(2021年12月追記)
本記事は、2019年12月にアップした感想記事の再編集版になります。Switch版「十三機兵防衛圏」の発表に合わせて再アップしてみました。
それにしても、本作がSwitchで発売されるとはねー。今までであったら無かったと思うので、時代の流れを感じます。
さて、今回は先日クリアした「十三機兵防衛圏」の感想記事を。
(※本記事は2019年に発売されたPS4版を元に記述しています。2022年にSwitch版が発売。内容自体は大きな変化はなし。)
プレイ時間は33時間ほど。クリア後のやり込み以外の要素は、ほぼコンプしたと思うので、25~30時間が目安かなぁ。
一応崩壊編のランクは全部S取りました。
正に超大作なストーリー
本作、ジャンルとしてはシミュレーション+ADVになると思うのですが、最大の肝はそのストーリーです。
主人公は全部で13人。それぞれ別の視点から、時に時空を超えて、展開される物語はとにかくスケールの大きい内容に仕上がっていました。
そして見せ方がとっても上手かった。いくつかの点に絞って良い部分を書き出していこうと思います。
ワクワクするSFな世界観
本作、世界観的には「昭和のノスタルジックな雰囲気」+「SF」という感じになるのですが、往年のSF名作の要素を取り込んだような内容になっており、とてもワクワクしました!
タイムトラベル、機械の反乱、宇宙人、謎のAI...etc。いずれの要素も、作品として魅力を引きだすために上手く使われており、SF好きとしてはたまりませんでしたね。
また、上記のようなキーワードもいきなり全貌が明かされるのではなく、伏線を小出しにしてから徐々に明かされていくので、一体これが何を意味するのか?ということを、考えるのもとても楽しかったです。
エピソード毎にバラバラな時系列
本作、各主人公のエピソードの時系列がバラバラとなっていて、キャラクターによっては、いきなり物語の終盤から、始まる展開なんかも存在します。
また、同主人公のエピソードでも次の章になると、いきなり前のエピソードから時間が飛んでいるケースもしばしば。
正確な前後関係が分かりにくいというデメリットも存在しますが、個人的にこのシステムを採用したおかげでプレイヤーが「このイベントがいつ起こった物なのか」という事を、考察しながらプレイする楽しみが生まれていたように感じました。
他媒体だとアニメなんかでも見られる手法ですが、この仕掛けは上手く使えるとほんとに面白くなるんですよねー。
今作はイベントの時系列が究明編というパートで、しっかりと表示されるので、最終的には把握できるし、段々と埋まっていくイベントを眺めては、空いている部分のエピソードを考えたりするのが、とても楽しかったです。
工夫された各主人公パート
前述した通り、本作は主人公として選択できるキャラクターが,13人いるのですがそれぞれ、キャラクターの個性を活かした、エピソード作りがされているのが素晴らしかった。
例えば日常の中の青春エピソードをベースにしていたりだとか、記憶がない状態で自分の記憶を取り戻していく展開だとか、主人公ごとに微妙に毛色の違うエピソードとして、展開されていくので飽きがこないんですよ。
中には、唐突にループ物のような展開が差し込んできたりするものまであり、先の展開が読めなさ過ぎて凄かった!
とにかく種類豊かで工夫されているなーと感じられました。
序盤からは想像もつかないようなラスト
今作、序盤からストーリーの入り方が上手くて、平和な日常が唐突に崩れていき、非日常が到来していくという全体的にシリアスな雰囲気の強い作品なのですが、そんな序盤からはとうてい想像できないほどのラストを迎えます。
途中何度も二転三転していく物語の構造には圧倒されてしまったし、見事な配分で物語を断片的に見せていくやり方も、とてもうまかったなと思います。
全てのエピソードが繋がった、エンディングの気持ちよさは最高でしたね!
丁寧に描写されたキャラクター
そんなストーリーの中で登場するキャラクターですが、全体的に丁寧に描写されていました。
各々、行動の動機が明確でキャラクター像を掴みやすいんですよね。
主人公13人はもちろんのこと、サブキャラクターの掘り下げも丁寧で、印象に残らなかったキャラクターはほとんどいませんでした。
個人的に今作のテーマは基本的には「〇〇」だと思っていて、エンディングとか見てもやっぱりそういうテーマなのかなって。
カップリングとかも多いのでそういうの好きな方にはおススメです。一人も余らず見事に全員くっつきますよ!(※なお1ペア)
圧巻のデザインセンス
ヴァニラウェアのゲームと言えばやっぱりこの独特で美しいデザイン。
そう感じる人も多いと思いますが、本作の映像美も素晴らしかったです。
1980年代の少しノスタルジーな雰囲気を感じる景観を筆頭に、近未来、廃墟、戦場を美しく丁寧に描いています。
追想編は全編2Dで描かれていますが、アニメーションの作りもとても凝っており、通常のアドベンチャーゲームに比べて、見る楽しみが加わっているなと感じました。
動きにあるADVパート
その他、ADVパート(追想編)で面白いと思ったのは、プレイヤー手動で動かしていける要素があること、でしょうか。
単にノベルゲームのように読み進めていくだけでなく、キャラクターを2Dフィールドで操作しつつ、時に選択をしたり、あるいはマップ探索に近いことも出来たりと、「動」の要素がうまく使われていた気がします。
残念ながら、物語としては一本道なので、選択要素がそこまで活きているわけではないのですが、ゲーム体験である意味は上手く出せていたのかなと感じました。
チマチマしていて面白いシミュレーションパート
崩壊編のシミュレーションパート。
これは体験版をプレイした時の感触と大きくは変わらず、チマチマしているけれど面白いという印象でしたね。
でもタワーディフェンスとしてはそれなりに奥深く、よく出来ていたと思います。
個人的には途中から使用できるガーディアン、セントリーガン、インターセプター辺りの自動攻撃がいい味を出していたかなと。
配置を考えて、どう効率的に殲滅するかを考えるのが楽しかった。
ただ途中から数が多くなってくると処理落ちが酷いのは気になりました!
めちゃめちゃ重くなるので、まともにゲームにならないという。
そんなにゲーム的に凄いことをしている訳でもないと思うので、もう少し工夫して欲しかったですねー。
基本的には一本道
後、今作は基本的に一本道のADVゲームでした。
追想編には一応選択要素らしきものはいくつかあるんですが、残念ながら結局どの選択肢も選ぶことになるので、一本道には変わりないんですよね。
一応、プレイヤー手動の探索要素や前述のビジュアル面など、ゲームとして工夫を試みているのは伝わってくるんですが、やはり全体としてシステム面は地味な作品なので、価格に対して、価値を見出すのは個人によりけりになってしまう部分もあるのかな。
まとめ
と、いう感じでした。
とにかくストーリーに圧倒された作品でしたね。
今初PVを見ると割とそのままな気もするので、ある程度の設定は固まっていたのかなーとも思うんですが、これをまとめきるにはそりゃ時間かかるわなーと、納得してしまうほどの圧巻の出来でした。
複雑なストーリーを考察したい人やSF好きにはとてもおススメ!
また、崩壊編のシミュレーションパートに関しても、ADVの片手間感でプレイする内容としては、それなりに面白く、ゲーム1作品として綺麗に纏まっていたかと思います。
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(2021年12月追記)
中々キャッチャーなタイトルではない物の、間違いなく、ゲーム史に残るようなインパクトのある作品だと思うので、気になる方はこの機会に是非体験してみてください!