(※本記事は2017年に発売されたPS4版を元に記述しています。2019年に完全版のSが発売。内容自体は2D版も取り込んだ完全版のため、本記事の内容に+αの内容あり。)
さて、今回レビューするのは「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」。
このゲームは2017年7月29日にスクウェア・エニックスから発売されたRPG「ドラゴンクエスト」シリーズのナンバリング最新作。
正統な3Dオフラインドラクエとしては8以来13年ぶりの作品となります。
プレイ時間は74時間55分。クエストは残り1つを除いてほぼクリア。個人的な本編達成度は大体70~80%の印象です。
トロフィーは見てないから知りませんが、色々やりながら、裏クリアまでめざすと大体このくらいが目安になるのではないでしょうか。
ゲームの特徴
今作は基本的に過去作から大きな変化は存在しません。
無論、過去作になかった要素はいくつか存在しますが基本的なゲームの流れはドラゴンクエストナンバリングタイトルその物です。
戦闘はコマンド、フィールドを駆け巡り、世界を旅するというゲーム性は今作も健在です。
評価点
綺麗すぎるグラフィック
ぼくは普段、あまりゲームのグラフィックを意識することがないのですが、今作のグラフィックだけはマジで凄いと思いました!
アニメ調グラフィックの頂点と言っても過言ではないくらい、圧倒的な質感に感服してしまいましたね。
特にただ綺麗なだけにとどまらず、きっちりとそのグラフィックでモンスターの動作やフィールドの情景を描写しきっている部分が素晴らしい!
雑魚モンスターのフィールドでの動きは異常なほど力が入っているし、見ていて飽きませんでした。
個人的に好きなのは船のマップ。ここは各フィールドがミニチュアサイズで表示されるのですが、実際かなり丁寧に作られているんですよ。
今までの冒険の旅路が別の視点から見るとこうなっているのかと、最初に見た時は感嘆したのを覚えています。
ここもグラフィックの綺麗さ故の描写ですね。
壮大で完成度の高いストーリー
今作のストーリーは壮大かつ非常に完成度が高いと感じました。
ドラクエ本編はいつもシナリオ面は秀逸ですが、シリーズの中でも屈指の出来だったと思います。
全体的な流れは王道、だけどもそこに一方変わった感じの話も取り込んでいて、良い感じに先が読めない展開になっていたのが素晴らしかった。
基本的には主人公サイドは追われている側なので、シリアスよりなストーリーと言えばそうなのですが、決してシリアス一辺倒にはなっておらず、前向きな感じです。
また、序盤~中盤にかけては、加入キャラクターとそれぞれの街でのイベントが繋がるような流れになっており、キャラクターの掘り下げをうまく行えていました。
どの仲間キャラクターも好きになれる、というのは名作には欠かせない要素ですが今作もそれは健在でしたね。
そして何より、今作における終盤の展開はとにかく最高でした。
あの展開があったからこそ、本作のストーリーに大満足できた部分もあるので、本作を購入した人は是非最終クリアまで見て欲しい!
ドラクエらしさをそのまま残したゲーム性
今作は基本的なゲームシステム自体に過去作から大きな変化はありません。
戦闘システムは相変わらず、オーソドックスすぎるコマンドバトルだし街から街へ、フィールドを経由して冒険していく形も特に変わりません。
無論所々、ハードのスペックが上がった分工夫は加えてありますが、根幹はそのままだと思います。
でも、だからこそ良いと思うんですよ!こういうタイプのオーソドックスなRPGって今の時代、かなり珍しいんですよね。
フィールドを経由していくつもの街に行き世界を冒険する、バトルはコマンドのシンプル形式、仲間と共にストーリーを進めていく。
敢えてそこを変えずに、グラフィックや演出だけパワーアップしているという徹底したドラクエらしさを今作からは感じました。
これをマンネリと取るか、ドラクエらしさと取るかは人次第だと思いますが、今作は、オフラインの3D視点の新作としては13年ぶりとなる作品だったので、原点の再構築的な意味合いでも、これで良かったんじゃないかなあと感じました。
工夫されたスキルシステム
今作のスキルシステムは基本的な従来の流れを汲んでいながらも、パネル式となった為、どのように進めていくのかという事を、考えられる楽しみが生まれるようになっていました。
例えば最初の段階では隠れているパネルを開けるためには周りのパネルを開けないといけないんですよ。
ここにはどんなスキルが隠されているんだろう?と考えながら、スキルポイントをやりくりするのがとても楽しかったです。
「旅」をしてるのを感じられるシステム
前述の通りゲームシステムの基本はそのままですが、今作には旅をしているなと感じさせる工夫が各所に感じられました。
まずはフィールドに点在している「馬呼びの鐘」。
これは鳴らすことで即座に、馬を呼ぶ事の出来る便利なシステムなのですが中々旅をしている感を上手く出せていました。
やっぱり乗り物に乗ってフィールドを駆け巡るのって楽しいんですよ♪
そして、フィールド各地に点在している、たき火ポイントでの「キャンプシステム」。
ここでは宿屋と同様の回復が行える場でもあるのですが、それ以外にも鍛冶が出来たりと冒険のメリハリをつける良い役割をしていたと思います。
仲間がみんな座っているので話しかけるのも旅の合間の休息といった感じで、雰囲気的にもよくできていて、この工夫は良いなと思いました。
全体的に親切な作り
今作、とにかく親切なゲームだなと感じました。戦闘はあまり難しくないのでオートでも比較的安心。
ボス戦の手前では回復ポイントorアイテム。マップは別のフィールドに入っても全て表示。
クエストも受けていなくても、どこで発生しているのか分かるようなシステム。
目的地の場所も表示されるので、迷う事もほとんど無いと。今時のゲームと考えてもかなりのご親切設計です。
ゲーマーにとっては、これらの要素は邪魔にも思えることもありますがやっぱりドラクエは万人向けのゲームであるべきだと思うんですよね。
本編らしくきちんと作られていて良かったと思います。
寄り道要素が多い
今作はとにかくボリュームが多いのですが、サブ要素が充実しているのもその要因ですね。
クエストは最終クリアまで全60種。(※PS4版)
基本お使いですが中には本編では語られないキャラクターの掘り下げなんかにも繋がっていて、プレイしていると人物背景が分かってニヤリとすることができます。
ドラクエ恒例のカジノやミニゲームも健在!
特に今作のカジノの力の入れようは異常なくらいなので是非プレイしてみてください!
なお、PS4版独自のミニゲーム、ボウガンアドベンチャーに関してはノーコメントとさせていただきます。
問題点
ちょっと窮屈に感じるゲーム性
今作は基本的に自由度自体は高いと思うのですが、どうしても過去作と比較すると、ハードが進化した故の制約があるのかなぁと感じた点がありました。
特にそれを感じたのは空中の、乗り降りの場所がかなり限定されている事ですね。
3と比較するのは酷にしても8と比べても大きく限定されてしまった故かいまいち、世界との一体感を感じられませんでした。
空中世界は空中世界でまあまあ作りこまれてはいるんですけど、出来ればもう少し不自由さを感じさせない作りにして欲しかったところです。
同様にフィールドも8と比較すると、全体的にこじんまりとした小マップがいくつも続いてる感じでした。
所々飛び降りれる所はあるものの、相変わらず見えない壁も多かったりと、いまいち窮屈さが抜けておらず、何とも言えない出来栄え。
正直、8のフィールドはあれはあれで不満はあるんですけど、次作があるならあっちをベースにした方がフィールドというか、世界の一体感が出るんじゃないかなと思いました。
不便なアイテムUI
アイテムの操作感に関しては、相変わらず悪いと感じました。
特に今作は主人公のみを操作するシステム上、フィールドでとったアイテムは、全て主人公の所持品となるのですが、上限が少ないため、すぐに持ち物がいっぱいになってしまうんですよね。
その為、上限になる前にいちいち袋に移動しなければならないんですが、この操作がとにかくじれったい!
未だにまとめてアイテム移動を実装していないため、都度、一つずつ移動しなければならないんです。
これに関しては、もう少し進化が欲しかったところ。
全体的にいまいちな音楽
あくまで個人的な心象ですが、音楽はいまいちだった気がします。
ぼくは元々ドラクエからゲーム音楽が好きになった、という経緯があるので、まあ無意識にハードルを上げていた、というのがなくはないかもしれませんが。
不満点は大きく分けて2つあって、まず、新曲の種類が少なく、質が低いことですね。
今作用意されている新曲は戦闘曲4曲(通常、ボス、ラスボス第一、第二)のみだし、フィールドは一曲と非常に種類が少なかった印象です。
なまじ物語が長引くゲーム性になっているのだから、もう少し種類が欲しかった。特にフィールド曲は曲調が明るすぎるのもあって、所々場面とあまりあっていないように感じた部分もありますね。
曲の質に関しては、まあいろいろな意見があると思いますが、今作を代表するような曲がなかった、という印象です。
特に戦闘曲は通常戦を除いてまるで印象に残らなくて。音源がしょぼいのもあるかもしれませんが、もう少し勇ましい曲を聴きたかったかな。せっかくの勇者の物語なのだから。
もう一つは過去作の曲を使いすぎている、と感じた点です。
まあこの点に関しては評価している人も多いと思うんですけど、ここ最近ドラクエ関連作ってほとんど過去作の曲を流用しているので、本編までこれか…とぼくはちょっと思ってしまいました。
3とのつながりを匂わせる冒険の旅、勇者の挑戦はまあまだ分かるんですが重要イベントが全く関係なさそうな6の曲だったりするのはうーん..って感じ。
まとめ
こんなところでしょうか。
発売前はどうなるかなーと思っていましたが、いざ蓋を開けてみれば見事な傑作でしたね。
やっぱりドラクエナンバリングは一味違うな、と感じさせられました。
個人的にも今作は全体的な水準の高さ、というドラクエらしさを期待していたのですがそこはほぼ完璧でした。
革新的な表現なんかは次作以降に期待したいですね。
総じて王道的なファンタジーRPGが好きな方、ドラクエが好きな方、RPGが得意じゃないけどシリーズに興味がある方等、幅広い層が楽しめる万人向けのタイトルに仕上がっています。
現代におけるRPGの入門編と呼んでいいかもしれません。