今回もレビュー記事ですがこれでようやく6月分のストックが吐き出せました。
この次にレビューするのはたぶんドラゴンクエスト11になると思います。
さて、今回レビューするのは「ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー」。
このゲームは今年の6月29日にアトラスから発売された3DSのRPG。
2010年にDSで発売された「ラジアントヒストリア」のリメイク作品で、いくつかの要素が追加されています。
プレイ時間は36時間55分。全体のクエスト達成率は7~8割程度で、亜伝の要素は大体プレイしました。
最上位難易度のクエストを除いたプレイ時間は、大体この程度になるのではないでしょうか?まあまあのボリュームでしたね。
ゲームの特徴
本作の大きな特徴は、まるでアドベンチャーゲームとRPGが融合したかのようなゲーム性です。
本作の主人公、ストックはとある書の力によって時を遡る、いわゆるタイムリープ的な能力を持っており、その能力を使用して異なる世界観を移動しながらゲームを進行させていくシステムになっているんですよね。
当然バットエンドもいくつも存在しており、それらを回収するというアドベンチャーゲームのような楽しみ方もできますし、
一方でRPG部分もそれなりに作りこまれているので一本でまるで二つのジャンルの内容が楽しめるようになっています。そこが本作の魅力となっています。
評価点
RPGとアドベンチャーを融合させたかのようなゲームシステム
前述の通り、今作のゲームシステムは、RPGとアドベンチャーゲームを融合させたようなシステムになっています。
ゲーム進行はあくまでよくあるRPG形式ですが、時には時間を巻き戻って、あるいはもう1つの世界にいって、問題を解決しながらストーリーを進めていきます。
ただし、どの時間にも戻れるわけではなく、物語の重要地点が定期的に発生するのでそこに戻れる、という感じのシステムになっていますね。
個人的にこのシステムはとても良かったと思います。
どうやれば起こった出来事を変えられるか、という推理要素がオーソドックスなRPG部分と上手くマッチしていて、両方のジャンルのゲームをプレイしているような感覚でした。
当然選択肢を誤るとバットエンドになってしまうのですが、その際にもキャラクターからヒントのような会話がいちいち聞けるし、その内容が面白いのでついついバットエンドも回収したくなる魅力もありましたね。
またこのシステムはメインストーリーだけでなく、各クエストにも利用されています。
今作のクエストは基本的にこのタイムリープ的な仕掛けを利用する事で進めていく内容になっていて、ここも独自性が強くて面白いなと感じました。
RPG部分はフィールドを歩いて、目的地へ行くという非常にオーソドックスな形式ですが大きく出来が悪い点はなく、上記のアドベンチャー部分ともシンプルながら良く噛み合っていたと思います。
ただ…→問題点に続く
完成度の高いストーリー
前述の通り、今作はタイムリープ的なシステムが主軸になっており、それと深く結びついたストーリー展開が繰り広げられます。
基本的に、ストーリーの流れは、バットエンドに遭遇してしまう→時を巻き戻すorもう一つの世界に行ってその出来事を変える→バットエンドを回避する。といった感じになっていますね。
世界観は王道ファンタジー、ただし二国間の戦争という要素がストーリーに深く関わってきており、なおかつ世界が滅びかけているという、全体的にはかなり暗く重めのストーリーだと思います。
しかし「死亡フラグをへし折るRPG」を自称しているだけあって、展開の一つ一つは良い感じに進んでいくので、プレイしていてそこまで憂鬱には感じませんでした。
また、今作は全体的にキャラクターも良かったと思います。特に主人公のストック。
ストックは基本的に冷静で優秀、というさじを間違えると、ただの俺Tueeee的な主人公になってしまいそうな要素を持っているのですが、内心非常に熱い思いを持っており、かつ仲間思いという非常に魅力的な人物として描かれていました。
中盤で自らの気持ちをぶつけるあのシーンは必見だと思いましたね。
それ以外もパーティーキャラクターからサブキャラクターまで、非常にストーリーの中で生き生きとしたキャラクターが多く、印象的なキャラクターばかりでしたね。
全体的にはタイムリープを上手くファンタジーのストーリーに落とし込んでいて、なおかつ矛盾点も少ないので、ストーリーの完成度はかなり高かったと思います。
特に終盤、とあるシーンでは声優さんの演技も相まって、久しぶりにゲームで泣いてしまいましたよ。
個性的な戦闘システム
今作の戦闘システムは他のRPGと比較するとかなり個性的なシステムだと感じました。
攻撃やスキルといった概念は同様の物なのですが特徴的なのはマス目、グリッド的な要素です。
敵キャラクターは「3×3」のグリッド上に存在しており、敵の位置によって互いが受けるダメージが変化したり、敵同士がグリッド上の位置によっては連携技を撃ってきたりと、パズル的な要素の強い戦闘システムになっていました。
一見難しそうに見えるかも知りませんが、実際の所、システムを理解するのはそう難しくなく、雑魚戦は敵を同じ位置に集めてまとめて粉砕、ボス戦は一定の距離を取りつつ適度に攻撃して、完封等といった爽快なプレイができます。
難易度調整も中々よくできていて、中盤以降は一筋縄ではいかない部分もありましたが理不尽と感じるところはあまりありませんでしたね。
新要素、「亜伝」が楽しい!
今作はオリジナル版の要素に加えて、クリア後に「亜伝」という新章が追加されています。
「亜伝」は基本的にクエスト形式で物語が進行するのですが、そこでは「可能性世界」という本編では見られなかった、色々な場面においてのifの描写が見られるんですよね・
個人的にはこれが凄い良かった!せっかくタイムリープ的な要素を強く含むストーリーなのに、二つの平行世界しか見られないのは、なんだか物足りないと思っていたのですよ。
ここでは、各登場人物に焦点を絞って、ifストーリーが見られるのでよりキャラクターについて好感が持てるし、素晴らしい作りだったと思います。
中には本編ではあまりいい扱いでなかった人物も救済されていたりして、色々とスッキリしました。
それに加えて、今作は「亜伝」を進めていくと、最終的に真エンドとも呼べる本編の続きの新たなストーリーが発生します。
本編のラスト自体もかなりよかったと思うんですが、僅かに残った未回収の伏線や世界観設定等を完璧に保管した大団円的な内容になっており大満足。
実の所本編だけだともう少し個人的な印象も下だったので、「亜伝」の存在は中々大きかったと思いますね。
それとこれは個人的にですが、亜伝のメインキャラクター「ネメシア」は、今作で一番かわいいなと思いました。
重要な設定も持っていて、単なるサブキャラクターで終わっておらず、本編に欠かせないキャラクターだったと思います。
良質な音楽
今作の音楽は下村陽子氏が担当しているのですが、相変わらず音楽のクオリティは高かったと思います。
個人的にはまずオープニングの曲が好きかな。
物悲しくも勇ましい雰囲気が実に今作とマッチしていて、今作からの新曲ながらピッタリハマっているなと思いました。
通常戦闘曲の「Blue Radience」なんかは正にいつも通りのクオリティでさすがという印象です。
この曲もそうなんですが全体的に今作の曲は氏がストレートに作ったという印象を強く受けました。あんまり変化球的な曲は無かったと思います。
なので氏のファンにはとてもおススメ。
問題点
やや弱いRPG部分
今作のRPG部分、基本的なRPGの作りに沿ってはいるので、出来が悪いとは言いませんが個人的には少し物足りなかったかなという感じです。
ストーリー上何度も同じ所を行き来させられますし、ダンジョンやフィールドもさほど特徴がないので冒険感も弱い。
終盤のダンジョンに至っては露骨なコピペマップが出てくるし、もう少しRPGとして出来が良ければなぁと感じてしまいました。
何をRPGに求めるか、人によって違うとは思いますけど、このゲームはぼくのもとめる要素がいまいち弱かったかなー。
予算があんまりなかったみたいですし、そこまで気にしてはいませんが。
戦闘のテンポがやや悪い
前述の通り、今作の戦闘システムは割と個性的で、そこそこ完成度も高く面白いとは思うのですが、一方でややテンポが悪いと感じる部分もありました。
ボス戦はまあ全然良いのですが問題は通常戦闘。一行動毎にいちいちモーションが入るので、多数の雑魚を相手にする時にじれったさを感じましたね。
特に物語前半では全体攻撃が少なく、雑魚が多数、しかも先制攻撃なんかを取られた時にはゲンナリしてしまいました。
後半になって、スキルが充実してくるとある程度解消されるのですが、前半はどうしても気になってしまったかなぁという感じですね。
まとめ
こんな感じですかね。全体的に出来は良く、さすがは名作と言われている作品のリメイクなだけはあるなと思いました。
ただ、正直オリジナル版の終盤は予算の都合か、力尽きかけているな、と感じた点もあって(主にコピペマップ)そこらへんは少しテンションが下がってしまったかなーという感じです。
ただし、亜伝の出来は非常によく、オリジナル版だけではわからない、世界観の全てが解明される物語なので、オリジナル版をプレイした方にもおすすめできると思います。
総じて、タイムリープの内容を含んだ個性的なRPGですが、内容は中々丁寧に作られていて王道ファンタジーが好きな人からタイムリープ物が好きな人まで幅広く楽しめるゲームだと思います。気になる方はまず体験版からどうぞ。
余談ですが、今作のディレクターの平田氏は、WiiU「幻影異文禄♯FE」のチーフディレクターも担当していたようで戦闘におけるサポートシステムは「セッション」システムを意識していた物なのだとか。
奇しくも個人的には、あのタイトルもこのタイトルとちょうど同じくらいの出来だった印象なんですよね。
あちらは、シナリオ以外がよくできていて、今作はとにかくシナリオが尽きぬけて良かった印象なのでこの二つの良さを兼ね備えたゲームが出てくればとても良いゲームになるんじゃないかとぼんやり考えていました。