どうも、ば~んです。今回はファイアーエムブレム 風花雪月の感想記事です。
(※)3周プレイしていますが、1,2周目は実際にプレイしたのは発売年の2019年なので、色々と記憶を掘り起こしながらの記載となります。
プレイ時間は、200時間弱。
プレイ経路としては青獅子⇒黒鷲(教会)⇒金鹿(後半に入った直後まで)⇒煤闇(DLC)⇒煤闇キャラを加入させるために、金鹿もう一回最初からやり直し、という感じ。実質的に3周半+煤闇という感じですかね。
なので、1ルート辺り大体40~50時間前後が目安になってくるかなと思います。
- 久しぶりの据え置き新作
- 学園モノの雰囲気を取り入れた意欲的なシステム
- 圧倒的なゲームスケール
- 学園編とのギャップが凄まじい戦争編
- シリーズの良さを継承している成長システム
- 奥深い戦闘システム
- 遊びやすさを提供する親切設計
- 戦争を感じさせるサウンド
- 気になった点
- まとめ
久しぶりの据え置き新作
まず、本作の立ち位置から。本作はシミュレーションRPGシリーズ「ファイアーエムブレム」シリーズのナンバリングタイトルですが、シリーズとしては久しぶり*1の据え置き機での新作となっています。
特に前の3作はいずれも3DSでの展開だったということもあったのか、今回、一気にハードスペックが上がったことで、ゲーム内容に飛躍的な進化が見られました。
下記では、そんな本作のポイントを解説していきます。
学園モノの雰囲気を取り入れた意欲的なシステム
本作の最大の特徴はファイアーエムブレムのゲーム性に、学園モノのシステムを取り入れている点です。
学園モノのRPGと言えば、ペルソナシリーズなどを代表例として、2010年代には色々な作品の中で展開されていましたが、ファイアーエムブレムシリーズもその流れに乗ったという形ですかね。
主人公は物語冒頭で大修道院の教師となり、作中で生徒との交流を深めていきます。
このシステム、単体の学園モノとしても出来は良いんですが、素晴らしいのがファイアーエムブレムシリーズの要素をしっかり落とし込んでいること。
例えば、シリーズ恒例のクラスチェンジシステムを本作では試験による転職、という形に落とし込んでいますし、ステータスの育成に関しても、主人公が教師であることを活かして、教育という形式で演出しています。
ゲーム進行に関しても、月末に恒例の戦闘パートを「課題戦闘」として差し込むことで、合間の時間に関しては何をするか自由に決まられるようになっていました。
これらの工夫によって、単体で見ても違和感なく、学園モノとしてすんなり仕上げられています。
また、各章には自由行動を行える時間があり、その中では修道院の中を自由に歩き回ることのできるパートが存在。
修道院内を歩き回ったり、キャラクターとの交流を行ったり。釣りなどのミニゲーム要素も楽しめたりと、戦闘パートとはまた違った良さを生み出していました。
このシステム、IfやEchoesでも見られた戦闘以外でのゲームの幅を広げようという試みを継承していて良かったですね。
圧倒的なゲームスケール
学園パートを取り入れた本作のもう一つの大きなポイントは、圧倒的ともいえるゲームスケールです。
ハードが据え置き機になったことも大きいのか、ここ数作と比較すると数倍以上の内容となっていました。
とにかく濃い内容なので、具体的にポイントを紹介していきます。
凄まじいボリューム
まずはゲームボリュームに関して。これはですね、えげつないです!
本作、最初に選択する学級によって、大きくストーリーは4つに分岐する内容となっていますが、しっかりサブイベント、やり込み要素をこなしていくと、1ルートだけでも50時間以上遊べる内容になっているんですよ。
なので、単純に全てのルートクリアまでプレイするだけで、200時間も遊べてしまいます。
これだけでも凄まじいボリュームなのに、発売から半年後にはエキスパンションパスによって、エピソードとキャラクター、ジョブまで追加されていますからね。
とにかく圧倒的なコンテンツ量で、近々のシリーズ作品の規模を比較すると、ボリューム3~4倍に匹敵するといっても過言ではありません。
Switchの他のRPGタイトルと比較しても、ここまでの規模の作品はあまりないレベルです。
壮大な規模で描かれる世界観とストーリー
ボリュームが多いだけあって、ストーリーの規模もかなり大きかったです。
3つの国が存在する大陸フォドラを舞台に、1000年もの歴史の中を紐解きながら、徐々に秘密が明らかにされていきますが、特筆すべきは設定のつくり込みの深さ。
前半部から謎の暗躍する敵組織や、過去の歴史を隠す教団など、興味を惹くような伏線が、大量に引かれているので、プレイしていてワクワクしました。
その伏線の回収に関しても、特定のルートでしか判明しないような設定が数多く存在するので、最初にクリアした時は「あれ?あれは何だったんだろう」と気になって、つい他のルートをプレイしたくなるような作りになっているんですよね。
特に、物語後半はルートによって全然展開が異なるので、完全に設定を理解するには全ルートのプレイが必要となります。
その上、キャラクターごとに用意されているイベントや、サブクエストまでもしっかり追わないと、見えてこない物もあったりするので、すべての内容を理解するには一体何百時間かかるのか...?
最近、改めて周回プレイしていても、至る所に用意されている年表の仕掛けや、図書室で確認できる膨大な設定資料を眺めているとあまりの規模に頭が痛くなってしまいそうでした。
とんでもない世界を作ったもんだ!
リッチになった戦闘演出
戦闘面の表現もリッチになっていました。特に良いと思ったのが、軍隊を率いての戦いを強調するような演出です。
本作、戦闘時に画面を拡大することが出来るんですが、拡大するとユニット1人が何十人もの兵士を率いているような画面が出てくるんですよ。
戦闘時の演出でも、ユニットごと設定している兵団が共に戦うような演出が入るので、集団で戦争している雰囲気が強く出ていました。
これまでのファイアーエムブレムシリーズはあくまで個人ごとの戦いという演出でしたが、本作はこの表現の採用によって、よりリアルな戦争らしさが増して良かったのではないかと。
その他、戦闘時の演出やモーションに関しても、表現が進化していて見栄えもバッチリでした。
キャラクターゲームとしてもパワーアップ!
ここ最近のファイアーエムブレムシリーズはキャラクターゲームとしての性質が強くなってきていますが、本作もその流れを汲んでいました。
学園編の探索パートでは、修道院内のキャラクターと会話できる仕様になっていますし、お茶会イベントというIfのあのシステムを受け継いだようなシステムも健在。
それでいて、戦闘時にはキャラクター同士の会話テキストも収録されていますし、恒例のキャラクターイベントもこれまで以上の充実の内容でした。
特に今作のキャラクターイベントは、キャラクター通しの関係性に重きを置いていた印象で、同じクラスのみならず、他のクラスからスカウトしないと見れない組み合わせも大量に存在します。
とにかく、種類が圧倒的に多いので全てのパターンを見るには一体何周必要なのやら...?
加えて、それぞれの設定が掘り下げられる「外伝クエスト」が用意されている他、イベントの中でのみ判明する設定情報などもあるので、世界観同様つくり込みが尋常ではありません!
キャラクターゲーム一本に絞っても申し分ない分量!
尋常ではないテキスト量とボイス量
そして、忘れてはいけないのがテキスト量。本作、テキストの量も凄まじいんですよね!
というのも、単純にストーリーが長いだけでなく、ストーリー分岐に合わせてキャラクターのセリフが事細かく変わる仕様になっているんですよ。
例えば、スカウトシステム*2で他クラスから引き抜いてきた場合においても、違和感の無いように、散策パートで章ごとに特定のセリフが用意されています。
作りが丁寧過ぎて、このルートではこの反応だけど、他のルートではどんな反応をするんだろう?とつい気になってしまうんですよね。
そしてそして、これら全てフルボイスなんです!1作品でここまでのテキストとボイス量を収録している作品はそうはないのではないでしょうか。
最初にプレイした時は、あまりにリッチすぎて唖然としてしまいました。
学園編とのギャップが凄まじい戦争編
学園編、コンテンツボリューム。前に上げたこの2つだけでも、お腹いっぱいになるくらいの内容ですが、本作にはまだ独自の強烈な個性があるんですよね。
それこそが、本編の後半部にあたる「戦争編」です。
本作、2部制を採用していて前半部の学園編の終了と主に戦争編に突入する仕様になっています。この戦争編が色々な意味で凄まじい内容でした!
(細かくはネタバレになってしまうので、新鮮な感覚で遊びたい方はスキップください。)
ネタバレ(クリック)
まず、ものすごいのが修道院で一緒に学園生活を過ごした生徒たちと、刃を向け合う展開が用意されていることです。
戦闘マップで登場する彼らは容赦なく、こちらを攻撃してくるので、こちらも倒さざるを得ないんですが、倒すとですね、なんと死んでしまうんですよ。*3
しかも死亡演出時には特殊なカットインと断末魔のセリフが入るので、最初はとにかく衝撃的でした。
これだけでもめちゃめちゃなインパクトだった戦争編ですが、このパート、本作のスカウトシステムによって、更に悪趣味な内容に仕上がってます。
というのも、ルートによってはですね、親友同士や家族同士で殺し合いをさせることが出来てしまうんです。
恐ろしいのが、これをさせろと言わんばかりに戦闘時には、専用会話が用意されていること!もう、開発陣には人の心がないのかw!
ぼくとしては正直、ここまでの鬱な内容は苦手ではあるんですが、ここまで細かく作り込んでいるのであれば、逆に美しいような気さえしてきてしまったので、作り込みに脱帽してしまいましたね。
そりゃー道徳0点とか言われるわ…。
シリーズの良さを継承している成長システム
これまで色々な本作の魅力を紹介してきましたが、じゃあ遊んでいて何が一番面白かったか?と聞かれると、個人的には成長システム、育成要素を押したいです。
本作、とにかく育成系シミュレーションRPGとしての質が高かった。というのも、とにかくカスタマイズ性が高いんですよ。
本作、従来のシリーズとは異なり、技能値というステータスを成長させていくことによって、色々な職業への転職が可能になるシステムを採用しています。
この技能値、授業というシステムによって上がっていくんですが、キャラクターごとに成長する値をプレイヤーがコントロールできるんですよ。
ということはですね、例えば、いかにも魔導士っぽい子をアーマーナイトにしたり、剣士っぽい男を魔術師にしたり、色々な育成を行うことが出来てしまうんですよね。*4この自由度はたまらなかった!
また、転職を何度も重ねていくシステムも良かったです。
本作は転職(シリーズのクラスチェンジ)を行っても、レベルがリセットされないため、気軽に転職が行えるんですよ。
クラスによって、得られる戦技(※後述します。)やスキルなどは異なるので、どういう職業を経由してユニットを成長させていくのか?ということを、かなり練って行うことが出来るようになっていました。
周回時にも得られたスキルは引き継げるので、どんどんと強くなっていくキャラクターを作っていくのは、めちゃめちゃ楽しかったですね♬
ぼくは3周ともお世話になったヒルダの姉貴がお気に入り!
奥深い戦闘システム
育成システムと同様、戦闘に関してもシリーズの良さはそのままに独自の進化を遂げていました。本作特有のポイントでいうと、「計略」や「戦技」が特徴的。
計略は、数回のみステージ内で反撃不可の攻撃、補助、回復などを行えるシステム。
ステータスの魅力を参照するのが面白いポイントで、反撃不可の一撃をメインにステージ攻略のカギになってくれます。
戦技に関しては武器の耐久値を捧げる代わりに発動できる必殺技のような物。こちらも、通常攻撃では出せない瞬間火力を起こせるので、強敵戦で重宝します。
この他にもストーリーで登場する「英雄の遺産」のカスタマイズ性が高いことや、ステージ内に砲台などの攻撃ギミックが用意されていることで、戦闘パートも自由度が高いのが面白く感じました。
総じて、育てたユニットを存分に活躍させられる戦闘の場が用意されていて楽しかったです!
遊びやすさを提供する親切設計
これまで本作の色々なポイントを説明してきましたが、かなり多くの要素がありますよね?ここまで色々あると、
みたいな感じで、人によってはマッチしない部分も出てきてしまうかと思うんですが、本作、そういうことも想定して、幅広い人が楽しめるような親切設計になっていました!
例えば学園パートに関して、遊びたくないユーザーは丸ごとスキップすることも可能です。
実際に、スキップコマンドによって月末まで丸ごとスキップできる仕様になっていますし、難易度ノーマルくらいなら、スキップしてもなんとかなるゲームバランスになっているんですよね。
これ以外にも、様々な点で親切だなと感じる仕上がりでした。具体的に挙げると,,,
・エコーズのミラの歯車と同効果の「天刻の拍動」によって、戦闘中に時間を戻すことが可能。(使用制限有り。)
・難易度は、ノーマル。ハード、ルナティックから選択可。ゲーム中に、ハード⇒ノーマルへの切り替えも可能。(逆は不可。)
・戦闘の演出は全部カット可能。
・敵のターンもワンクリックでスキップ可能。
・ボイス設定によって、音声OFFにすることも可能。
・シリーズ恒例のクラシックモード(キャラロスト有り)も搭載。
と、ざっと挙げただけでもこれだけあります。
ここ最近のFEシリーズの流れを汲み、より多くのユーザーが楽しめるような工夫が盛り込まれていて素晴らしかったですね。
戦争を感じさせるサウンド
サウンド面はここ最近のシリーズの流れに沿ったテーマ中心の作りが目立ちました。
メインテーマのフレスベルグの少女を中心とした曲数がかなり多いですし、印象的な使われ方をするので耳にも残ります。
加えて、本作特有のポイントとしてはやはり二部の戦争を軸にしたようなサウンド。
特に二部の汎用戦闘BGMである「野望の地平」はあまりのいかつさに最初はビックリしましたが、容赦のない雰囲気にはめちゃめちゃマッチしています。
個人的一押しは「天と地の境界」。本編でも重要な戦いで流れるんですが、戦争の無情さと虚しさを存分に詰め込んだ、本作を象徴するような曲に仕上がっています。このサウンドによって臨場感が倍増しているので、演出として素晴らしかった!
戦争って、虚しいね...。
気になった点
とっつきが悪く、重い
本作が持つ莫大なゲームスケール。素晴らしいとは思うんですが、一方でそれ故に気になる所もあるにはありました。
個人的に気になったのはお手軽さが無くなってしまった点です。例えば1ステージのボリュームも過去作より増えましたし、キャライベントも内容が濃くなった分かなり長くなりました。
カスタマイズできるスキルの幅も大幅に増えましたが、それ故に最初は何を組み合わせればいいのかよく分からないですし、戦闘もゴチャゴチャしていてすんなり入ってきません。
ゲーマー向けの大作として進化した分、ちょっとどっしりしてしまったような感覚は残ってしまいました。これはこれでいいとは思うんですけどね。
周回がめんどくさい
周回に関しては、やや仕様がいまいちに感じました。
特に気になったのはどのルートでも前半部の話の展開が大きく変わらないこと。
その上で、周回引継ぎすると敵も弱く感じますし、一度クリアしたステージを面白くさせるような工夫もない。それでいて、まあまあ長いので、何周もしているとダレてきてしまいます。
ぼくは実際それでダレて、3周目のクリアには2年半も空いてしまいました。
個人的には周回前提の作りにするのであれば、もう少し短くまとめるか、こちらの周回に合わせて敵が強化されるとか、そんな仕掛けがあるとがより良かったのかなと。
表現的に違和感の残る二部制の仕様
二部制に関しては、表現的にややいまいちな点があるのが気になりました。というのも、基本システムは学園編と変わらないんですよね。
そのため、戦争時にも関わらず月末に戦闘パートがあるゲーム進行に変更はないので、ルートによっては表現的に違和感を感じてしまう部分がありました。(特に青ルート。)
このほかにも、戦争編は全体的に展開に向けて話の進め方が強引なポイントがいくつかあるので、ん?ってなる所もぼちぼち。
あれはあれで好きなんですけど、前半部が丁寧な作りだっただけにちょっと気になりました。
全体的にIS味が足りない
本作、開発チームに関してはコーエーテクモが深くかかわっており、これまでのシリーズを手掛けていたインテリジェントシステムズが、あまり関わっていません。
引用:FE風花雪月インタビュー vol.2-1【フォドラの世界ができるまで 前編】〜開発体制とキャラクターデザイン秘話〜 – Nintendo DREAM WEB
そのためなのか、作品のテイストや雰囲気はここ数作とは若干違ってます。
これによって、良くなったポイントも多かったとは思うんですが、個人的にはISらしい癖のあるキャラクターの味やセンスの光るテキスト面が、あまり見られなかったのがちょっと残念にも感じました。
特にキャラクター同士の関係性に関しては、覚醒やIfの描写が好きだったので、ちょっと物足りなかったです。
子世代システムも賛否ありましたが、ぼくは好きなシステムだったので、あれがないのも寂しかった。(まあ、本作の世界観であれをやったら浮いただろうけど。)
まとめ
以上、感想まとめでした。いやー、ようやく今作の感想記事をあげられて嬉しいです。
2019年にプレイした当時はあまり余裕がなかったので、作品自体もやりきれなかったし、いつかクリアして感想を書きたいなと思っていたんですよね。ようやくできました。
全体的には、とんでもないほどのコンテンツボリュームと、意欲的なシステムを両立させた見事な作品だったのかなと。
正直、シビアする作品のテイストはそこまで好きではないんですが、そういう個人の好みを凌駕するほど、細かく作りこまれた部分に魅了されてしまいました。
ここまで膨大な内容が詰め込まれた作品はRPGに幅を広げても、そうはないレベルなので、シミュレーションRPGに抵抗のない方は是非遊んでみて欲しいです!