(2022年2月追記)
本記事は、2018年2月にアップした感想記事の再編集版になります。
「ソフィーのアトリエ2」の発売に合わせて再アップしてみました。
(※本記事は2016年に発売されたPS4版を元に記述しています。2021年に完全版のDXが発売。内容自体は大きな変化はなし。)
さて、今回レビューするのは「フィリスのアトリエ~不思議な旅の錬金術師~」。
この作品は2016年11月2日にガストから発売された、アトリエの不思議シリーズ第二作目で、「ソフィーのアトリエ」の続編にあたります。ジャンルはRPG。
初報が出たのは確か、2016年の5月の終わり頃でしたね。そこから一度9月に発売が決まったんですが、延期して11月へと。スパン自体はソフィーと大体似た感じでした。
プレイ時間はおそらく40~50時間。正確な時間は不明ですが、ストーリーをクリアして各所を点々。ボスは骸骨以外全て撃破。イベントはぼちぼちという感じでした。ストーリークリアだけなら大体20時間くらいだと思います。
↓不思議シリーズのまとめ記事はこちら!
ゲームの特徴
今作最大の特徴は、何といっても今までのアトリエシリーズのゲームシステムから大幅に改革されている所にあります。
これまでのアトリエシリーズは、拠点地からワールドマップを経由して、採取地へ赴くというシステムでしたが、今作は採取地と拠点地が実際のフィールドとして繋がっており、よりRPG色の強いゲームとなっているんですよ。
フィールドの中にはキャンプを張れる所が点々としており、そこでテントを張って中で錬金を行うというのが基本の流れになります。
そして、シリーズとしては久しぶりに時限システムを採用。クリアまでに一定の期限が設定されており、その日付過ぎるとゲームオーバー、クリアすると全部解放というシステムになっていました。
ただし、難易度はかなり低く適当にプレイしていもクリアは可能。よほど変なプレイをしない限りは余裕で間に合うでしょう。実際、ぼく8も相当のんびりプレイしましたが150日ほど余りました。
評価点
旅をテーマにした斬新なゲーム性
今作最大の評価点は何といっても、旅をテーマにした斬新なゲーム性。
これまでのアトリエは、基本的に拠点地の街でゲームを進行させていく方式をとっていたのですが、今作はいくつものフィールドを駆け抜けて、目的の街を目指すという旅をテーマにした新しいゲーム性を採用しているんですよね。
これがとても新鮮で良かった!初報で聞いた時も「おーいいじゃん!」と思ったんですけど、実際にプレイしてみて感じられた旅の雰囲気はかなり良かったです。
新鮮だった、という点以外にも良かった点はいくつかあります。まずフィールドでキャンプを張れるのが良かった。
これまでの作品は、採取地で採取して、拠点地に戻って錬金という流れだったのですが、今回はフィールドでそのままキャンプを張って錬金する事が出来るのでワンテンポ良いんですよ。
その為、探索→採取→錬金→アイテム作成→)ryという感じでとても中毒性のある流れが作れていました。
アトリエシリーズって基本的に、ハクスラ的な要素が強いゲームなんですが、今作はそういう要素をより強調したゲームデザインになっていましたね。
序盤~中盤にかけては色々と制限が存在するので、これらの楽しみ方に気づきにくい部分もあるのですが、色々とやれることが増えるクリア後のやり込みは本当に楽しくて。
普段クリアで止めていたアトリエを、クリア後も夢中でプレイしてしまった理由はここにあります。
テンポよく錬金と冒険が出来て楽しい!
広大で綺麗なフィールド
前述した通り、今作のフィールドはこれまで(ソフィーまで)のアトリエから大幅に広くなっています。そしてとても綺麗なんですよ!
ぼくは前作をPSV版でプレイしていた為、今作をPS4で最初にプレイした時はビックリしてしまいました。絵本の中の世界のような綺麗な世界に癒されましたねー。
フィールド自体の完成度は決して高くはないですし、広くなった分、快適性などいくつか犠牲になっている部分もありますが、一応スキップトラベルや、クリア後の箒などある程度の工夫もされていて、楽しみを阻害するほどではなかったのかなと。
(追記)
フィールドの規模に関しては、2022年現在でもシリーズトップの広さです。(ライザ2も広い方ですが、あれよりも広い。)
探索が楽しい!
今作は探索要素がとても楽しかった!
というのもですね、今作のフィールドは一つのフィールドがいくつもの他のフィールドと分岐するように繋がっている為、とても探索のし甲斐があるんですよ。
「この次はどんなフィールドが広がっているんだろう?」とか、「このフィールドで他に繋がっている所はないかな?」という、これまでのアトリエにない楽しみ方が可能だったのが良かったです。
例えば、ストーリー中で船で渡るとある湖。ストーリー中では入れないんですが、後に水中に入れるアイテムを作ることによって、入る事が可能になり、なんとその奥にダンジョンが広がっていたりするんですよ。
こういうプレイヤーが能動的に楽しめる要素が多くて、色々な場所を渡り歩く試行錯誤が最高に楽しかったです。なまじ、次作の「リディー&スールのアトリエ」ではこういった楽しみがほぼオミットされてしまった為、余計に良かったなーと。
アトリエでこんなフィールド探索が出来るとは!
旅を意識したシステムが面白い
今作は、テーマである旅を意識した故なのか、他作品にはあまり見られないシステムがいくつか導入されていて面白かったです。
例えば、アトリエ内のメイクシステム。
これはアトリエ内にオブジェクトを置いてそれをカスタマイズできるというシステムなのですが、今までになかった家具の概念が加わっていて面白いなと感じました。
また、フィリスの洋服の種類が多い点にも注目!色々な場所に行く設定故かとにかく服の種類が多くて、しかも、それぞれに効果がついているんですよね。
視覚的な意味でも楽しいし、他作品では類を見ないほど多くの洋服が用意されていて驚きました。ここら辺のカスタマイズ性の高さは良かったと思います。
魅力的な主要キャラクター
今作は全体的に主要キャラクターが魅力的でした。特に主人公のフィリスはシリーズでも随一のお気に入りのキャラクターです!
不思議シリーズでは、ソフィー先生が一番人気だと思うんですが個人的にはこの娘が一番愛着を持てました。
あんまり話過ぎるとネタバレになってしまうので難しいのですが、フィリスの場合、単純操作していると色々な反応があるタイプのキャラクターなので、採集や移動時のボイスを聞くのが楽しいし、もっとこのキャラクターのエピソードが見たいなと思えたが要因かな。
旅に出始めて、旅の中で色々なエピソードを見るという流れがゲームシステムと良くマッチしていた故なのかもしれません。声優さんの演技も凄い好きで耳に残りました。
そして、リアーネやイルメリアといった、他の主要キャラクターもイベントで丁寧に掘り下げられていてこちらも愛着を持てました。
特にリアーネはイベントをやっているやっていないかで、キャラクターに対する印象が180度変わってくるかなってくらい、重要な内容になっていて凄い印象的です。
あのイベントは本編の一部ともいえるくらい、流れが綺麗で良かったなあ。
ド安定の音楽
音楽に関しては今作も安定していたと思います。今作はアトリエシリーズにしては珍しく、フィールド曲も印象的。
フィールドを歩き回ることが多いからか「しんしん」や「迷子の木洩れ日」辺りが印象に残りましたね。
もちろん戦闘曲もいい感じ。旅の雰囲気が伝わってくる通常戦闘曲「蒼穹」。ボスとの雰囲気がピッタリな「Pororoca」辺りが好き。
特にPororocaは非常にお気に入りで、一時期耳から離れませんでした。竜巻を舞起こす敵にぴったりの水中戦感と疾走感のある曲展開が癖になるんですよねー。
問題点
余計な熟練値
今作の錬金システムは、前作のシステムをベースに作られているんですが、熟練値というシステムが新たに追加されています。
どういうシステムかというと、一つのアイテムの特性を発現させるのに、同じアイテムをいくつも作る必要があるというモノ。これは正直余計に感じました。
入手難易度の高い素材を手に入れて作るアイテムをいくつも作るのは骨が折れますし、何より目的のアイテムを得るまで、特性の付いていない不要なアイテムがコンテナに貯まっていくので、処理がめんどくさいです。単純に同じアイテムを作るのも手間なだけでした。
おそらくハクスラ要素を強化すべく導入されたのだと思いますが、せっかくの完成度の高いソフィーのアトリエの錬金システムに、泥を塗っている感があって好きになれませんでした。
キャラクターがどこにいるのか分かりにくすぎる
今作は、従来のシリーズシステム通りキャラクターを仲間にするには、仲間に一度話かける必要があるのですが、これが非常にやりにくかった。
これまでの作品は街の中で話かければよかったんですけど、今作の場合、いくつものフィールドの中にキャラクターがいる為、どこいるのか非常に分かりにくいんですよ。
一度位置を覚えられれば、それで済む話ではあるのですがそれにしても入り替えがめんどくさい作りで結局仲間のメンバーはほぼ変えずにプレイしてしまいました。
なまじ主要キャラクターが良いのが揃っているだけに、それ以外のイベントをほぼ見てないんですよね。さすがにここは不評だったのか、次作では大きく改善されました。
やれることの少ない序盤
今作は全体的に、進めれば進めるほどやれることの出来るタイプのゲームなので、加速度的に面白くなっていくんですけど、その分序盤は少し退屈でした。
フィールドを駆け巡るのは楽しいんだけどすぐにコンテナはいっぱいになってしまうからあんまり採取は出来ないし、時間制限も気になってゆったりとしたプレイは出来ません。その為広いフィールドをひたすら走り回るだけの淡泊なゲーム体験になりがちです。
それでも探す楽しみ方は健在だし、決してつまらないって訳ではないのですが、今までのアトリエと作風が違い過ぎるのもあり、合わない人は投げてしまう可能性が高いかもなあとも思ったり。
特にPSV版はフリーズやバグが多発する上に(当時)、フレームレートもガックガクなので僕はそこでもうやる気を削がれてしまいました。(結局、その時はPS4版を買いなおしました。)
(追記)
DXのSwitch版に関しては、フレームレートはPS4版無印ほどではないですが、当時のPSV版ほどではなく、個人的には全然許容できるレベルでした。ただ、ここら辺は個人の感覚によるものが強いので、気になる方はPVなどで確認するのが良いかと思われます。
処理落ち、バグが多い
今作、全体的に、かなり無理をして作っているのかバグも処理落ちも多めです。
PSV版は論外として、PS4版ですらフィールドのエフェクトで処理落ちすることもあったので相当無理をしていたんでしょうね。
一応、テントでセーブは出来るので従来作ほどバグリセットの恐怖はないですが、それでも、全体的に怪しい動きをすることが多かったのは否めません。
まとめ
こんな感じでしょうか。改めて今作を振り返ると今作はぼくの好みによく合っているゲームでした。
何かを探すという能動的な楽しみ方が出来る魅力は、他のアトリエにはない、新しい可能性を見出していたと思います。
プレイしている最中はソフィーでとても面白かった錬金システムに、泥を塗っている部分が気になってそこが評価を下げていたんですけど、改めて次作をプレイしてから思い返すと今作も、良さがいっぱいあったゲームだったんだなと。
ただ、面白さに気づくところまでがやや長く粗い部分も少なくないので、人を選ぶゲームであることには間違いありません。それでも、新機軸の作品としては十分次第点なので、この路線の作品もいつか出してほしいですね。
世間での評価は決して高くはありませんが、ハマる人にはハマるゲームだと思うので、気になった人は是非プレイして、旅の感覚に触れてみてください!