(2022年2月追記)
本記事は、2018年1月にアップした感想記事の再編集版になります。「ソフィーのアトリエ2」の発売に合わせて再アップしてみました。
(※本記事は2015年に発売されたPSV版を元に記述しています。2021年に完全版のDXが発売。内容自体は大きな変化はなし。)
さて、今回レビューするのは「ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜」。
この作品は2015年11月19日に発売されたガストアトリエシリーズ。黄昏シリーズから世界観を一新した、この作品から3作続く不思議シリーズの最初の作品。
初報が出たのは、2015年の5月くらいでしたかね。最初に出た時は黄昏はあれで終わりなのか…と少しガッカリした覚えがあって、新作は割と不安な目で見ていました。
プレイ時間は28時間弱。クリアまでを目指すだけなら目安は30時間くらいだと思います。クリア後のやり込みを含めるとその倍くらいは遊べると思いますがクリアまでのプレイ時間はシリーズ平均くらいですね。
↓不思議シリーズのまとめ記事はこちら!
ゲームの特徴
今作のゲームシステムは別シリーズながら、基本的にはシャリーのアトリエのシステムを引き継いでいます。
すなわち期限がないフリーアトリエですね。そして問題点も少なくなった前作のシステムをブラッシュアップして順当に遊びやすくしたという感じの作風でした。
また新シリーズという事で世界観や錬金システムを一新。特に錬金システムは非常に特徴的な物となり、後の二作にも受け継がれているので不思議シリーズの一つの特徴と言えるでしょうね。
評価点
パズル要素が加わった新たな錬金システム
今作の最大の評価点は何といっても錬金システム!
黄昏シリーズでは錬金システムはあくまでRPG作品の中の要素の一つ、という感じでしたが、今作、というか不思議シリーズではシステムが大幅に改革され、作品の中核とも呼べる内容に仕上がっていました。
まず面白いのが、錬金のパズル要素。錬金素材がピースのようになり、マスを埋めていくように素材を合わせていくのですがこれがとっても面白い!
同じ素材を使っていても、配置次第で属性値(※1)が変動するので大きく結果が変わってきますし、錬金補助アイテムや釜の存在によっても更に色々なカスタマイズが可能になっているんですよ。初見時はとにかく、このパズル要素が新鮮で楽しく、夢中でプレイしていました。
(※1 アイテムごとに用意されている属性。画像右では赤色属性に「レベルダウン・小」という効果がついています。)
また、全体的に錬金がしやすいのも良ポイント。アイテムソートは見やすくなっているし、アイテム図鑑が分かれやすくなっている為採取するときにも便利。
気軽に採取できるフリーシステムと併せて、好きな時に好きなだけ錬金が出来るという内容は、本作の錬金システムを最大限魅力的な内容に仕上げていた印象です。
後はアイテム発想のシステムも面白かったです。
アイテムレシピ、過去シリーズでは基本的にレシピ書から取得するのが基本的だったと思うのですが、今作はレシピの他に特定の行動をするとアイテムが発想されるというシステムがあるんですよね。
ヒントから情報を得て、探すというプレイヤーの能動的な遊び方を促していて、楽しかったです。
まさか錬金がここまで面白くなるなんて!
フィールドの種類が多い
今作は現状、すごろくのようなワールドマップ形式を採用した最後のアトリエなんですが、単純にフィールドの種類は多いと感じました。
フィールド自体は決して広いわけではないんですが、採取目的と考えるのであればむしろこの程度がベストですし、何より色々なロケーションにすぐ移動出来るので快適でしたね。
中には、いくつものフィールドが連続している規模のフィールドもあって進めていくのが楽しかったです。
全体的に不思議シリーズの綺麗な世界観が見れるのもグッド。今みるとPSV版は少しグラフィックがしょっぱいですが、当時は結構綺麗だなーと思ってプレイしていました。
スタータスのカスタマイズが面白い
今作のレベリングシステムはシリーズでも珍しい物となっていました。まず、最大レベルが20までなんですよね。
20までいった後は、レベルの代わりに各アビリティをポイントであげていくシステムになるんですがこれが中々面白かったです。
画像を見ていただければわかると思うんですが、結構挙げられるアビリティの種類が多く、カスタマイズ性が高いんですよ。
今作はやり込みやすく、アイテムの取捨選択の幅が広いので色々なプレイングが出来るのは楽しいと感じました。ただまあ、戦闘に関してはやや不満点はあるのですが…(詳しくは後述します。)
全体的に遊びやすい
今作、かなり遊びやすい作品です。何かにおいてシステムの制限が少ないので、プレイヤーごとに自由な遊び方が出来るのが素晴らしい。
調合がしたかったら、色々なレシピを集め廻ってじっくり調合ずくめ、ストーリーだけ進めたければベースに沿って行けばよい。
いずれにおいても、進行のフラグ管理が割としっかりしているので先への進行が分かりにくいという事がないのも良かったのではないかと。
自分のペースでのんびり気ままに楽しめる!
バグやフリーズがシリーズにしてはかなり少ないのもそう思える要因の一つです。
ぼくがプレイしたのは前述の通りPSV版なんですけど、バグには一度も遭遇しませんでした。
この前起動して改めて思ったんですが、今作のPSV版はかなり力が入っていたと思います。グラフィックは今みる少し、しょっぱい部分もあるけれど、動作がすっごい軽いんですよね。フィリスと比較すると凄い分かりやすいと思います。
シンプルにまとまったストーリー&キャラクター
前述の通り、今作は錬金術に焦点を当てた作品なんですが、ストーリーの方もそれに関する話になっていたのも良かったです。
そこまで長くも壮大でもないんですが、一人だった主人公のソフィーが錬金術と出会い、プラフタという相棒と共に錬金術について色々な面を学んでいくというのは、シンプルにまとまっていました。
また、キャラクターに関しても全体的にシンプルでした。シリーズを通してみてもソフィーにはそこまで癖の強いキャラクターはいないし、かなり常識人よりなメンツだったかも?
主人公のソフィーに関しても正統派主人公という感じで嫌われにくいキャラクター付けな印象を受けました。実際人気ですしね。
シンプルな可愛らしさがあるよね!(ちなみにスクリーンショットを見て頂ければわかると思うんですが、実は今作のキャラクターモデリングはシリーズで随一の出来だったりします。特にソフィーのモデリングは次作の度に劣化していくので、分かりやすい。ソフィーはPSV版ですらこんなに綺麗なのにね。何故かというと、フライトユニットが関わっているのがソフィーまでだから。不思議シリーズはモデリングがどんどん劣化していくのが見てて悲しかった…。)
とても良い音楽
毎回音楽に触れていますが、今作の音楽も素晴らしいと感じました。今作の曲は何といっても浅野氏の音楽ですね!彼が手掛けたアトリエシリーズの音楽は今作で現状最後なのでそういう意味でも貴重だと思います。
(追記)
浅野氏はその後、ライザシリーズで復帰されましたね。
まず、戦闘曲はやっぱり通常戦の「雲雀東風」。不思議シリーズの華やかな世界観を表した明るく優雅な戦闘曲でシリーズでも随一の人気を誇る一曲です。
実際に本編だと互角の相手との戦闘でしか流れないので、思ったよりは聞けないんですがとても耳に残る曲でした。
他、イベントの割に曲が凄すぎる「薊蓮歌」、地味に耳に残るワールドマップ曲「白地図をてに」、フィールドとの情景のマッチが最高な「蒼に沈めば」辺りも好き。
全体的にシリーズ一作目という事で、前作までとは少し曲の雰囲気を変えているのが印象的でした。
問題点
やや不安定な戦闘
今作、戦闘関連のシステムやバランスがやや不安定な気がしました。
まず、スタンスに関して。今作には攻撃スタンスと防御スタンスというシステムが存在していて、これは攻撃を選択すると与ダメが上がり、防御を選択すると被ダメが下がる、というシステムなのですが、あまり活きていない気がしました。
何故かというと、ヘイト管理が出来ないから。誰に何の役割を持たせるかというと戦略性が曖昧なのであまりシステム上必要に感じませんでしたね。
後、難易度の調整も少し雑な気がしました。今作、難易度に関してはシリーズでも随一で油断するとすぐ死ぬんですけど特に一人やられた後の立て直しが非常に困難でそのまま全滅という事が度々ありました。
難易度が高いのは、まあ良いんですけど、フィールドが狭いことから理不尽なエンカウントも多く、状態異常等の厄介な点も含めてもう少し対処法があったら良かったと思います。
不便なLPシステム
LPのシステムも不便に感じました。このシステムは、画像右上のゲージで示されるLPが、探索or戦闘をこなすたびに減少していくシステムなんですけど、一定値以下になると、ステータス減少の効果があるんですよ。
一応、アイテムを使用することでゲージの回復が出来たりするんですが、いまいちピンとこない制限になっていて、あまり面白みを感じられませんでした。
キャラクターイベントの発生が分かりにくい
キャラクターイベントに関しても不満点がありました。
今作は、シャリーのようにフラグごちゃごちゃを防ぐためかいちいちキャラクターに話しかけなければイベントが発生しなくなったんですが、その発生のタイミングが分かりにくく、!マーク等もつかないのでいつ発生したのかが非常に分かりづらいんですよね。
個人的にもここは攻略サイトに頼らざるを得なかった部分で割と不親切だった気がします。
まとめ
こんな感じですね。当時プレイした感想では、順当にプレイしやすいフリーのアトリエだなと思いましたが、今でもそれは特に変わっていません。
所々まだ改善の余地のある部分はありましたが、シリーズ1作目としては十分すぎる出来ですし、実際不思議シリーズでも一番面白かったです。
個人的にフリーアトリエはこの作品でほぼ完成していると感じていて、これ以上あまり弄りようがない気がしています。実際、この路線を継承したリディー&スールのアトリエには少し行き詰まり感を感じました。なので、次シリーズはどうするのか少し気になっています。
総じて、新シリーズ一作目としては十二分な出来なので、個人的にアトリエシリーズが気になっている人がいるのならまずプレイしてみて欲しい一作です。