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【レビュー】イースX NORDICS【感想】「2人」の描き方に拘って作られた、大海原を巡る大冒険!

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どうも、ば~んです。


今回は「イースX NORDICS」の感想記事です。

プレイ時間は難易度ハードで遊んで、おおよそ49時間。

やり込み度としては、探索率はほぼ100%、クエストも全てクリアしたので8~9割程度ゲーム要素はやり切ったのかなと。コンテンツボリュームは無印ⅧやⅨと大体同じくらいだと思います。

ただ、過去作に比べてやり込みの仕様が結構快適になっていたので、比較的長く遊びやすいような気はしました。

 

のゲームのポイント!・シリーズの時系列序盤を描く、イースシリーズの10作目。
・前作までと仕様を変更した、意欲的なアクションシステム。
・大海原をテーマに、島々を巡っていく船旅が楽しめるゲーム進行。

前作から打って変わって若い時代を描いたシリーズ10作目

本作はイースシリーズの10作目ですが、最新の時系列を描いていた前作のⅨと打って変わって、かなり序盤の時系列を描いた作品となっています。


具体的には、イース1,2と4(セルセタの樹海)の間となっていて、主人公アドルのデザインもかなり若々しい雰囲気。心なしかボイスも爽やかなので、前作の後だとちょっと新鮮でした。


物語の舞台となっているのは、北海「オベリア湾」。海をテーマにしているのはⅧにも通じる所はありますが、本作は一つの島が舞台という訳ではなく、海域一体を船で航海していく形の冒険譚となっています。

例によって、シリーズ間でのつながりはそこまで強くなく、物語としては単体で完結しているので、本作から遊んでも全く問題はないかと思いました。そんな本作の魅力を下記で紹介していきます!

一新されたアクションと意欲的なシステム面

本作の最大の特徴は、アクション面のシステムや、パーティーメンバーなど、バトル面でのシステムを大幅に一新していること。



アクション面に関しては、回避の要素が過去作より薄れ、防御コマンドを使用してのカウンター攻撃が重要という形に変わっています。俗にいうパリィアクションに近い感じの駆け引きが求められますが、難易度としてはそこまでシビアな設定がされているわけでもなく。

相手の技を見てから防御コマンドを入れる程度なので、そこまで難しくもなく。上手く技を捌いて反撃を入れていくのが楽しい作りになっていました。


特に、ボス戦では相手の大技をカウンターできると、専用の演出がカットインされる仕掛けも盛り込まれていて良かった。

 

黎の軌跡IIでも思ったけど、最近のファルコムはシームレス技術が向上したなあ。

 

もう一つ特徴的なのがパーティー面。本作、ここ数作の流れから打って変わって2人パーティーのゲーム進行になっているんです。なので、複数人切り替えて、有利なキャラクターで戦っていくような戦略性は薄れてしまっている一方で、


今作から追加されたコンビスキルという、2人のキャラクターを同時に動かして発動するアクションが追加されました。派手で見ごたえがありますし、威力も高いので中々爽快。これはあくまで2人のスキルゲージを使用して発動するのも肝で、こんな感じで2人パーティーに重点を置いた仕掛けが色々と盛り込まれています。

 


所々のダンジョンでは、2人で切り替えながら仕掛けを攻略したりするものも用意されており、人数を減らした分の作り込みはしっかりしていたかと。



なお、イースらしい爽快なアクションは本作もそのまま健在。スキルを使って豪快に敵をぶっ飛ばしたり、ボードに乗ってスピーディーに移動出来たりと、気持ちの良いアクションが楽しめます。

大海原を渡り歩く船旅が楽しめるゲーム進行

本作、ゲーム進行としては広大な海を船に乗って探索していくようなシステムになっているのですが、これも良かったのではないかと。


オープンワールド、というほど広大ではなく、あくまで箱庭感覚ですが、それなりに広々とした海の中に孤島がいくつも点在しており、ストーリーと関係ないサブ要素もかなり多く用意されているので、探索が非常に渋るんですよ!


しかも、それぞれの島々もテンポよくサクサク進められるので、航海して、それぞれの島を探索率100%まで探索して、また次の島を探しに行ってー、という流れにかなり中毒性がありました。

ある種、昨今の大作とは相反する作りなんですが、個人的にはこういうゲームの方が遊びやすくて好きなんですよね。いい意味で重さを感じないというか。


大マップとなる海に関しても、他の船との戦闘が発生する海上戦スポットがあったり、アイテムの収集要素があったり、生き物を調べることの出来るスポットがあったりと、比較的ギミックが多め。


スポットごとのサブキャラクターとの会話イベントなどもかなり細かく用意されているのもあって、移動時に飽きずにプレイすることが出来ました。

 

船旅を楽しむ工夫が満載で、探索が楽しかった!

 

丁寧に作られたサブクエスト

そんな探索の魅力を更に引き出していたのが、ファルコムらしい丁寧なサブクエスト。本作のサブクエストは、船内でキャラクターから受注するほか、各孤島で発生する仕組みになっているので、色々探索しながら進めることが出来る作りになっていました。


内容としては、船内の仲間キャラクターを掘り下げるものや、シンプルなお使いイベントが中心ですが、一部サブというには惜しいくらい作り込まれている内容のクエストもあり。



個人的には、「黄金のリンゴ」と「止めテくレ」が特にお気に入り。この2つに関しては遊ぶことで、作品のストーリーや世界観に関する印象もだいぶ変わってくるんじゃないかなあと思うくらい。

その他、船内のキャラクターとの交流を描いたクエストもどれも面白く、後述するキャラクターの魅力をしっかりと惹きだせていたのではないかと思います。

ファルコムらしいキャラクター描写を軸に描かれるストーリー

最後にストーリー。ストーリーはですね、本作かなり良かったのではないかと思っています。色々良かった点があって、複合的な要因で満足度の高い内容になっていました。


まず、一つ目にヒロインであり、もう一人の主人公であるカージャとの関係性の描き方。本作唯一のパーティーメンバーということもあり、プレイヤーが操作する時間もかなり多いキャラなんですが、ストーリー内でも丁寧な描写が目立っていました。


とりわけ、彼女の心理変化や物語の立ち位置は、話としてかなり上手く、最後のアドルとの別れ方も含めて、唯一無二のキャラクターになったのではないでしょうか。ヒロインだけど、それ以上に相棒のような、素敵な関係性で個人的にも凄い好きなキャラクター。本作が2人PTに拘って作られた恩恵を最大限に受けていたかなと。


二つ目は、先が読みにくい所。本作、敵キャラクターは比較的序盤から姿を見せるんですが、物語の終着点が終盤になっても中々読めず、誰が最後に立ちはだかるのか含めて、展開が全く予想できませんでした。


物語後半~終盤まではキャラクターの動かし方や設定の切り出し方もかなり上手く、ノンストップで遊んでしまうほど惹きこまれましたし、何よりラスボス戦もね。今までとちょっと違った形で凄い印象に残りましたよ。良い演出だったと思います。

最後に、船旅を共にするキャラクターとの一体感。本作、船旅を共にするキャラクターはパーティーメンバーには入らないので、戦闘時に一緒にいるわけではないんですが、船でマップ間を移動していくので、割と出番が多いんですよ。それこそ、Ⅷとちょっと似ていますが、体感あれよりも多かったかも。


彼らは、メインストーリーの重要の部分に関わってくるわけではないんですけど、一人ひとり色々な悩みや背景を持っていて。そんな彼らがクエストを通して、前を向いていく姿がとても印象的で、見ていて楽しかった。


特に、グレンを始めとするカルナックの幼馴染勢。空気感が凄い良くて、良いキャラクターたちだったなあ。アドルが喋らない分、イースシリーズの空気感って仲間キャラクターによって作られる所多いと思うんですけど、そういう意味ではグレンはかなり良いキャラでしたね。

個人的にはカラスのフギルも可愛くて大好き!

 

気になった点

全体的にクオリティの低い海上戦

本作、海を航海していく中で敵と船を使用しての戦闘「海上戦」が発生することが度々あるんですが、これがちょっとクオリティ的にかなり怪しい感じでした。


まずですね、限られた範囲内(※上記画像の赤線)での戦闘で範囲から抜けると戦闘モードが解除されるんですけど、相手側の船は平気で範囲をすり抜けていくんですよ。なのでそれを物理的に追いかけると、戦闘モードが解除されてしまうという支離滅裂な事象が発生します。


それ以外も、相手側の船が地形に引っ掛かって止まっていたり、基本的に砲弾を打ちっぱなしで沈んでいくので駆け引き要素が薄かったり、単純にシステムとしてのクオリティが低く感じました。このモードだけ見ると、とても2023年のゲームとは思えないほどの作りなので、もう少し頑張ってほしかった。

一部調整ミス感のあるボスが存在する

本作、戦闘面での方向性を変えている割には、かなりボス戦のゲームデザイン含めて頑張っている印象なんですが、一部ちょっとどういうデザインで作られたのが分からなかったボスが存在しました。



ネタバレ要素も少ない序盤のボスなので画像も出してしまいますが、この子、マグナディーナは一体どういうゲームデザインで作られたボスなのでしょう?

攻撃に対する反撃がしずらく、移動しにくいですが、マナライドを使ったところで別に何も起こらず。結果、相手の目の前で無理やりカウンター連打させて倒すしかありませんでした。

このボス以外には、基本的にちゃんと大技のスキと行動の予測パターンが付くような作りで、良かったと思うんですけどね。この子だけは、何をさせたかったのかが全く伝わってこず、かなり苦労しましたし、いい印象がありませんでした。

いまいち足りないBGMのキレ

本作、BGMに関しては、どちらかというと期待値以下だったかなあ。いや、全部悪いわけではないんですけどね、いい曲ももちろんあったと思いますし、最初のフィールドの「To be Free」とかいかにもらしい感じで好きです。


ただ、絶望的にボス戦のキレが足りない!!!イースⅨのMONSTRUM SPECTRUMやⅧのDeadly Temptationのような熱い曲が全然足りなかったので、やはりサウンドの質の印象は良くないです。

まあ、おそらくこれは今回もSinga大先生が大活躍されたおかげだと思いますが。頼むから彼に汎用ボス戦を作らせるのやめて欲しい、ほんと好きじゃない…。この感じが続く限り、ファルコムがゲーム音楽のトップに帰ってくる日は遠いだろうな。

最近のファルコムゲーは、いい曲と悪い曲の差が激しすぎて、サントラをフルで買えぬ。

まとめ

以上、感想まとめでした!

序盤を遊んでいる段階では、システムに変化があったり、パーティーメンバーが減っていたりしたので、正直大丈夫かな?って思っていたところもあったんですが、

遊び進めていくにつれて、2人パーティーを活かした作りや、テンポよく楽しめる探索、面白いストーリーにだんだんと惹きこまれていったので、最終的な評価は結構良いかも。

個人的にはイースシリーズはⅧから初めて、Ⅸが一番好きではあるんですが、本作もそれに負けず劣らず、お気に入りの作品になれましたね。このシリーズ、毎回違った顔を見せてくれるので、気が早い話ですが次回作が楽しみです!

PS5ではある意味珍しい、テンポの良さからなる軽さが目立つ作品だったので、ちょっと前時代的な所はあるかもしれませんが、面白いストーリーのアクションRPGを遊んでみたいという方にはおススメのゲーム!