さて、今回レビューするのは「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」。
このゲームは2017年3月30日に発売された、PS4/PSV向けに発売されたガストのRPG。ガストタイトルとしては「よるのないくに」に続く新規タイトルですね。
プレイしたのはPS4版になります
プレイ時間は17時間29分。キャライベントはあんまり進めませんでしたが、サブクエストとかは割とプレイしている方だと思いますね。
イベント込みの平均プレイ時間は20時間程度でしょうか?まあボリュームはあんまりないゲームですね。
ゲームの特徴
今作最大の特徴は「~アーランドシリーズ」で、キャラクターデザインを務めていた岸田メル氏によるキャラデザ監修でしょう。
ぼくアーランドシリーズには全く思い入れはないですが、今作のキャラデザは非常に秀逸だと思います。
RPGのジャンルとしては現代風RPGに当たるのかなぁ…。正直他の現代風RPGと比較しても全体的にかなり、コンパクトな作品になっているのでジャンル付けしにくいですね。
正直作業感は強いし行けるフィールドはかなり数が限られているしで、あんまりRPG部分に期待するのはおススメしません。
戦闘システム自体は悪くないけど傑出したものはないし、美少女要素が好きでそれさえあれば、どんなゲームでも楽しめるという方にのみおススメします。
ちなみにザ・美少女ゲーという雰囲気の今作ですが、意外にも話の流れは割と暗めな感じです、主人公の過去とか見てもね。
まあそもそものテーマが自分達の悩みと、どう立ち向かっていくかみたいな感じですからね。
まあ全体的に前向きなのでそこまで気にならないとは思いますが。
評価点
透明感のある雰囲気
今作はフィールド、舞台である学校の雰囲気、音楽、キャラクターデザインなど様々な要素が透明感にあふれており、非常に綺麗な作品としてまとまっていました。
特に学校の廊下などは、は光の当たり加減、全体の色彩度などを、かなり調整しなければ生み出せない雰囲気を醸し出しており、その美しさには驚かされましたね。
最初はカメラワークがいじれないのが不満だったんですけど、これは雰囲気づくりとしての意味もあったのかなぁと。
戦闘時の異世界フィールドの「コモン」においても、全体的なキラキラした世界観にと水面や花、マグマや赤い沼地など、印象的なものが多く風景自体は中々よくできていたと思います
それ以外にもキャラクターの衣装や、独特なインターフェースなども拘りを感じる作りになっており、総じて作品全体の一つの特徴になっていたと思います。
今作、あまり特徴という特徴がないのでここはかなり重要な評価点だと思います
派手で力の入った戦闘演出
今作はガストのゲームとしてみると、かなり戦闘演出に力の入ったゲームだったと思います。
単純に戦闘のエフェクトが全体的に派手で、戦闘の見栄え自体が、中々に良いんですよね。
システム自体はまあ普通のコマンドバトルなんですけど。
そして何より定期的に発生する「原種」という、ボスとの戦いが非常に良い演出なんですよ。
この戦いは通常戦では使えない仲間の助けを得て戦えるので、それが楽しいというのもあるのですが、形態ごとに分かれているBGMや、最後の撃破シーンのムービーといい、全体的にかなり力の入ったボス戦になっていたと思います。
「原種」のモンスターデザインも中々秀逸で、美少女ゲームに留まらないクオリティだったと思います。
秀逸なキャラクターデザイン
特徴の部分でも言いましたが岸田メル氏によって描かれた、キャラクターデザインは秀逸でした。
見ていて気持ちの良いデザインというのでしょうか。世界観ともうまくマッチしていて良かったと思います。
またモデリング技術の向上に合わせて、氏の絵に比較的忠実に表現されていたのも評価ポイントですね。
ガストはコーエーの元に入ってから、明らかにグラフィック技術が向上していてそこは非常にいいなあと感じています。
ただし全員の書き分けができていたかといわれると少々怪しい所。
後述のキャラクターの空気化の問題も併せて、やっぱり数に関してはもう少し減らした方が良かったんじゃないかなー。
悪くないストーリー展開
今作のストーリーは決して完成度が高いとは言いませんが、全体の流れや設定は悪くなかったと思います。
基本的に前向きなストーリーですし、主人公もオーソドックスなタイプではないとはいえ、序盤から終盤までの行動を追うとそれなりに成長しているというのは感じられます。
テーマ自体も人の深層心理という中々良い所に着目して作られていますし、掘り下げが足りていないとはいえ、原種とコモンを軸にした世界観は中々面白かった。
終盤でのラスボスの行動も展開を踏まえるとそれなりに、説得力もあってここら辺の設定はよくできていたんじゃないでしょうか。
各キャラクター自体も空気になりがちというだけで、決して素材そのものは悪くないと思います。
個人的に後半に出てきて核心に迫る感じのおいしい立ち位置だった有理、前半に出つつもちょこちょこ存在感のあった亜子。この二人は割と好きでした、
まあキャラクターイベントは半分くらいしか見てないんですけどね。
カスタマイズ性の高い成長システム
今作の成長ポイントは、キャラクターイベントで手に入るものとなっていますが、成長システム自体は中々、カスタマイズ性の高い物になっていて良かったと思います。
アタック、ディフェンス、サポート、テクニックと、それぞれスタータスに影響を及ぼす4つの能力を選んで伸ばすことができるのですが、それぞれとったポイントの組み合わせによって、色々なスキルが使えるようになるんですよね。
パーティーキャラクターは三人しかいないとはいえ、各自役割を決めて能力を伸ばすことができるので、ここは中々面白い要素だったと思います。
また今作はキャラクターイベントを進めていくと、「フラグメント」というアイテムを入手できます。
これはスキルに装備させることによってそれを強化できるという物で、中々種類が多くこれも組み合わせを考えるのは中々楽しかった。
…が→問題点に続く
非常にクオリティの高い音楽
ガストの作品は音楽のクオリティには定評がありますが、今作も音楽は非常に良かったと思います。
担当が浅野氏単独というのは最初に聞いたときは、たくさんの曲が聞けるという期待の半面、曲がワンパターン化しないかと少し不安だったのですが全くの杞憂でしたね。
まず前半通常戦闘曲の「OVERDOSE」。
浅野氏のいつもの雰囲気と現代風RPGっぽさが上手く混ざっていて良いですね。
この曲が多分一番このゲームで聞く頻度高いと思うんですけど、聞いてて気持ちいいのでそういう意味でも良かったと思います。
そして個人的に一番好きなのは原種イェソド第三形態戦の「振武 -飛燕-」。
落ち着く感じの雰囲気の第一形態戦→一気に盛り上がる第二形態戦と来てからのこの曲は演出としても秀逸ですし、戦いの終わりを感じさせる雰囲気から、一気にサビで押し上げていくのは圧巻。とても普通のボス戦とは思えないくらいに盛り上がります。
戦闘曲以外も全体付的に作品の雰囲気にもよくマッチしているし、相変わらず聞いていて心地の良い音楽が揃っていました。
今作は他の現代風RPGには全体的に多く劣っているとは思いますが、音楽に関しては全く見劣りしないクオリティになっていたと思います。
問題点
問題があり過ぎるRPG部分
今作はRPGという観点から見るとはっきりいって、問題だらけのゲームだと思います。いくつかに分けて具体的に紹介してみますね。
雑魚敵の経験値がない
今作の経験値は絆ポイントという仲間との交流を通して手に入るシステムになっており、雑魚敵は倒しても経験値をくれません。
一応アイテムを落とすという要素はあるので、倒す意味が全くないというわけではないのですが、全体的に雑魚戦をわざわざするという意味が薄くなっている感じは否めません。
RPG的に考えると凄い微妙に感じました。
マップの種類が少ない
この手の現代風RPGは、ダンジョンポジションとして「ペルソナ3、4」のような自動生成ダンジョン。
「ペルソナ5、幻影異聞録#FE、東亰ザナドゥ」のように、固定ダンジョンの2パターンが存在します。
今作は前者に近いシステムになっているものの全体的な種類が、たった4つと非常に少ない物となっています。しかもとても狭いんですよね、やれることも少ない。
一応後半になってくると複合ダンジョンみたいな物も出て気はしますが、相変わらず狭く薄いので楽しめる物にはなっていないと感じました。
せっかくのよい雰囲気もなんども同じようなマップを歩かされては、うんざりするだけです。正直現代風RPGでこれは割と致命的だと思いました。
雑すぎる難易度調整
ぼくは今作難易度ノーマルでプレイしていたのですが、あまりにも簡単すぎていくつかの要素を使わずにクリアしてしまいました。
戦闘には一応弱点要素みたいなのも存在するのですが、正直そこらへんの要素もゴリ押しでどうにかなってしまうので、戦略性はかなり薄味だったと思います。というか最後まで技の威力とかそこらへんの詳細がよくわからないままでした。
サブ関係のイベントはあまりプレイしなかったので、もしかするとそちらの方ではある程度難しい戦闘が楽しめたのかもしれませんが。。。
せっかくのカストマイズ性の高さも肝心の難易度調整がこれでは、中々要素として生きた感じがしませんでした。適当に振っていても簡単にクリアできそう。
作業感の強いゲーム進行
今作のゲーム進行はテンプレート化されていて、基本的にキャラクターのイベントが発生する→解決する→フリー期間→またキャラクターのイベントが発生する、
という流れになっているのですが、間に挟まるフリー期間の仕様がとてもとても作業感の強い物となっていました。
フリー期間ではクエストをクリアするかキャラクターイベントを見て、評価点を集めなければいけないのですが、とにかくクエストがワンパターンなんですよ。
フィールドに落ちているアイテムを集めるか雑魚敵を倒すという、同じような内容のものばっかりで。
これがまあ、たまに発生するならばまだ分かるんですけど、結構な頻度でフリー期間が挟まってくるのもまた問題な所です。
ここら辺もう少しどうにかならなかったのかなぁ
個々の部分が雑なストーリー
評価点ではストーリーの全体の流れは評価していますが、逆にどうにも個々のエピソードが淡泊な印象を受けました。
一章一章ごとの展開がワンパターンなのはまだともかく、サブキャラクターが無駄に多すぎて、一回終わったらもうおしまい、みたいな感じが多いのがよろしくない。これだったらもう少しキャラを絞るべきでしたね。
一応メインの後半にも絡んでくるキャラクターが何人かはいるのですが、大半が空気化していてしまっているのが残念です。
またプレイ時間が短いのもそう感じる要因なのかもしれませんが、ラストの部分はもう少し丁寧に、長くやって欲しかったな。
各問題がすぐ解決して次!って行ってしまうせいか、今まで主人公たちがやってきた積み重ねはあるはずなのに、あんまりそれを感じられなかったのがちょっとなぁという感じです。もっと感動したかった。
後これは個人的な趣向の問題ですが作品内で結構関わってくる要素なんだから文化祭のシーンはせめて本編でやれよって思いました
そこで終わりなんかい!って感じでしたよ。
全体的に低予算感が強い
マップの使いまわしの件もそうなんですが、今作は直近のアトリエ「フィリスのアトリエ」と比較しても、低予算で作られているなぁという点が多いです。
せっかくの原種もたった4体で後半からは使いまわし、とあるボスに至っては計3回も戦わされますし、雑魚敵の種類も全体的に少な目でした。
戦闘メンバーも最初から最後まで固定ですしとにかく予算を抑えて作られたという印象が強いです。
また、本編こそ何とかフルボイスですがサブイベントに入った途端、ボイスがつかなくなるというのも露骨すぎて。
ガストのタイトルはキャラクターとのサブイベントにもある程度力が入っているのも魅力だと思っていたんだけどなぁ…。
正直この手抜き感ではさほど進める気にもなりませんでしたね。
まとめ
こんなところでしょうか。
まあ、RPGとしての問題は山積みなんですけど、幸いにもゲームとしての雰囲気そのもの、キャラクターその物は、割と好みだったので最初にプレイしていた印象よりは悪くない程度に落ち着いたかなと思っています。
最初に4時間プレイした時はあまりの使いまわし感作業感に、最後までプレイできるかすら不安でした。。。
戦闘システムやストーリー、悪くない部分は多いのですが、それらの良い部分は他の部分で、悉くつぶしてしまっているのがもったいない。
低予算感があるのは仕方ないとしても、もう少しかみ合わせ方が違ったらそこそこ面白いゲームになったと思います。
まあでもキャラゲーとしてみるならばそこそこは楽しめると思うので、そういうユーザー向きのゲームとしてみるべきかな。
明らかにそういう層向けのイベントも一杯ありますしね。
ぼくはキャラゲーとしての要素も嫌いではないんですけど、今作の場合ちょっとRPG要素が足を引っ張りすぎてて、ちょっと低めの評価になってしまいました。
これなら思い切って別のジャンルのゲームにしても良かったかもしれません。