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【レビュー】パラノマサイト FILE23 本所七不思議【感想】怖いのに読む手が止まらない、濃密なサスペンスホラー!

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どうも、ば~んです。


今回は「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」の感想記事です。

プレイ時間は、8時間弱。ほぼ一本道ですし、普通に遊ぶとこのくらいになるのではないかと。価格体的にも妥当なボリュームという印象ですが、やり込み要素と、詰み要素によっては2桁時間遊べるかもという感じかな。

のゲームのポイント!・1980年代の東京墨田区を舞台にした、サスペンスホラーアドベンチャーゲーム。
実際の怪談からアイデアを膨らませているからこその、独特の不気味感。
・怖いだけで終わっていない、秀逸なシナリオと読みやすいテキスト。

完全新規のサスペンスホラーアドベンチャーゲーム

本作、タイトルだけを見ると何かのシリーズものなのかな?と思われるかもしれませんが、完全新規のホラーアドベンチャーゲームになります。


内容としては、1980年代の墨田区を舞台にした、呪いと七不思議に纏わるサスペンスホラー。実在する本所七不思議という怪談を題材にアイデアを広げているというのが特徴的で、全編におどろおどろしい雰囲気が漂っています。

ただ、ホラー要素一辺倒という訳でもなく、特に中盤以降の展開はサスペンス色が強くなっていくので、サスペンス好きでも楽しめるのかなと感じました。


インディーゲームらしくボリューム的には控えめですが、短い中に非常に濃密な設定と物語が詰め込まれており、品質はかなり高め。実際にぼくもホラー苦手なんですが、読む手が止まらなくて夢中で読み進めてしまいました

下記では、そんな本作の魅力を紹介していきたいと思います!

展開が全く読めない、二転三転していく名ストーリー

本作、まずストーリーが非常に面白かったです。とりわけ素晴らしいのが二転三転していく展開の妙。


序盤のチュートリアルから本編開始までの展開は思わずノンストップでプレイしてしまうほど、プレイヤーをがっちりつかむような見事な導入に仕上がっていますし、


本編で描かれる伏線や謎に関しても、一つの解決パートですぐに全てが明らかになるという訳でもなく、オムニバス形式を活かして複数視点から徐々に見えてくる流れになっているため、先が気になりすぎて読む手が止まりませんでした。

怖いのに、全く手が止められなくてビックリ!


物語終盤に至っては、どこへ収着するのか全く読めないような展開で締めくくられるので、衝撃と驚きが凄かったです。たった8時間で読破できる物語にこれほどの内容を詰め込めるのは凄い!


ジャンルに関してもですね、一番最初はがっつり伝記ホラー系か!?と思わせておきながら、読み進めていくとそれ一辺倒では全くなく、緩いギャグパートのようなシーンもあったり、


一部、異能〇〇〇ものに近いパートもあったり、中盤以降はサスペンス寄りになったりと、プレイヤーを飽きさせないような仕掛けが満載でした。一体どんな展開が待っているのか、ワクワクが止まらなかったなあ。

実際の怪談を元にしているからこその生々しい不気味さ

そんな本作のストーリーの魅力を引き出しているのが、本所七不思議。

この七不思議、実在する七不思議から着想を得るという形で、本作のキーパーツになっているんですが、実在するゆえか非常に生々しい独特な不気味さを引き出していました。


例えば、ゲーム内でも資料確認という形で、伝承の内容を確認することが出来るんですけどね、この伝承自体は実際の話を使用しているんですよね。


でも、そこから先の呪いや、怨みの記憶などは創作になっているんですよ。このさじ加減が絶妙で、創作だとはわかっているのに、妙な生々しさが残る、独特な不気味感を演出していました。

それにしても、本作の七不思議からの話の広げ方は絶妙すぎました!それぞれ、違和感なく元の伝承から広げた作りになっているし、それでいてストーリー中に全てが綺麗に繋がるのも見事。

何より呪詛珠の効果がめっちゃ面白い!この要素にピピっと来た方は、それだけでも楽しめる魅力があるので、是非遊んでみてください。

バディで描かれる、魅力的なキャラクターたち

本作、キャラクターも非常に魅力的でした!

メインパートの読み手視点で描かれる主人公はおおよそ、2人×3チームで6人ほど。

いずれも2人セットのバディのような形式で描かれており、掛け合いが非常に面白かった!


個人的に特に好きなのが、マダムと探偵のパート。陰のある主婦と、イロモノ探偵のコンビパートなんですけどね、会話の距離感が絶妙なんですよ。キャラクターの背景的に、結構扱うの難しいパートなんですけど、そう感じさせないようなテキストセンスが素晴らしいです。


このパートに限った話ではないんですが、本作、テキストの質も独特で、シリアスなシーンでも不思議なくらいフワッとしてる表現を用いているんですが、それが逆にすとんと落ちているような感覚もあり、何とも味があるなあと。

ここら辺は単に、シナリオライターのセンスの部分だと思いますが、もっとこの人の書いた作品を遊んでみたいなあと思える出来でした。

アドベンチャーゲームならではの「あそび」が面白い

後はですね、アドベンチャーゲームということを活かしたゲームらしい「あそび」が色々と盛り込まれていたのも面白かった!


例えば、アドベンチャーゲームらしく視点移動要素が盛り込まれているんですけどね。色々な要素を調べることが出来たり、おまけ要素を探したり、ホラーゲームらしく、ビックリ演出が色々と盛り込まれていたりと、いい意味でアクセントになっていました。(最後のはホラー苦手民は敬遠しそうな要素だけど…。


加えて、ゲーム進行の部分も工夫を感じました。所轄メタ的な要素ではあるんですが、プレイヤーのアクションによって物語を進めていく要素が用意されています。しかもこれ、ストーリー的にも意味のある要素になっているんですよ。

要素としても面白く、きっちりそれ自体がストーリーとしても機能しているので、お見事!

歴史の勉強にもなる、丁寧な地理描写

本作、前述した通り舞台設定が明確で、実際にある七不思議を元にしているということで、かなり土地に対する描写がしっかりとしていました。



物語として、説得力のある内容が描けているというのも良ポイントなんですけどね、単純に地理や歴史の勉強にもなるのも良いなと。

ゲーム内にもいろいろなスポットが登場し、その背景が資料などで丁寧に説明されるので、実際にその場所に遊びに行きたくなるような魅力を感じました。


ゲーム内の資料モードの出来も大変よく、かなり細かく内容が書き込まれていたので、ついつい全て読み込んでしまいました。この価格帯とは思えない丁寧な作りで、開発チームのこだわりを感じましたねえ。

墨田区、あんまり詳しくないけど、そのうち遊びに行ってみたい!

 

気になった点

一部進行条件の難易度が高すぎる

気になったことはほとんどないんですけどね、強いて言うのであれば、2か所ほど進行条件が難しすぎるように感じた箇所がありました。

本作、一部シーンに手動でプレイヤーが展開を進めていかなければいけない部分があるんですけど、一部の条件が異様に難しいんですよね。

前者に関しては、ちゃんと調べていてもフェイクが入っているせいで見落とすような作りになっているので、意地悪に感じましたし、後者に関しては、想像が出来ても結局総当たりになってしまうような感じに思えたので、ヒントか何か見れる機能が欲しかったですかね?

ここら辺は、まあちゃんと考えて調べてね、という開発陣の考えはわかるんですが、個人としてはもう少しヒントがあった方が遊びやすいと感じました。何となく仕掛けには気づいていても、それをどこから探し当てれば良いのかが断定できないのが難いんですよね。

何より、怖いパートをもう一回見直す気力とか分かんのよ…。

 

まとめ

と、以上感想まとめでした。いやー、名作ですねこれは!

質の高いストーリー、七不思議から広げた故の説得力のある設定面、魅力的なキャラクターとそれを惹きだすテキスト、遊び心のあるゲームシステム。

低価格帯でコンパクトな内容ながら、アドベンチャーゲームとしてのポイントを多く抑えられていました。

序盤はガチガチなホラー演出が続くため、そこだけやや層を選びそうですが、サスペンス物としてもかなり高品質なので、ミステリー好きにもおすすめしたいです!

本作、タイトルからして、他の題材から話を広げたシリーズ展開なんかも期待できそうなんですが、どうなんでしょうかね。評判はかなりいい印象があるので、是非続いてくれると嬉しいです!