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【レビュー】ファイアーエムブレム Echoes【感想】RPGとしての側面が強い異色なSRPG

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今回レビューするのは、「ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王」。

このゲームは2017年4月20日に任天堂から発売されたSRPGで、

25年前に発売された「ファイアーエムブレム外伝」のリメイク作品。

シリーズとしてみるならば前作「~if」から二年ぶりの作品となります。

3DS同ハードではこれで3つ目のFE作品ですね。

 

プレイ時間は33時間59分

クリア後の6章は一切手つかず、やりこみに関してはボチボチ。

一応全キャラクター仲間する程度にはやって、

ダンジョンの探索とかもそれなりに丁寧にやったとは思います。

シリーズで比較すると「~覚醒」よりちょっと長い程度のボリュームですかね。

最もやりこみ具合によって変わってくるので何とも言えませんが。

ゲームの特徴

まず今作の何よりの特徴はSRPGとしては、異色すぎるシステムが

いくつか搭載されているという事です。

3Dフィールドを探索して進んでいく「ダンジョンパート」。

フィールドと街の概念が存在し、

街の中で簡易な探索が行える「アドベンチャーパート」の2つが特徴的ですかね。


また3DSで発売された覚醒、

ifと比較すると全体的に作風がキャラゲー寄りから、

ストーリー主体になっているなぁと感じました。

ゆえにその分キャラクター要素は若干薄くなっていますが、

ストーリーには中々力が入っていたと思います。


それ以外は基本的にここ最近のFEと変わらないと思います。

システム的にはいくつか異なる部分はありますが、

根幹はさほど変わらない印象、

ifで出来ていたターンスキップみたいなものも継続してありますしね。

難易度はまあ、ノーマルだったら普通に何とかなる程度。

評価点

相変わらず良くできているシミュレーション部分

今作のシミュレーション部分は見た目こそifや覚醒と同じですが、

中身細部はだいぶ異なっていた印象です。

武器の3すくみの関係がなく、弓でのぺズサス、ファルコンへの特攻などもない。

単純にスタータスでの戦いでしたね。また装着できる装備も一つだけで、

武器は実質オート装備みたいな感じでした。

 

要素単体としては3すくみがない分やや弱い感じもありましたが、

それでも基本部分はやっぱり面白いと思いました。

地形を生かした攻防は中々頭を使わされますし、

後半に行くにつれてノーマルでもそれなりに厳しい難易度になっていくので

各ユニットの配置を気にしながら戦うのも楽しかったです。

後今作は武器を使い込んでいくとそれぞれスキルを覚えるんですが、

これも、成長要素としては面白かったなと。


そして今作の新要素、「ミラの歯車

これはステージ攻略中ターンを好きな状態に戻すことが出来るという、

かなり便利なシステムでして。

難易度が高くややバランスも悪い後半のステージでは重宝しました。

仲間加入の関係でいくつかやり直さないといけないステージなんかもありますし、

そういう場所での救済処置としてもよくできていたと思います。

これに似たシステム、新作でも搭載してほしいなー。

新しい遊び方を模索できているダンジョン、アドベンチャーパート

先ほども述べましたが、

今作では従来のSRPGにはまず搭載されていないであろう

3Dダンジョンを探索する「ダンジョンパート」。

各地の街で人々との会話や仲間の加入、アイテム探しなどといった要素を楽しめる

アドベンチャーパート」という物が存在します。

 

個人的にこの2つの要素は非常に良かったなーと思いました。

何が良いかというと両者、

通常のRPG感を強く出すことに貢献しているという部分です。

僕はSRPGは単体としてもまあまあ好きなジャンルなのですが、

やっぱり普通のRPGの方がジャンルとしては好きなんですよね。

今作はSRPGながらもかなり冒険色が出ていてそこが好みでした。

ついでに世界観をよりわかりやすく伝えることにも貢献していると思います。


せいぜい一本道のおまけ要素かと思っていたダンジョンパートも

後半に行くにつれてどんどん長く広くなっていくし、

特にラスダンは凄い長かったですね。

まさかあそこまで作りこまれているとは思っていませんでしたよ。

物を壊してアイテムをゲットできるのも要素としてはいい感じでした。


アドベンチャーパートも隅々まで見ないと見落とす仲間キャラクターや

アイテムなんかもあって、

両方とも中々力の入っていた印象です。

後移動も下画面タッチのおかげでしやすかったし。

街の存在はゲームとしてもスパイスになっているので、

新作に入れてもいいな、と思いました。

完成度の高いシナリオ

今作は3DSのFE二作と比較すると、

シナリオが高水準だったと感じました。

単純に前二作がシナリオよりも、

キャラクターイベントを優先した作りだったからだとは思うんですが、

今作の場合シナリオに重点を置いたゲーム性になっている為か、

明らかにプレイしていて印象が違いましたね。

 

まず最初のオープニング、

そして序盤の映像で一気に作品に引き込まれる展開なのも素晴らしいし、

章ごとに先の展開を示唆する演出が入るのも良かった。

オープニングで張った展開を回収しながら、

後半の徐々に明らかになる真相は中々衝撃的でしたし、

それらを乗り越えていく主人公のアルムはとてもかっこよかった。

後は悪役が中々キャラが立っていたのも良かったです。

それぞれの思惑でキャラクターが行動しているので印象的ですし、

終盤の展開もかなり好きでした。

今回はラスボス戦のテーマもわかりやすくて良かったですね。

○○からの逸脱と、ありがちなテーマですがかなり燃える展開でしたよ。

全体的に話の整合性もある程度取れていたし、

個人的にこのくらいのシナリオであればいう事ないですよ!

新作もこのクオリティでお願いします。

デザイン、中身ともに良質なキャラクター

今作はキャラクターデザインが非常に僕好みでした!

絵師が左さんというのも大きいのですが、

デザインの方向性が作品の雰囲気とも

うまくマッチしていてそこもまた良かったと思います。

デザイン的に一番好きなのはデューテ。

とにかくあざとさを前面に出してくるこの一枚絵は強いですね。

全体的に男キャラ、女キャラそれぞれ味が出ているのも良かったと思います。

またデザインだけでなく、キャラクターの中身もなかなかよくできていました。

実に主人公らしい主人公だったアルムは

ここ最近プレイしたゲームの主人公では一番好きですし、

他にも劣等感を持っていながらも友としてアルムを支えるロビン。

ヤンデレ枠と思わせながら最後まで支援会話を見ると印象の変わるエフィ。

スタータスでネタにされがちですが

人間らしい性格でしっかり作中でも成長するクレーべ等々。

とにかく良いキャラクター揃いで楽しんで

キャラクター育成を出来たのも良かったです。


今作は前述の通りストーリー主体のゲームだったので。

支援会話の要素はそこまで強くなかったんですけど

その少ない要素の中できっちりキャラクターを立てていたのはかなり好印象です

それぞれ尖りすぎていないキャラ付けをされていたので

うーんとなるキャラクターも少なかったですしね

後各場所に立ち寄るときに発生する主人公との会話イベントも良かった

地味にこれら全部フルボイスだったのでわざわざ見る気にもなったんですよ

次作以降全部フルボイスにしてほしいなぁと思いましたね

リメイクとしても質の高い音楽

今作はFEシリーズの例にもれず非常に音楽のクオリティが高いのですが、

今作の良い所は原作「外伝」の曲に沿って丁寧に作られていることですね

当時のメロディラインはそのままに、今風の曲として再現されているので、

リメイクとしてはかなり良い形になっていると思います。

 

その中でも印象的だったのは、4章フィールドマップの「在りし日の唄」 。

これまでのフィールドマップのBGMから

ガラッと変わるのも印象的なのですが、

ここら辺から一気にストーリーが核心に迫って

いくのでいかにも佳境に入った感じが出ていて良いなと。

そして一番好きなのは最終戦の「神よ、その黄昏よ」。

この曲はオープニング曲のアレンジであり(というか多分順序が逆ですが)、

外伝の最終マップのアレンジにもなっているという凄い曲なんですよね。

聞き比べてみましたがメロディラインはしっかり再現されていながらも、

バックコーラスにより非常に壮大な雰囲気に仕上がっていて最高でした。

同じメロディを繰り返すという昔ながらのゲームを、

今風に忠実にアレンジしているという点では凄い秀逸です、

曲構成が上手すぎるんですよね。

何よりストーリーのシチュエーション、演出も素晴らしいんですよ。

各キャラクターのセリフ、とどめの演出が最高に盛り上がるので、

そういうのもあってこの曲は非常に印象深いですね。

問題点

やや雑なバランス調整

今作は全体的にゲームバランスが悪いなと感じました。

ユニットに強い、弱いがはっきり分かれてしまうような、

スタータス調整をしている部分もそうなのですが

特に気になったのが後半のステージの運ゲー感ですね。


今作では魔女という敵がワープをして攻撃しているんですけど、

これ、どこに飛んでくるかも、いつ飛んでくるかも全く分からないんですよ。

これのせいで魔防が低いキャラは、

常に即死の危険性を孕んでいる状態になっていて

良く無いなぁと、ちょっとこれは運ゲー感強かったですね。

また終盤ではちょっとどうなの?と感じる、

初見殺しが多いのも気になりました。

ラスボス戦は某4のガードはまだともかく、

ラスボス本体が範囲内にほぼ即死の攻撃をしてくるせいで、

一度やり直す羽目になってしまいましたよ。

それ以外にもオープンワールド、ダンジョンでは無限に沸いてくる敵に、

エンカウントしてしまうのがめんどくさかったり、

なんだか所々雑だなと感じる部分もちらほら。

おそらくこれらの微妙に変なバランスは原作から、

そのまま変えずに持ってきているからなんでしょうね。

調べてみた感じそんな意見も多いですし、

ここは賛否ある部分だとは思いますが、

個人的にはもう少しバランスが良い方が良いかなとは思いました。

ただ致命的な部分では決してなかったと思います。

全体的にSRPGとしてパワーダウンしている

今作は3DSの前作「~if」と比較すると、

SRPGとしては全体的にパワーダウンしているかな、という部分も多かったです。

前述のバランスの悪さもそうですが、

マップも作りが全体的に古典的で飛びぬけて楽しめる物となっていないですし、

仲間のクラスチェンジ先が固定されている為、

キャラクターの育成という部分の要素も弱い(一応村人ループがありますが)。

武器も買えないのでそういったカスタマイズ性もさほど高くない。

キャラゲーとしてみても支援会話もありはするものの要素としては、

明らかに弱くなっています。

(まあここに関しては強すぎても賛否ありそうですけど。)

ただまあこれはあくまで比較対象が、

非常にSRPG部分がよくできていた「~if」であるからこそ、

やや控えめな印象を受けたという点で強く、

単体でそこまで出来が悪いという訳ではないかなとも感じています。

そもそもリメイクととるか新作的なリメイクと取るかで、

認識は全然変わってくるのであくまで僕はこう感じた、

という程度に抑えておきたいと思います。

まとめ

こんな感じですかね。

全体的には期待値以上に楽しめて良かったです。

リメイクという事で新作ほどは期待していなかったのですが、

実際新作並みくらいには楽しめました。


そのままの調整をされているバランスはかなり賛否あるとは思いますが、

ターンスキップとミラの歯車のおかげで、

そこまでイライラしない仕様になっていたと思います。

まあ下手にいじるよりも

こういう救済処置の方がいいと考えたのかもしれませんね。

後は今作を「どのように見るか」ですよね。

SRPGとしては異質なシステム面や、バランス感覚に関しては、

ぼくのようなRPGが好きでSRPGもその流れでプレイしている、

という人にとっては上手くマッチするかもしれませんが、

逆に合わない人にはとことん合わないかもしれません。

 

個人的にSRPGってある程度行きつくところまで行っている気がするので

こういうタイトルが出てきてもいいんじゃないかと思うのですが。

新作も若干でいいから今作の要素を引き継いでくれると嬉しいかも。