頑張って、感想記事を書いていたらこんな時間です、最近思うんですが、休日が短すぎる!
色々 やろうとしていると結局、全部中途半端にしかできないので困ったものです。休みが後一日あればなあ。。。
さて今回はNintendo Switch版「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女」の感想記事になります。
プレイ時間は、消えた後継者が10時間弱、うしろに立つ少女が8時間くらいでした。
後述しますが、ボリュームはあんまりないと思います。普通にプレイするとこのくらいになりそうな感じ。
20年以上前に発売された作品のリメイク
まず、作品の概要からですが、本作は1988年~89年の間に、ファミコンで発売されたADVゲームのリメイク作品になります。
基本的なテキストのベースは大きく変えずに、一方で表現はLive2Dを使用したアニメーションのような表現を採用、
全編フルボイス、などによってリッチな作りになっている印象でした。
開発は科学ADVシリーズなどで有名なMAGESが担当。
消えた後継者とうしろに立つ少女はそれぞれ、独立している事件ながらも世界観と登場人物は共有。
設定上は消えた後継者の方が時系列は後になっていますが、シリーズ的に消えた後継者⇒うしろに立つ少女になっています。
ぼくは今回、限定版を購入して両タイトルプレイしたので、ザックリ両作品に関してそれぞれ感想を語って行こうかなと。
(なお、限定版のみ2作品がセットでパッケージ販売されており、単品で購入する場合はDL版限定になります。)
古き良き田舎系ミステリーの「消えた後継者」
まず、シリーズ1作目の「消えた後継者」から。こちらは典型的な田舎ミステリーって感じの作品でした。
何だろう、犬神家の一族とかあそこら辺のイメージをそのまま、題材として組み込んだかのような感じかな。具体的にポイントをあげると、
・田舎の財閥家で起こる殺人事件
・村に伝わる死者が蘇る伝説
・「祟りじゃー」って騒ぐ村のばあさん...etc
と、ザ・お約束な感じなので、ミステリー好きにはある意味安心感があるかもしれません。
最も、田舎といってもクローズド ・サークルを採用しているわけではなく、あくまで事件を追っていくのがメインなので、全体的な雰囲気はホラーというよりは、サスペンスミステリーという感じ。
一部映像表現にのみホラーっぽい描写があるくらいかな。
ゲームとしては、ミステリー作品を読み解く感覚で進めていけるかと思います。
勢いのある展開
本作のシナリオで良いと思ったのは、中だるみしている部分が少ないこと。
一つの事件に関する答えに辿り着く前に、次々に新しい謎が出てくるので、俗にいう「何も起きない」時間が短かった印象です。テンポよく、話が進んでいくので読み進めやすかった。
また、後半以降で明らかになる真実は、第一作目であるからこその仕掛けに感じられたので、そこは非常に印象的でした。
うしろに立つ少女をプレイした後に、本作を思い返してみるのも、また趣深くていいなと。
シリーズでの時系列が逆だからこそ活きている仕掛け!
進行の難易度はやや高め
本作、いかにもファミコン時代らしく「コマンド」で調べたり、話を聞いたりしてゲームを進めていくシステムを採用しているのですが、「消えた後継者」はその進行難易度がやや高めに感じました。
特に、中盤以降複数地点を移動しながら進めていくパートは、いまいち、どこで進行フラグを漏らしているのかが分かりにくくて、結構詰まってしまった。
2作目の「うしろに立つ少女」は、詰まるポイントが全体的に少なめだったので、やはりこれは、本作が1作目だという事に起因するものかなと。
とはいえ、難しいとはいっても、基本的に総当たりすれば解決はするので、どうしようもないというほどの物でもないのですが、現代の作品に慣れていると、やや面食らうかも。
純粋なミステリーとしてはぼちぼち
気になったのは全体的な意外性の薄さ、ですかね。
上記で上げた通り、田舎系ミステリーのお約束を大体揃えているんですが、それゆえか、全体的に既視感を感じてしまうポイントが多くて、あまり意外性や、新鮮味を感じられなかった。
後半の方の仕掛けに入ると、ややそこからそれて、オリジナルの魅力が出ている部分もあるんですが、そこに関しても結構分かりやすく伏線が引かれてしまっているので、やや意外性に欠けていた印象です。
あと、事件に関しても真相や動機に関して、あんまり驚きが無くて。
前述した複数の謎が来る勢いは確かに良いとは思うんですが、一方でその謎の回収パートがなんかあんまりピンとこない感じで、ミステリーとしてはなんかこう、こじんまりと収まってしまっている感。
個人的に後述する「うしろに立つ少女」は幕引きまでの展開が、絶妙にしっくりと落ちてくる感が凄かっただけに、余計に気になってしまった。
学園系ホラーミステリーの「うしろに立つ少女」
次に二作目の「うしろの立つ少女」。
こちらは消えた後継者から打って変わって、学校をテーマにしたホラー系のミステリーでした。
学園系ホラーと言えば、学校の怪談は欠かせませんが、今作はその怪談と、実際に起きた事件をリンクさせるかのような内容になっているんですよね。
そのため消えた後継者に比べると、幾分か新鮮味を感じられました。
絶妙なミステリーとホラーのバランス
本作、消えた後継者に比べてホラー色が強くなっているんですが、ミステリーとホラーのバランス感覚が絶妙でした。
純粋な事件と、何か得体のしれない怪談。どこまでが現実で、どこまでが怪異なのか、
敢えてぼかしていることで、作中の不穏感をうまく表現していました。
また、単純に学校の怪談の噂を追って、徐々に過去から謎を紐解いていく感は、推理ゲームとしても楽しく、ラストの衝撃的な展開まで含めても、
個人的には恐怖より先に「あー、なるほど!」という感覚が来たので、そういう意味でも素晴らしかったなと感じました。
怖いはずなのに、先に納得が落ちてくる見事すぎるストーリー構成!
魅力的な世界観&キャラクター描写
消えた後継者に比べて、作中の世界観は魅力的に感じられました。
全体的にキャラクターの個性付けが前作よりしっかりしているし、何より舞台が街全体と広いため、色々な雰囲気の場所を見れるのもいいポイントなのかな。
コミカルだったり、ポップなシーンも前作よりも多く、だからこそ、ギャップとして前述したホラー描写がより活き活きとしていた気がします。
キャラクターに関しては、シリーズ通しての共通ヒロイン。あゆみちゃんの活躍が目立ちました。
今作では事件の中核に関わっているため、全体的に消えた後継者よりも出番は多め。
中でも中盤のダイナミックな行動は、プレイヤーの印象に残ること間違いなしでしょう。
そんな彼女を支える主人公との関係性も、作中の一つのキーポイントです。
耳に残る音楽
世界観同様に、サウンドも方向性も、全体的にポップになった印象で、耳に残りました。特にメインテーマを軸にした曲作りが良いなと。
「うしろに立つ少女 オープニング」から始まる、メインテーマは作中様々な曲に共通のメロディテーマとして使用されており、中には、「現場検証」のような調査パート曲にも組み込まれていて、中々面白いなと感じました。
また、ホラーチックでおどろおどろしいながらも、どことなく耳心地よい「うしろの少女」のテーマから、
「うしろの少女_タイトル」や「捜査」のような純粋にオシャレでポップな曲とレポートリーの範囲も広く、全編通してかなり耳に残りましたね。
あくまでも純粋なリメイク
と、ざっと二作に関して紹介してきましたが、注意すべき点はあくまで本作が純粋なリメイクであるということですね。
ベースになっているのはファミコン時代の作品なので、見栄えは今基準でも、中身に関してはかなり古典的な内容です。
ストーリーに関しては、個人的には今でも通用するとは思いましたが、プレイ時間も単体だと10時間弱くらいでクリアできてしまいますし、
単体4000円の作品と考えると、今だとちょっと割高かもなあという印象。
ここら辺は、好みの問題もあるとは思うので、購入するときはそこら辺を一考するのがよいかもしれません。
アニメーションのクオリティは高い
なお、見栄えに関しては非常に出来が良かったです
定期的に入るアニメーションのクオリティは高いし、フルボイスも丁寧な人選になっているので、聞きやすい。
キャラクターデザインに関しても、カジュアル過ぎないけど、今風に思えるような、絶妙なバランス感覚でリメイクとしては、いい塩梅だったのではないでしょうか。
プレイする順番に関して
ついでに、プレイする順に関して。
この二作、発売順は「消えた後継者」⇒「うしろに立つ少女」なのですが、時系列的には「うしろに立つ少女」⇒「消えた後継者」になります。
なので、いま改めてセットで発売されると、どっちからプレイするか悩みどころですよね。
ぼくは消えた後継者からプレイしましたが、個人的にはシリーズ順を押したいです。
というのも、消えた後継者のストーリーの仕掛けに、シリーズ1作目ならではの作りなのかな、と感じる部分があるんですよね。
あと、これも個人的な感想だけど、どちらかというと話の完成度は二作目の方が高く感じたので、逆順で行くとちょっと尻すぼみに感じちゃうんじゃないかなーって。
ただ、内容的にはやっぱり時系列的なほうが、スッキリと情報を整理できるのかなあとも思うので、最終的には好きなほうを選べば良いかと思います。
まとめ
と、こんな感じでした。
ゲーム的な古さはあれど、両タイトル、今でもシナリオに関してはそれなりに通用するレベルという印象で、十分楽しめたかなという感じです。
特にうしろに立つ少女は質が高かった。この水準のシナリオを、今基準のリメイクで遊ぶことが出来たのは貴重な体験でした。
世界観や登場人物含めて、もっと広げてほしいな、と思えるくらいには気に入ったのですが、まあさすがに元の作品的に厳しそうか。
とはいえ、すっかりノベルゲームが売れなくなった時代に、わざわざ手の込んだリメイクを発売してくれた任天堂には感謝したいところです。
色物要素とかもなく、シンプルなミステリーとして、入りやすい作品だと思うので、気になる方は是非。
(元がファミコンのゲームという事はお忘れずに。)