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【レビュー】Voice of Cards 囚われの魔物【感想】やりたいことは伝わってくるが、作品としてのまとまりはいまいち

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どうも、ば~んです。


今回は「Voice of Cards 囚われの魔物」の感想記事です。いつも通りSwitchのダウンロード版でプレイ。

プレイ時間は18時間弱。ドラゴンの島よりはやや長かったですが、できそこないの巫女ほどのボリュームは無かった印象です。

ただ、やり込み要素はランダム要素が強かったのであまりやりませんでした。そこら辺やり込むともうちょい遊べるかな。

のゲームのポイント!・Voice of Cardsシリーズ3作目。
・これまでの作品に比べて、ストーリー性を強化した作風。
・上記の影響か全体的にワールドは狭く、一本道気味の印象が強い。

 

Voice of Cardsシリーズ第三弾

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本作はVoice of Cardsシリーズの3作目になります。

前作「できそこないの巫女」からおおよそ7ヵ月ぶりと、1作目から1年弱で3作まで来ましたね。

相変わらず発売スパンが短いのもあり、内容に大きな変化はなし。とはいえ、作品ごとにしっかりと味付けはされていますので、マンネリというほとでもなく。

また、今作に関してはでき巫女以上に、前作との繋がりがほとんど見つけられませんでした。(ぼくが見落としているだけの可能性もありますが)


なので、単体でも問題なく遊べる内容かと。

ストーリー性に焦点を当てた作風

そんな本作なんですが、作品の方向性としてはでき巫女よりもドラゴンの島に近い、ストーリーテイストな雰囲気でした。


ストーリーに沿って進んでいくので、シリーズの中でも一番マップは一本道気味に感じました。代わりにストーリー描写にはこれまで以上に力を入れたような感じですかね。



冒頭から主人公を大きく揺るがすようなイベントから始まったり、各キャラクターの掘り下げがこれまでより丁寧だったりと、そこら辺の描写は中々力が入っています。

パーティーメンバーは入れ替わりはほとんどなく、途中からは四人で固定。代わりに特殊スキルなどは特になしと、良くも悪くもでき巫女とは反転させているような内容でした。ここらへんがどちらが好きかは、まあ人によるのかな。


システム面に関しては相変わらず大きな変更点はないので、ここからは本作独自のポイントに絞って要素を紹介します。

意外性のあるストーリー展開

まず、ストーリーに関してから。

正直ですね、100点満点の出来ではなかったんですが、力を入れたであろう部分に関しての見せ方はよくできていたのかなと。


特に、終盤への入り方が素晴らしかった。今作の終盤、これまでの作品以上に衝撃的な設定が明かされるので、遊んでいてワクワク感がすごかったです。

特にラストダンジョンに入る辺りの下り。さすがはニーアチームが作った作品だなと感じられるような内容になっているので、そういう要素が見たくて遊んでいるユーザーにはとても刺さるんじゃないかと。

(何となくオートマタとレプリカントの要素混ぜたように感じました。後、色々ゼノブレシリーズっぽい。)

 

まさか、このシリーズであんな設定を描写してくるなんて!?


それ以外、旅路の中の各街のエピソードはブラックかつダークな話が多く、このシリーズらしい描写は健在でした。(4章の展開はマジかよって思ったわよ。)


ただ、あんまり話に一貫性は無かったのかなーという印象です。オムニバスっぽいので形式的にはドラゴンの島っぽい感じ。



まあ、「魔物」というポイントと仲間の掘り下げ、という点はいずれのエピソードでも描写されていたので、トータルで見ればそこそこ楽しめました。

特に主人公とルゴールの旅路の始まりはロマンティックで、これまでのシリーズで一番好きな始まり方だったかなと。

気になった点は後述します。

魔物をスキル化するという収集要素

次に本作独自の魔物システムに関して。今作、新しい収集要素として「魔物カード」という概念が追加されています。


これは、魔物カードを装備カードのように各キャラクターにセット出来て、セットしたカードの持つスキルをそれぞれのキャラが使えるようになるというモノ。要はスキルを装備性にしたような感じですね。


各カードは街でショップで買える他、戦闘後のアイテム取得でもランダムで入手可能になっています。なのでこれまで以上に収集要素が強調されていたように感じました。


総じて、色々な魔物を集めて、それぞれのキャラクターに装備させていくというカスタマイズが楽しめるゲーム性になっていて、中々良かったんじゃないかと。

誰を回復役にして、だれを攻撃役にさせるのかという幅がこれまでよりも広がっているので、戦闘の遊び方に色々試行錯誤が楽しめるのも評価したい点です。

ただ、こちらも気になる点もあったので、そこは後述します。

ほどほどな戦闘難易度

戦闘難易度に関しては、でき巫女ほどではなく、ドラゴンの島よりは難しいというほどほどって感じでした。

基本的に大ボス以外はサクサク。大ボスはまあまあ強いけど、負けるほどではない。ラスボスはめっちゃ強いみたいな感じ。特にラスボスは結構辛かった。でき巫女ほどではなかったですが。

ラスボス戦は連戦続きだったので緊張感あったなあ。

 


戦闘自体のシステムとしては、上記の魔物カード以外だと「防御」コマンドの追加が印象的。

ダメージを半分にするのがミソで、これを使用しないと壊滅することなんかもあったりしていて、ボス戦の歯ごたえが増しているのは面白かったかなと。

初の女性声優ナレーション

後は、ナレーション。今作はでは石川由依氏が担当していて、シリーズでは初の女性声優でのナレーションとなっていました。

前2作のテーブルゲームらしい堅いイメージが薄れて、やわらかい雰囲気になったたため、ある意味朗読を聞いているような感覚で遊べたのでちょっと新鮮でしたね。

相変わらず言い間違いネタは多かったんですが、雰囲気のおかげかそこまで気にはならなかったです。

旅の雰囲気を感じられるケルティックサウンド

シリーズ恒例のサウンド面も良かった。

アイリッシュ、ボサノバと来て今回は何かな?って思ってたんですが、今回はケルト系でした。特にストーリーと合わせて、旅感を強調していたのかなと。

Voice of Cards 囚われの魔物 Original Soundtrack

Voice of Cards 囚われの魔物 Original Soundtrack

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砂漠とダンジョンが舞台の前半は乾いてたり、暗い雰囲気の曲が多いんですが、後半に入ると一点、新しい地平を感じさせるような「新天地」という曲が出てきたり、バラエティ豊かな内容でした。

舞台が別れているからこその色々な雰囲気が感じられる旅路を表現したような形で、狙いとしては面白かったです。

後は、戦闘曲も良かったんじゃないかと。恒例のバトル枠「荒波に飛び込め」はもちろんのこと、神獣戦の「神なる獣」は切迫した空気を感じさせる熱い一曲ですし、一部イベント戦で使用される「星を探す旅」も耳に残りました。

ただ、一点。前作でもそうだったですが、一部インスト版がサントラに収録されてないんですよね...。普通にボス戦として使われてるんだから入れてほしいんだけどな...。

気になった点

冒険感が薄い

本作、ゲーム進行のシステムの影響で、過去作に比べてとにかく冒険感が薄く感じてしまいました。

というのもですね、ストーリーによるゲーム進行を強調しすぎているんですよね。

過去2作は広大な世界があって、そこをある程度自由に行き来しながらストーリーを進められたんですが、今作は地方ごとにワールドが分かれていて、ストーリーに沿って進めていくことしかできません。

なので、世界の広さをあまり感じられなかったし、探索も楽しめなかったです。

一方で、逆にダンジョンはでき巫女からの流れを汲んで超肥大化してるんですが、この配分ちょっといまいちな気がするんですよね...。遊んでてあまり楽しくないというか。

せっかくカードで容易に表現できるんだから、もう少し探索の部分に舵を切って欲しかったのですが...。でき巫女の広大な大海原がとても恋しくなる出来でした。

唐突に感じるストーリー描写

ストーリー。確かに力は入っていたし、終盤の衝撃的な展開のような面白い部分もあったんですけど、ちょっと見せ方に問題があったような?

特に最終盤。終盤で出てきた驚きの設定がどういう帰結をするのか気になっていたんですが、んー?っていう感じの消化のされ方で拍子抜けしてしまいました。

後は、例えば後半の展開で最初の街から追われてました!っていう展開が急に復活したり、各町でのストーリーとキャラクター描写がいまいちうまく結べていなかったり、なんかモヤモヤする所が多かったです。

おそらくですが、先に展開とやりたいネタを書いて、その後にキャラクターを作ったよう気がしてならず。一貫性が薄く、何が見せたいのか良く分からなった。

個々のエピソード自体は悪くないし、キャラも良いと思うんですけどね。ちょっともったいないなと。

魔物カードのランダム性が強すぎる

魔物カードに関しても気になる点がありました。

魔物カード、ランダム性が高すぎて収集要素としてめんどくささが強調されてしまっているような気がするんですよ。

本作、やり込み要素として特定のレア度の魔物カードを要求されるんですが、狙ったレア度の魔物カードを出すのがとにかく難しいです。というのも、狙ったカードを出すには、

特定の魔物にエンカウント⇒そこから撃破して確立で宝箱出現を引く(これはアイテム使用で100%にはできる)⇒そこから3択を当てる


というかなりめんどくさい手順を踏む必要があるんですよね。最後の3分の1ですらダルイのに、そこに至るまでも手間がかかるのでやる気が起きませんでした。

おそらく、既存のアイテムドロップシステムと魔物カードの性質が噛み合ってないので、もう少しシステムを見直してくれると遊びやすかったかなと。

まとめ

と、こんな感じでした。

でき巫女とはまた違った形として、ストーリー主体で遊びやすく、ゲーム性は魔物カードで変化を加える。そんな狙いは良く分かる作品でした。

ただ、いかんせんそれぞれ欠点が目立ってしまっていて、魅力が十分に伝わってこなかった。ストーリーも最後まで遊んだ時点だと、消化不良感が否めなかったし、システム面もめんどくさくてやり込みは放置してしまいました。

そういう意味だと、残念ながらシリーズで一番好きになれなかったです。

設定面含めて、光る点はあると思うので遊ぶ価値がないとは言いませんが、続編を出すのであれば、ぼくはでき巫女の進化系の方が遊んでみたいですね。