どうも、ば~んです。
今回は「ハーヴェステラ」の感想記事です。
プレイ時間は55時間超。メインストーリーはクリア、その他のやり込み要素に関してはキャラクターイベントはコンプリート、クエストもある程度はやり切った、という感じですかね。
クリアまでの目安は50~60時間程度で、クリア後も遊ぶのであれば3桁遊べる、そんなイメージでよいかと。
- RPGを軸にスローライフをシステムに組み込んだ作品
- ファンタジックな美しい世界観で送る日々
- 重厚な設定から描かれる壮大なストーリー
- 魅力的なキャラクターと丁寧なサブイベント
- 豊富なやり込み要素
- 軸の一つとして相応しいサウンド
- 気になった点
- まとめ
RPGを軸にスローライフをシステムに組み込んだ作品
まず、最初に一番大事なポイントから。
本作、公式で生活シミュレーションRPGというジャンルを名乗っているのもあって、一見すると
と思う人も多いと思います。確かにですね、近しいシステムではあるんですが、本作、ほかのライフゲームと決定的に違う点が一つありました。
それは、あくまでメインの部分はRPGで、その中に生活のシステムを組みこんでいる点です。
なので、例えば畑仕事がゲームとして重要な設定を占めているわけでもないし、あくまで生活における1パートという感じ。
メインはストーリーを進めて、各地に赴いて、ダンジョンを攻略していく所にあります。
キャラクターとの交流もありますが、あくまでRPGのキャラクターイベントのような形式なので、結婚とか恋愛とか、そういう感じの雰囲気ではありません。
基本はストーリーを進めて、キャラクターと出会っていく、王道形式のRPGの中にスローライフシステムをミックスさせたという認識の元で、購入するのが一番想像とギャップが生まれないのでいいかと思いました。
ファンタジックな美しい世界観で送る日々
こう書いてしまうと、本作にはスローライフゲームとしては魅力がないのか?と思われてしまいそうですが、決してそうではなく、本作独自の良さはしっかりとありました。
その一つが、ハイファンタジーともいうべき美しい世界観。スクウェア・エニックスらしいファンタジックな雰囲気の中で生活を営むことが出来るというのは、ほかのスローライフゲームにはあまりないポイントです。
景観に力を入れているのもあって、綺麗なロケーションも多く、幻想的な雰囲気が好きな人であればその空気に魅力を感じること間違いなしです。
スローライフ要素としても、畑作、釣り、ペットの世話、料理、クラフトなど基本的な要素は一通りそろっていました。
いずれも作りはそこまで深くはないですが、システムとして最低限の部分は抑えられています。
妖精の力を借りて畑作を進めていったり、買ったペットに乗ってワールドマップを移動したり、RPG的な独特なアレンジも加えられいるのも特徴的。
そして、そんな生活の中でクエストを進めたり、キャラクターイベントを見たり、ストーリーのダンジョン攻略を進めたりと、気ままに日常を送ることのできる体験は、他にはない貴重な個性になっていたのではないかと。
RPGもスローライフも好きなので、絶妙に刺さった!
重厚な設定から描かれる壮大なストーリー
本作、ストーリーはとても面白かったです。開発のコンセプトとしてスクウェア・エニックスらしいJRPG的でスケールの大きい物語、というものを掲げていたようですが、正にその通りの出来でした。
良いと感じたのが、話の組み立て方の質が高く、かつ先が読みにくい展開を描けていること。ストーリーは大きく分けて前後半の2パートで進行するんですが、いずれも出来が良いです。
物語前半はファンタジー世界を舞台に、各地で起こる異変をキャラクターと共に解決していくという王道RPGのような作りになっているんですが、このパートが既に面白いんですよ。
各街、それぞれ四季をテーマにしていて雰囲気も違いますし、発生しているSF的な事象物を背景に、事件の真相を追っていく展開は先が読みにくくワクワクしました。
その中で加入するキャラクターの掘り下げも行っているので、RPGとしても理想的な話の展開に感じましたね。
各地のロケーションと事件の内容はブレイブリーデフォルト2っぽかったなあ
そして後半パートでは世界の謎が、SF的な設定とともに解き明かさていくんですが、こちらも素晴らしい出来。
前半部で小出しで出ていた伏線を丁寧に回収し、前半の展開からは想像もできないくらい、壮大でスケールの大きい物語が繰り広げられます。
正直、ラスボスの設定だけはちょっとありきたりすぎるかな?とは思ったものの、(最近似たようなラスボスを見たからかもしれませんが。)
設定から作り込んでいる故か、話の深みはうまく作れていたので、説得力はあったかな。
総じて、ファンタジーとSFを見事に融合させ、懐かしいんだけど新しい雰囲気に仕上げた力量は見事だったと思います。
前後半、いずれもスクウェア・エニックスのタイトルらしい要素が存分に散りばめられているので、ファンであればそれを探すような楽しみ方もできるのもgood!
特に9話の展開なんかはね、往年のスクエニの作品が好きならおおー!ってなると思いました。
魅力的なキャラクターと丁寧なサブイベント
質の高いストーリーに併せてキャラクターも魅力的でした。特に3章以降に加入するメンバーが全員良かった!
前述したとおり、各々メインストーリーの中で加入してくるので、キャラクター像がつかみやすいんですよね。
ストーリーの雰囲気がやや暗めなのに合わせて、割と重めの過去を持っていたり、後悔を抱えていたりするんですが、あくまで前を向いていく強さのあるキャラが中心です。
そんなキャラクターの芯のある部分を、それぞれ用意されている全10話のキャラクターイベントの中でしっかり描写してくれるので、とても愛着が持てました。
個人的にはハイネ、エモのシャトラ組が特に好きでした。前者は明るさの裏に隠したギャップ、後者は重過ぎる背景を持っていながらもひたすら前を向く強さが大変印象的。特に、ハイネのサブクエは大事なので絶対やりましょうね!
メインヒロインポジションのアリアは良くも悪くもキャラに癖があるので、人を選びそうな気がしましたが、科学者って設定や後半のシナリオを見ると、よく考えられて作られたキャラだなーと感じられたので、好きになれました。
突っ込みが面白いキャラなので、選択肢ではボケた選択肢を選ぶことをおススメします!
豊富なやり込み要素
全体としてやり込み要素もかなり多かったです。
特徴的なのが、スローライフ的な要素に加えて、RPG的なやり込み要素の豊富さ。
例えば、クエスト。本作のクエストは住民との交流というよりは、RPGのクエスト形式に近く、受注→完了でスパッと終わる内容になっていますが、内容に世界観や人物描写を上手く絡めているので、中々良くできています。
中には数個連続して描かれるクエストストーリーなんかもあるので、じっくり遊べば遊ぶほど、この世界が好きになれるように感じました。シナリオライターの実力を感じますね。
続いて戦闘のジョブシステム。本作、戦闘の際にいくつものジョブを切り替えて戦うことのできるシステムが採用されているんですが、
このいずれにもスキル成長要素が用意されています。アクション面に関しては後述するように課題はあったんですが、成長要素としては進めれば進めるほど、どんどん派手な技を出せるようになっていくので、面白かったです。
もちろん、スローライフ的なやり込み要素としては、料理の納品、釣った魚の納品、畑作・家畜設備の拡張、などなど充実の内容。総じてRPGとスローライフの良い部分を受け継いだ、充実のボリュームに感じました。
軸の一つとして相応しいサウンド
本作、サウンド面も作品の柱として製作されたようですが、それも納得の素晴らしい出来でした。
作曲者はテイルズやゴッドイーターシリーズなどで有名な椎名豪氏。氏らしい弦楽器中心の美しく、壮大な楽曲が揃っています。曲数も70曲以上とかなりの力作。
特に戦闘曲の出来が素晴らしく、ボス戦なんかは戦闘前のカットインと共に曲が流れるので印象に残ること間違いなし。
前半ボス戦の「運命に抗う者たち」は、演出と併せてイントロが流れ始めた時にはかっこよすぎて震えてしまいましたよ。(上記動画の1:08~の曲ですね。)
その他、「ゆずれぬ戦い」「さらに運命に抗う者たち」「Innocent Prayer」など耳に残る戦闘曲揃い。さらに運命に抗う者たちは、曲名からしてもFFを意識してそうで面白いですよね。
戦闘曲以外に関しても、ダンジョン系列の曲も景観と雰囲気にばっちりあっている曲ばかりですし、かなり質が高かったです。メインテーマを軸にした共通項のあるメロディも耳に残りますし、作品通した曲の完成度は、今年プレイしたタイトルの中でもかなり上に入るかなと。
ゲーム音楽好きとしても見逃せない作品になっているので、良い曲聞きたい人にもおすすめです!
もちろん、サントラも買いました!
気になった点
上手く繋げていない、スローライフパートとRPGパート
本作で一番気になったのは、後半に行けば行くほどスローライフパートの存在感が希薄になる点です。
後半に行くとですね、舞台が初期フィールドから離れてどんどん壮大なストーリーが展開されていきます。内容は前述したとおり、出来が良いので面白いんですが、スローライフ部分がちょっと置いてきぼりになっているような感覚も否めませんでした。
実際問題として、お金はクエストで稼ぐ方が効率が良く、作物を育てるのはあくまで冒険の回復アイテムとして料理を作る、という目的のみになっていきますし、
そうなってくると毎日作物の世話をする意義がだんだん感じられなくなってしまうんですよね。
シナリオ自体とスローライフの結びつきの部分も、正直あまり見いだせなかったので、そこもちょっともったいなかったかなあ。
全く関係ないとまではいきませんが、例えば「天穂のサクナヒメ 」辺りのような丁寧な結びつきを描けている作品と比べると物足りなかったです。
未洗練なクラフト&料理システム
本作、料理とクラフトシステム自体の作りも甘く感じました。
例えばですね、本作色々な食物を使って料理をする要素が大量に用意されているんですが、手に入る食物と実際に使用する食物コストがあまり釣り合ってないんですよ。
そもそも食物を育てるのに複数日かかるケースが多いのに、その種を入手するためにはお金がかかってしまいます。このコストに対する効率的な解答法が、ほかのスローライフゲームと比較してもわかりにくく、かつ弱く感じました。
同じことはクラフトにも言えて、冒険で色々な材料が必要になるんですが、その材料をどこで手に入れるか、という導線が弱いので、満足にクラフトを遊びにくいです。だって、材料を探すのに各ダンジョンを歩き回らなければ行けないですからね。
あくまで、ストーリーを進めるだけあれば、上記の要素はある程度無視しても何とかなるんですが、どんどんクラフトアイテムだけは作れるようになっていくのに、材料が手に入らないゲームバランスはあまり好きになれませんでした。
あっさり目の戦闘システム
戦闘に関してはですね、体験版から予想はついていたんですが、やはりあっさりしていました。システム的にはルーンファクトリーに近いです、あのくらいの大雑把感覚。
スローライフの戦闘としてみれば、まあこの程度かなとも思う一方で、本作くらいRPGに成分を振っているのであれば、もうちょい頑張っても良かったのかな?とも感じました。
特に気になったのが、回復がアイテム使用か就寝(次の日まで寝る)しかないこと。そのシビアさのわりに、アクションに防御コマンドが用意されていないので、被弾しまくります。
回避コマンドは一応あるんですけどね、アクションが大雑把なので中々被弾しがち。
ボス戦自体は結構演出とか力が入っていてよかったと思うんですが、それ以外に関してはもう一歩だった印象です。
いまいち快適性に欠けるUIシステム面
新規作品1作目にありがちな点ですが、UIの快適性もちょっといまいちでした。
例えばアイテム選択。スローライフゲームなので、同じアイテムが色々とたまっていくんですが、1つずつでしか数の上下を行えないんですよ。こういうのは最大数の選択コマンドが必要かなーと。
他にもアイテム使用時に誤爆が発生しがちな操作があったり、一覧のリストが上下移動しかできずに見にくいなど、何かと気になることが多かったので、もう少し頑張ってほしかったですね。
まとめ
以上、感想まとめでした。総じて、良い所悪い所がはっきりしている作品です。
ストーリーや世界観、キャラクター、BGMといったゲームを彩る要素は非常に出来が良いんですが、芯のなる部分の作りはそこまで質が高くありません。
ただし、スローライフゲームと本格和製RPGを組み合わせたという他にない点は、個性としてとてもよい部分だと思うので、個人的には結構楽しめたし、トータルで見れば良い作品だったかなと思います。いい意味で意表を突かれましたしね。
シリーズとして展開していけば、もう少しゲームシステム的な作りも洗練されてくる気はするんですが、セールス的にはあまり振るわなかったようですし、厳しいのかな…。
ストーリーの面白いRPG、スローライフゲーム×RPGの組み合わせに興味がある人はぜひ遊んでみてください!