のように、ホラー要素とミステリーサスペンスを両立した続編を遊んでみたかったので、やや拍子抜けしてしまったというのが正直なところです。
もう少し事件のギミックは捻って欲しかったなあ...。
ストーリーのテンポがよくない
テンポの部分も気になりました。もともとゲームシステム的にテンポがゆったりになりがちなのは、リメイク2作でも分かっていたので、そこは別にぼくは気になっていません。
どちらかというと、ストーリー自体に無駄が多い進行のほうが気になりました。何かあるのかな?と期待させておいて、実は大したことがなかった、といった流れが多いのは肩透かし感があっていまいちだったし、会話シーンが長いわりに重要な情報はあまり出てこない、といったシーンも多く、話が前に進んでいる感覚が弱いんですよね。
その割に、終盤は強引に収着させてくるので、ある意味ファミコンのゲームらしさがありますが、いやいや、そこはせっかくこの時代に新作を出すんだから、もう少し整理してくれよと思ってしまった。
進行に無駄なシーン自体は、小ネタがかなり凝っていたり、キャラクター描写を細かく行っていたりと、別の意図があるのは分かるんですけどね。でも、正直作品の魅力にだけなっていたかといわれると微妙で、マイナス面にも繋がってしまっていたのではないかと思います。
まとめ
以上、感想でした!うーん、中々評価に迷う所ですね。個人的には消えた後継者よりは好きですが、うしろに立つ少女には及んでないかなあという印象。
ミステリーとして期待していた方向性とはちょっと違いましたが、読み終わったときは中々すごい作品だったなという感想が残ってはいるので、遊んで良かった作品であることは間違いないです。
ただ、開発陣は結末に賛否両論あるかも、と言っていたと思うんですが、結末というよりは作風の問題なのかな?っていう印象が強く。結末は上手くまとまっていると思うんですよね。それよりミステリー好きとしては、ちょっと肩透かし感が強いので、アマゾンの評価が低い理由もわからなくはない。
なので、ミステリーというよりはホラー風味の人間ドラマを見ると思って遊ぶのが一番よさそう。まあ、ファミコン探偵俱楽部は1作目と2作目でも微妙にテイスト違うので、このくらいの塩梅がちょうど良いのかもしれません。