前回の記事で、感想のまとめ記事をあげるみたいな感じの事を書いたと思うのですが、ちょっとブログのレイアウト変更に、想定以上に時間を取られそうなので、順序を変更します。
というわけで、今回は感想記事を。
さて、今回は「ISLAND」の感想記事をあげます。
本作、実は先月に発売されたSwitch版※を、こっそり買っていてサクッとクリアしていました。
プレイ時間は25時間ちょっと。ノベルゲームとして考えると、まあ平均的くらいな内容なのかな。文章の量は多めだったと思います。
※本作、Win版が2016年に発売されてい ます。その後PSV,PS4でも発売され2018年にはアニメも放映済み。2021年4月8日にSwitch版が発売。
恋愛系SFアドベンチャー
まず、ジャンルに関してですが、恋愛系SFアドベンチャーという感じになるのかと思います。
物語の前半はあくまで、SFは伏線として小出しに「恋愛アドベンチャー」要素がメイン。
で、とある部分からは、ガッツリSF系にシフトしていくような内容でした。
ゲーム内容としては特筆するようなことはないかな。
選択肢を選んで進めてくだけで、所々バッドエンドがあるかなくらい。
チャートの作りが丁寧で、スキップ機能も快適なのは、アドベンチャーゲームとしては良かったと思いますが。
後、特徴的なのは明確にメインヒロインが誰であり、サブヒロインが誰であるかが割とはっきりしているという事ですかね。
特に最初プレイする必要のあるサブヒロインルートは、最後までプレイするととことんサブって感じで、凄い割り切ってるなって思ってしまいました。(話の内容として、意味はあるんですけどね。)
まあ、公式のジャンルで既に明確な相手が決まっているから仕方ないのかも。
夏の孤島をテーマにした作風
物語の舞台が夏の孤島ということで、全体的に夏にちなんだエピソードが多めでした。
特に物語中盤までのサブヒロインまでを含んだルートまでは、その雰囲気が強めかも。
その一方で、先が気になる伏線要素としても、同様に夏のイメージから取り入れていた印象です。
序盤から出てくる恐ろしい風土病「煤紋病」、いかにも時間移動を感じさせるエピソードの「浦島伝説」、廃墟になった「海上ステーション」。
個人的には要素としてワクワクするような内容が多くて、序盤から先が気になるのは良かったのかなと感じましたね。
SF好きとしてはこういう要素はたまらん!
張り巡らされた伏線
先述したキーワードもそうですが、SF作品らしく、全体的に伏線も張り方は秀逸でした。
度々入る夢の中の描写で、主人公が並々ならぬ過去を持っていることを序盤から示唆していますし、所々の日常パートにもSF的な内容の話を取り入れて、プレイヤーの頭に丁寧にインプットさせていた印象です。
全体的にミスリードを誘うような内容も多く、色々な想像をもって真実を追っていく感覚が楽しかったですね。
厳密に言うと、全ての伏線が作品内で回収されているわけではないのですが、物語の中核になる要素の回収の仕方は見事で、それまでの伏線描写を全て見返したくなるような作りになっていて、感心しました。
意外性のある後半の展開
前半で伏線を小分けにして出しつつ、あるシーンで一気に爆発させて、後半パートに突入するというのが本作の流れなのですが、この後半部分、○○編は意外性抜群の内容になっていて良かった。
というのも前述した通り、今作は「夏というテーマ」を、全面的に意識した作品作りになっているんですよね。
物語前半にその要素を全面的に押しているからこそ、後半で出てくる仕掛けに驚くような内容になっていて、惹き込まれました。
ギャップを狙って作ったんだと思いますが、いい仕掛けだったなあ。
そして、その上での最終面で明かされる真実は圧巻の一言で、予想の遥か上を行ってくれました。
正直一概にハッピーエンドとは言えないとは思うんですが、個人的には凄い感動してしまった。
真エンディングは実に今作のテーマらしい終わり方だったのかなと。
終盤の展開は完全にしてやられた!
丁寧なキャラクター描写
キャラクター描写はとても良かったと思います。ヒロイン勢からサブ勢まで、丁寧な人物描写が目立っていて愛着がわきました。
特にヒロイン勢の描写が一癖あってよかった。ヒロインストーリー共通のテーマが、自分とは何か、人はどう生きていくのかというシリアスな内容なのもあって、描写は結構重いですが、
その分、一癖も二癖もあるオリジナリティを持ったキャラクターに仕上がっていたのではないかなという印象です。声優さん、主にゆかりんの演技も凄く良かった。
個人的に一番好きなキャラクターは、ネタバレになってしまうので、置いておきますが。
まあ最後までプレイすればあのキャラになってしまうんじゃないかと。
ピアノの音が美しいBGM
BGMは全体的にピアノの音がメインの曲が多めでしたが、場面によくあった曲が多くて耳に残りました。
個人的にはタイトル画面の「繰り返す季節の中で」、悲しい系のイベント曲「空虚な答え」、SF系のシーンで流れる「神がいるというのなら」、感動シーンで流れる「この感情は使命」、そして○○編のテーマ曲「侮蔑の視線」辺りが特に好きです。
インパクト的には侮蔑の視線が強いけど、タイトル曲も、クリアしてから曲を聞くと凄いジーンと来るものがありました。
結構気に入ったのが多かったので、ここら辺と「陽炎」だけ、アマゾンミュージックでバーッて買っちゃいました。
気になった所
単体作品で完結していない
一番気になったのは、本作、単体だと世界観の全貌が把握できないことです。
前半で撒かれた内の多くの伏線は、後半で回収されますが、一方で作中では明らかにされない事実も多くちょっとモヤモヤしました。
どうやら本作は、他に出ている外伝小説や漫画、ゲームなどと世界観を共有しているようで、本作のみだと置き去りのまま説明されていない部分も多いようです。
そもそもの話、一番重要な主人公の話に関して明かされなかったのが、個人的には残念に感じてしまったかなあ。
一応、物語としてはきれいに終わっているとは思うんですけどね。
個人的にどうしてもモヤっていたので、ネットで考察記事を読み漁っていたのですが、上記の考察が素晴らしく丁寧で、多少スッキリしました。
まとめ
と、こんな感じでした。
本作、実は2018年くらいに買おうか悩んで、一回購入を見送っていたことがあったんですが、今回ようやくプレイできました。
評価の高いシナリオはどんなものかと思っていたのですが、期待以上でしたねー。もうね、真エンディングを見た後は、しばらく物思いにふけってしまいました。
個人的には単作品で把握できない事実があるのが、引っかかってしまうので絶賛とまでは行きませんが、SF系のアドベンチャーゲームがプレイしたい人は是非!
特に終盤の衝撃度は、同ジャンルの作品に慣れていればいるほど大きくなると思います。見事に騙されてみてください!