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【レビュー】リディー&スールのアトリエ【感想】悪くはないが、細かい欠点の目立つシリーズ最終作

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(2022年2月追記)

本記事は、2018年1月にアップした感想記事の再編集版になります。「ソフィーのアトリエ2」の発売に合わせて再アップしてみました。

(※本記事は2017年に発売されたSwitch版を元に記述しています。2021年に完全版のDXが発売。内容自体は大きな変化はなし。)

さて、今回レビューするのは「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~」

 

このタイトルは2017年12月21日にガストから発売された「アトリエシリーズ」の最新作。

ソフィーから続く不思議アトリエシリーズとして三作目で今作が最終作となっています。ぼくがプレイしたのは「Nintendo Switch」版。

プレイ時間は、65時間程度。シリーズ内でもかなりのボリュームでした。

というのも、今作はキャラクターイベントが実質本編に入っているような内容に仕上がっているので、それら全てをプレイして進めるとかなーり時間かかると思います。


↓不思議シリーズのまとめ記事はこちら!

ゲームの特徴

不思議シリーズの前作「フィリスのアトリエ」は、アトリエのゲーム性に、オープンワールド風のフィールドを添えて、ゲーム性に変革を試みた意欲的な作品でした。

しかし今作はそこから一転、シンプルな「いつものアトリエ」に回帰しています。

システムは期日無しアトリエという事で、シャリーのアトリエ、ソフィーのアトリエの近い形。

詳しくは後述しますが、それらのシステムを更に、ブラッシュアップしたという感じで、快適性に力が入っていました。

また、シリーズ最終作という事で不思議シリーズで今まで登場してきたキャラクターがある程度登場するのも特徴ですかね。

尤も、他に出してほしいキャラクターもたくさんいたので、やや消化不良感は否めませんでしたが、それでも過去作のキャラクターの後の描写が見られるのは、最終作としては悪くなかったです。

評価点

快適性にこだわって作られたゲーム性

今作は不思議シリーズ中でも特に、快適性に重点を置いた作りになっていると感じました。

全体的にベースにしているのは、「シャリーのアトリエ」や「ソフィーのアトリエ」といったフリーアトリエシステムですが、それらを更に磨いたような内容。

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ソフィーのアトリエに存在していたLPシステム(※1)を廃止。前作フィリスで微妙に感じた錬金術の熟練度(※2)も廃止。

各マップでイベントが発生したら!マークが付くので行先もわかりやすい、レシピノートの発想もわかりやすくなったので、次何をやればいいか、という導線がかなりスムーズになった印象です。

(※1 戦闘や採取を行うことで減少、一定以下になるとステータス低下付与)

(※2 同じ物を何度も作れることで熟練値上昇するシステム、逆に、何度も同じものを作り続けないと高品度アイテムが作れない。)

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また、調合や採取においての制限もほぼなく、ほぼ全パートにおいて自分のペースでゲームを進められます。


シリーズ最終作らしくイベントやボリュームも多く、ゆったりと調合採取がしたいプレイやーにはたまらない作りになっていると思いました。

ゆったり気ままなアトリエライフは楽しい!

シリーズの中では比較的出来の良いメインストーリー

メインストーリーはシリーズでも比較的出来は良いと感じました。

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テーマは双子の主人公がさびれたアトリエを国一番のアトリエにする、という物ですが、その中に、絵画の世界でのイベント、絵画と街の伝承、主人公の両親、過去作キャラクターのイベントなど、色々なドラマが詰め込まれていて、飽きずにプレイできる作りになっていたと思います。

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個人的に良かったと思ったのが主人公たちの家族の話

例えば、リディーとスールの父親、ロジェはざっくばらんで適当な人物であり、浪費癖があるダメな父親としての設定を持っているんですが、何故そうなったか、という過程を丁寧に描いているんですよね。

最終的な物語の展開も含めて、主人公たちの周りはきちんと描写されていて良かったなと。

見やすくなったキャラクターイベント

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今作はキャラクターイベントが発生している事がマップ画面に!マークで表示されるようになったため、発生しているかどうかが非常に分かりやすくなっていました。

ここら辺、キャラクターがどこにいるのかすらよくわからない、フィリスのアトリエと対極的で、とてもキャラクターイベントが見やすくなっていましたね。

ぼくは過去作品、見たいキャラクター以外のイベントはほとんど見ていなかったんですけど、今作はバグで進行が止まってしまったもの以外は全て確認できました。その為かかなりの大ボリュームに感じましたよ。

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また、キャラクターイベントの内容がよく出来ているのも良かった。

前述の通り今作は不思議シリーズの、過去作キャラクターの総決算的な内容になっており、ソフィー&プラフタ、フィリス&リアーネ、フリッツ&ドロッセル、コルネリア、パメラ、アルト、イルメリアのその後のエピソードが描かれます。

総数としては悪くない程度に登場しており、最終作を名乗れるくらいにはいずれのイベントも力が入っていたような印象を受けました。

え?アルトってだれかって?それはプレイしてのお楽しみです。

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今作のキャラクターにしても、ルーシャ、マティアス、ミレイユ、グレース辺りは良キャラクターで印象的。

いずれも気軽にキャラクターイベントが見れるおかげで、どんなキャラクターなのかが掴みやすくなっていたので、そこは良かったですね。

シリーズの中でもカップリングが多いのも特徴的♬

コンボを決めるのが楽しい戦闘システム

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今作は前作からまた、戦闘システムが変更されました。

パーティーは前衛3、後衛3の6人性になり、前衛の行動に対してフォロースキルという後衛のスキルが発動するという、シャリーのアトリエに近い内容になっていましたね。

異なる点は、フォロースキルがキャラクター単体でもコンボする事。

例えば、後衛のフォロースキルが発動する→それをトリガーに更に他のフォロースキルが発動→更に)ryのように連続して追撃できるので、爽快感があって楽しかったです。

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コンボを決めていく楽しさがあるし、スピード感もあって、不思議シリーズでは一番楽しい戦闘だったと思います。

ただ、全体的にスキルの内容が複雑化しすぎていて、どれをどう使えば高いダメージを出せるのかが終盤になってくると、分かりにくくなるのが困りどころでした。

とはいえ、前衛、後衛を入れ替える事によって戦略がまるで変わってくるので、たった6人のパーティーなのに、多様性には富んでいたのかなと。

終盤のボスは結構強くて大変だった...。

相変わらずの音楽

 相変わらず音楽のクオリティは高かったと思います。

今作は全体的に絵本の中の世界という事でシリーズ内でも特に明るめだったり華やかな曲が多かった印象です。

中ボス戦「Mysterious Painting」なんかもその典型で、従来のボス戦のイメージとはだいぶ異なりますよね。

とはいえ、決めるときはしっかり決めてくるかっこいい曲も存在しており6話ボス戦の「Beyond the fate」やラスボス戦の「Filling the shade」あたりの恒例のボーカル曲はかっこよいシリアスな感じで良かった。

 

問題点

プレイアブルキャラクターが少ない(※無印版)

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今作最大の問題点は何といっても、プレイアブルキャラクターの少なさでしょう!

なんとたったの6人しかいないんですよ!

ソフィーは9人、フィリスは10人だったので何とシリーズ最終作にして最低人数です。これはさすがに悲しい。

確かに、戦闘システムによって6人でも戦略的には多様性には富んでいますが、だからと言って少なさがメリットに繋がっている点はほぼないと思います。

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しかも、より違和感があるのが今作の「ルーシャ」というキャラクターの立ち位置。

彼女はリディーとスールの友人の錬金術師で、絵の中の世界にも同行しているという設定なのに何故かパーティーに入らないんですよね。

画像のように、パーティーキャラクターと一緒にいる事も多い為、正直違和感バリバリで入らないと分かった時はかなり萎えてました。

別に、狙いがあって6人固定にしているならまだいいんですけど案の定DLCでルーシャとイルメリアが発表されて、「あぁ…」って感じでした。

(追記)

※2021年4月に発売されたDX版においては最初から、DLCメンバーも追加されていますので、最大8人PTとなります。

新鮮な要素の薄いゲーム性

本作、全体的に新鮮さを感じられる要素が少なかったです。

一応独自の要素として、絵画の世界を探索するという要素や、絵画の世界の性質を戦闘に利用するといった要素はあるものの、いずれもこれまでの作品の要素を、多少ブラッシュアップした程度の域を出ておらず、今作の味としては弱いと感じました。

前々作のソフィーのアトリエは、錬金システムに重みを置いた作風が新鮮でとにかく錬金が楽しかったし、前作、フィリスのアトリエは今までのアトリエの根幹を変えた、旅をテーマにした作風が非常に新鮮に感じられたので、シリーズの中だとどうしてもインパクトに欠ける感は否めませんでした。

また、全体的に親切にしすぎたせいか、プレイヤーが能動的に発見する探索的な要素がないのも気になりました。

確かに便利なのは良いけれど、裏ボス的な要素まで全部システムが教えてくれるのは、何か違うなーと。

ここら辺前作フィリスのアトリエが非常によくできていた部分だっただけに残念でしたね。

あの、ストーリー上では行かないフィールドを奥まで探すのはとても楽しかったのに。

マンネリとまでは言いませんが、正直改めてフリーアトリエを作るのであればもう少し何か新要素が欲しかったところです。

まあ、ゲームの諸々の部分を見ていると今作も多分開発期間がぎりぎりだったんだろうなーとは思ったりもするのですが。

いくつかの要素が疑問に感じる

今作は快適性に力を入れていると前述しましたが、その一方で快適性という観点から見ると「うん?」となる点がいくつかありました。

いずれもそこまで酷いというようなものではないけれど気にはなったので、いくつかに分けて説明します。

無駄に広いフィールド

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今作は前作と異なり、従来通りのメインマップから選択して採取地に行くという形式を取っているんですが、その採取地が無駄に広い印象を受けました。

しかも、いくつかのフィールドが連なっているのに一番奥の場所にいくには順に経由していかなければいけないので、中々にめんどくさい。

フィールドが広いと一回採取をして目当ての物が出来なかったときに、もう一度行き来をする(※)のがめんどくさいんですよね。(※ アイテムの採取状態をリセットするため。)

おそらく、これはフィリスで広げたフィールドをいつものアトリエシリーズに組み込んでしまったが故だと思います。

広い割には、探索の要素が薄く見えない壁も多いので正に無駄に広いんですよね。フィールドによってはコピペのように情景が変わらないので飽き飽きしてきます。

正直この形式のアトリエのフィールドに広さはいらないなと感じました。ソフィーくらいでちょうどいいと思います。

コンテナの最大収容数が少ない

今作のコンテナの収容数、数で言えばシリーズを通して特に少ないという事はないのですが、採取に対しての制限がないのですぐに一杯になりがちです。

ぼくの場合は、最終的に4950~5000の間を常に行き来している状態で凄くプレイしにくかった。

ソフィー、フィリスはいずれも採取に対してある程度の制限が存在していたのでどちらもコンテナカンストまでは行かなかったんですよね。(今作のストーリーが長すぎるというのもありますが。)

採取に対しての制限がないことが悪いとは言いませんが、こういう仕様にするのならもうコンテナの概念なんていらないんじゃないかと思いました。

設定的にも錬金術で無限のコンテナとか普通に作れそうだしね。

必要価値の分からない時間の概念

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時間の概念に関して、この要素。序盤からこれいるかな?と感じていたんですが、クリアしてもその印象は変わりませんでした。

一応一か所だけ関わってくる場面はあると言えばあるのですが、そこも必要ないレベルには調整が緩い場面なので、合ってもなくてもさほど変わらないと思います。

この要素のせいで、採取地での昼夜の調整がめんどくさいし、(ワールドマップが無くなったため、マップ移動での調整もできません。)少し移動するのにも細かく時間がかかる、という表記が入るのでテンポも悪いです。

このシステムは一体どういう意図で入れられたのか。

バグが多い(※無印)

もはやシリーズ恒例ではありますが、今作もバグが多いですよ!

よくわからない条件で発動する強制終了バグにクリアまでに三回も遭遇しました。

快適性を重視しているのに、バグがあったらその緩い雰囲気も台無しですよ。いい加減、どうにかならないんでしょうか…。

(追記)

DX版は未検証ですが、過去の例を見るにおそらく解消済み。

相変わらず雑なフラグ管理

今作は前述の通りキャラクターイベントがどこで発生しているか、という事が非常に分かりやすくなったのですが、相変わらずそのフラグ管理は非常に雑だと思いました。

ぼくはフツーに進めていたらとあるサブキャラクター、というかルーシャのイベントが進まなくなって結局最後まで見れませんでしたよ。

これは、バグなのか仕様なのか分かりませんがいい加減、キャラクターに重点を置くゲームとしてフラグ管理をきっちりさせて欲しい。

パーティーキャラならともかく、サブキャラクターにはこちらから干渉できる要素が少なさ過ぎて、止まってしまった場合の対処法が分かりません。

まとめ

こんなところでしょうか。

快適性に力を入れているのは伝わってくるし、最終作として色々なキャラクターのエピソードがきちんと最後まで描かれているので、シリーズ最終作として基本的な部分は抑えられているとは思いました。

が、その一方で露骨なまでなパーティーキャラクターの少なさを初めとした欠点も明確だし、快適性を重視しているであろうに、細かい配慮が行き届いてなくて、細かい所で「うん?」となる点も多かった。

それらを吹き飛ばすほどの面白さがあれば別によかったんですが、正直、ソフィーやフィリスをプレイしていた時のわくわく感というか、新鮮で楽しい!みたいな感触は薄かったですかね。

とはいえ、一つのゲームとしてみれば出来は悪くなく、シャリーのようになんちゃって最終作ではないので(あっちはPlusで補完されたけど)シリーズファンはプレイする価値はあると思います。

DLCの話題ばかりが先行しているけど、本作自体も十分すぎるほどのボリュームがありますからね。切り売りしてはいると思うけれど、元が膨大なのでそこまで致命的だとは感じませんでした。

快適性にも優れておりプレイしやすさではシリーズでも中々なので意外とアトリエ初心者向けな作品だったりもします。

キャラクターの過去のエピソードについてはややついていけないかもしれないけど、正直そこまで重要でもないのでこの作品から入ってもいいかもしれませんね。

あと、機種別の話をしていませんでしたね。ぼくがプレイしたSwitch版は最適化がされておらず、PS4版に比べるとややキャラクターグラフィックがぼやけ気味の印象を受けましたが、それでも比べなければそこまで気にならない程度の物だと思います。

まあ綺麗なグラフィックでプレイしたければPS4、携帯性を重視するならSwitchという感じかな。