どうも、今回は「マルコと銀河竜」の感想記事です。先月発売されたSwitch版※をプレイしました
プレイ時間はおおよそ8時間弱。短めですが、Switch版の価格帯で考えると、まあ妥当かやや安いくらいかな。
※本作、Win/Steam版が2020年に発売されてい ます。2022年4月28日にSwitch版がダウンロード専売で発売。
PCゲームからの移植作品
まず、本作の立ち位置から。元々はPC,Steamで2020年に発売されたノベル系アドベンチャーゲームです。
開発元のTOKYOMOONはノラと皇女と野良猫ハートなどのアダルトゲームを手掛けている会社ですが、本作は全年齢対象作品となっています。
Switch版の特徴としては価格が2480円と割安なこと。PC版は通常版でも7800円のため、かなりお得な印象です。
その分、後述するように一部パフォーマンスに難を抱えてはいましたが、それでも、この価格帯ならばお買い得なんじゃないかと感じる内容でした。
見る要素に特化したノベルゲーム
そんな本作ですが、ゲームとしての要素はほとんどありません。
一応、1カ所だけ作中に分岐要素がありますが、逆に言うとそれ以外は完全に読み進めるだけ、見る要素に特化した作品です、
見る要素に特化するのであれば、別にアニメでもよくない?
そう思ってしまいそうですが、本作は圧倒的な独自性によって、ゲームであることの意義を示していました。以下で細かく説明していきましょう。
カートゥーン調のアニメーション演出
一つ目の特徴は、定期的にカートゥーン調のアニメーションが挟まれることです。
このアニメ、とにかくクオリティが高くこれを見るためだけに、本作を買ってもいいのではと思うほどのレベルでした。
アクションシーンは良く動くし、作画も綺麗、尺もそれなりに長いです。
中にはツイッターを模した演出があったり、格闘ゲームのようなシーンもあったりと、種類も芸も非常に細かかった。
この演出、単体だけ切り出しても出来が良いんですが、可愛らしいデザインのキャラクターを、カートゥーンで表現することによって、また別の魅力を生み出すことに成功しているし、*1
文章表現とは180度違う表現を挟むことで、体験にメリハリを付けられていたとも思うんですよね。
ゲームの味付けとして、意味のある、面白い試みに仕上がっていたので中々楽しめました。
並外れた数のスチル・CG
そんな見る要素に特化した本作のもう一つの凄さは、とにかくスチル・CG集が多いこと。
ノベル系のアドベンチャーゲームって、立ち絵がメインで、重要なイベントのみ一枚絵のスチルが入ることが多いですよね?
でも、本作はさほど重要でもない至る場面にスチルがちりばめられていますし、中にはアニメのようにCGを連続させたカットインのような描写もあります。
また普通であれば一枚のスチルを他の場面でも使いまわす、なんてことも多いですが、本作の場合は1シーン限りのスチルが大量に存在しています。
その数はなんと1000枚に上るとか。一般的なノベル系ADVでこれほどまでの、スチルを収録している作品はそうはないので、圧倒的な数です。
前述通りボリューム自体は大してないんですが、スチルに関しては、異様な作り込みを感じましたね。
なんて贅沢なスチルの使い方なんだ!
トリガー味を感じる、勢いのあるシナリオ
シナリオ面はとにかく勢いが凄かったです。アニメで例えるのであれば、別会社ですがトリガーの味を凄い感じました。
トリガーと言えば、キルラキルを筆頭とした勢いを重視した作風が有名ですが、本作もあの雰囲気を意識しているのか、スピード感が凄まじかった。
展開が次から次へと目まぐるしい勢いで移り変わっていきますし、シリアスな話をしていたかと思えば、すぐギャグが入ってきます。
物語の設定自体はですね、結構重いんですよ。具体的に説明すると...
・他惑星に対する侵略が平然と行われている世界観。
・主人公マルコは幼い時に○○されたという重い過去を持っている。(ややネタバレなので伏字にしました
・写真に写っている自身の母親と思わしき人物を探すのが目的。
・惑星規模を滅ぼす力を持っている敵との戦い。
こんな感じで、主人公の背景は暗いですし、敵も強大です。
なんですが、本作の場合はこれらの設定を勢いのあるギャグと一緒に強引に推し進めていくため、あまり重さを感じませんでした。
終盤は若干、シリアス方向にベクトルが傾きますが、それも濃すぎず、ややサッパリ気味に終幕するのも含めて、爽やかに駆け抜けていくような魅力があったんじゃないかと。
前述した多彩なスチルによって、展開のスピーディー感がより効果的に表現されていたのもgood!
尤も、細かく丁寧に伏線を回収したりとか、緻密な世界観設定だとかそういう部分に関してはやや物足りない所もありました。
ただ、本作の場合は、敢えてそうしているようにも感じられたので、ここまで徹底するのであれば、良いのかなと。
勢い重視の作風は、プレイしていて明るい気持ちになれるのが良いよね!
しっかりと見せ場が用意されているキャラクター
キャラクターに関しても、短めな本編の中で可能な限りいずれにも見せ場を作ろう、という想いを感じられました。
勢い重視の作風だけあって、どのキャラクターもやや癖が強いんですが、背景には暗いものを抱えていたり、しっかりと設定が用意されているんですよね。
主人公のマルコはその典型例で、三白眼なキャラデザを体現したかのような、飄々とサッパリしている性格なんですが、背景が重いのもあって、時折影を見せるようなギャップも持っています。
大人っぽく見えるんだけど、中身はまだ子供らしさが残る、かっこよくもかわいいテイストが絶妙で、好きになれる主人公でした。
基本的にストーリーは彼女の目的をメインに進んでいくため、他のキャラクターはあくまで、彼女との付き合いの中での描かれ方でしたが、持ち前の善性で色々な関係を構築していく展開は、違和感なかったですし、馴染みやすかったと思います。
サブキャラの中だと個人的には瑠璃がお気に入り。マルコの親友ポジションなんですが、中々ぶっ飛んだキャラなんですよ。
でも、このくらいぶっ飛んでいるからこそ、マルコの親友としてこれ以上ないポジションに収まっていた感もあり、本作の物語に欠かせない存在だったのではないかと。
多様な音楽
音楽面も曲数がかなり豊富でした。EXTRAモードのサウンドモードを見る限り、全63曲という数になっており、スピーディーな展開をこれまた効果的に盛り上げてくれていたのかなと。
個人的に好きなのはAction。シンセサイザー系のピコピコ音が特徴的な曲なんですが、
いいシーンで流れることが多くて。(半分くらいはギャグシーンだったような気も...?)
耳障りがいいのあって、この曲が流れ始めるとおっ!ってなっていた記憶。勢いあるシーンと爽快な曲調がよくマッチしているんですよー。
後はオープニングの飢餓と宝玉も素晴らしいです!
映像のクオリティも高いので、最初に見た時から好きだったんですが、クリア後に歌詞を聞き返すと、本作の物語を見事に表現しきっていて、感慨深いものがありました。
この曲、配信あったら買ったんだけどなー...。サントラ含めて曲の販売はしてなさそうで残念。
気になったこと
いまいちなパフォーマンス
本作のSwitch版、唯一にして最大の欠点はパフォーマンス周りです。
Switchのスペックが足りないのか、最適化不足なのかはわかりませんが、動作が重いシーンが多く、CGシーンはかなりガクガクしています。
なにより問題なのが、オートモードで読み進めていると、一部ボイスが再生されないまま、読み飛ばされてしまう事。
おかげで、飛ばされてしまったシーンは都度、バックログで確認する羽目になりました。
加えて、バックログ自体も動作がもっさりしていて使いにくいし、かなりいまいちなパフォーマンスに感じてしまいました。
特段、遊べないレベルではないと思うんですが、購入する前に念頭に入れた方がいいレベルではあったかなと。
まとめ
以上、感想でした。
パフォーマンス周りがやや残念でしたが、2480円でプレイ出来てよいのか!?と感じるくらい、濃密な物語を体験出来たので、中々楽しめました。
個人的にもこういうギャグとシリアスを混ぜ込んだ、勢い系の物語、結構好きなので、久しぶりに見ることが出来て満足です。
頭を空っぽにしてみたい気持ちになった時や、一風変わったノベルゲームが遊びたい人には特におススメ!
コストパフォーマンスも高いので、興味がある人は是非遊んでみてください。
*1:ここら辺は昔のアニメ作品、パンティ&ストッキングwithガーターベルトを思い出しました。