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【レビュー】ペルソナ5 タクティカ【感想】ペルソナシリーズとしてはいまいちだが、X-COMフォロワー作品としては中々の面白さ!

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どうも、ば~んです。

 

今回は「ペルソナ5 タクティカ」の感想記事です。

プレイ時間は本編で25時間、追加のDLCコンテンツで5時間弱だったので併せて30時間程度でしょうか。この時代にゲームとは思えないほどのサクッとした内容ですぐクリアできてしまいました。

一応DLC側はクリア後にやり込み要素が出ていたので、それを遊べばもう少し伸びそうですが、正直、価格帯的にはもう少しボリュームは欲しかったですね。

のゲームのポイント!ペルソナ5×X-COM の組み合わせで送るシミュレーションRPG。
・本編クリア後かつ、P5Sの前の時系列を描いたストーリー。
・価格帯の割にボリューム、コンテンツ量ともに薄く少なめ。

ペルソナ5×X-COMという斬新な組み合わせのシミュレーションRPG

本作、ジャンルとしてはシミュレーションRPGなんですが、より正確にいうと俗にいう「X-COM」系列の作品になります。他のゲームで言うと「マリオ+ラビッツ」とかあそこらへんに類似している感じ。


それをペルソナ5とミックスさせているので、題材としては中々新鮮。ペルソナ5はQとか無双とかダンシングとか、色々な派生作品が出ていますが、それに続いて今度はシミュレーション方面と、幅広いジャンルに手を伸ばしているのが印象的ですね。

なんだかんだペルソナ5本編からもう7年も経つんだなあ…。

 


ペルソナ5本編との繋がりとしては、本編ラスボス撃破後~エンディング直前ということで、P5Sよりちょっと前の時系列を描いている形なのかな。なのでまあ、本編をプレイしないと遊ぶのはちょっときつい感じかも。まあ、これはペルソナ5の派生作すべてに言えることなので当然と言えば当然ですが。

全体的にみると、ちょっと内容的に手放しに褒められるような出来ではなかったんですが、それでも良い部分はしっかりあったので、下記でポイント含めて紹介していきます。

ペルソナ要素をX-COMに落とし込んだ面白さ

本作の一番の良さは、X-COMのシステムにペルソナ要素を落とし込みつつ、しっかり面白さを残していることです。


この系列のシミュレーションゲーム、一番の肝は1ターンの中にどれだけアドバンテージを稼げるのか?という所で、そこが上手くいったときの気持ちよさが売りだと思っているのですが、その部分は本作もバッチリでした。


例えば、障害物に隠れていない相手を攻撃すれば敵がダウン+1moreアクションが発生して再行動できるし、高所から敵を下に落とした際には追い打ちが発生してこれまた再行動可能。ペルソナ5のバトル要素をX-COMに上手く落とし込んでいて感心しました。


それでいて一番良いのが、ダウン状態を3人で囲ったときに発生する総攻撃。囲む、というのが重要なところで、範囲制限がないので、やり方によっては広範囲の敵をまとめて攻撃できるんですよ。うまい具合にキャラ配置を変えながら、再行動を繰り返して、敵を囲んでせん滅って流れが、最高に気持ちいい!

 


正直、本作このメインシステム以外はそこまでいい部分ないと思っているんですが、このシステムそのものは遊んでいる分にはかなり面白く感じられたので、出来は良いと思います。

敵を動かす要素を組み込んだスキル要素

バトルのもう一つのポイントは、ペルソナにおけるスキルの位置づけです。

本作では、恒例のジオやガルのような魔法は敵を動かす用途として用いられるスキルになっていました。


基本的に敵は障害物に隠れていて、その状態だとダウンが取れないんですよ。そんな時にガルを使って敵を吹き飛ばしたり、ジオで感電させたりと、ガードを解くことが出来るんですよね。


なので、誰がどのスキルを使って敵を引っ張り出すか、そのうえで誰がダウンを取ってステージを歩き回るのか、ということを考えながら遊ぶことが出来るのが楽しかったです。

結局スキル自体の個性はダウンの前座という感じなのはたまにキズではありますが、位置というポイントをスキルに盛り込んだ発想は悪くなかったのはないかと。本作の個性にはつながっていると思います。

やり応えのあるクエスト難易度が楽しい!

本作、難易度ノーマルだと全体的にかなり簡単な塩梅で、ステージのやりがい的にそこはちょっと残念だったんですが、各章に用意されているクエストはやり応えあってよかった!


例えば、結構な数の敵を「1ターンで全滅させろ!」みたいなミッションがあるんですよ。一見不可能に見えるんですが、ダウンでの1moreや、突き落としでの1moreを上手く活用すれば、広範囲を移動して、総攻撃で巻き込めば何とかなってしまうんですよね。


本編難易度だと、正直ある程度適当に遊んでもクリアできてしまうので、そこまで手ごたえはなかったんですが、こっちは結構ちゃんと試行錯誤して、ルートや筋道を考える必要があったので、このジャンル本来の良さが存分に活かされていて、とても楽しかった。

欲を言えば、もう少し数が多ければより良かったですけどね。

本編とは別の遊びを提供している「Repaint Your Heart」

本作、追加DLCとして「Repaint Your Heart」という本編とは別のエピソードが配信されているので、こちらに関しても紹介。


ストーリー的には本編のパラレル前日譚のような感じ。登場するキャラは主人公の他、明智吾郎と芳澤かすみというペルソナ5Rの3学期編を彷彿させる組み合わせになってます。内容としては、5時間足らずのもので短いんですが、本編とは違った遊びを提供している点は面白かった!


面白いのが、ゲームシステムに色の概念を追加していること。フィールドには敵と味方で色が合って、相手の色の上に立っている状態で攻撃を受けるとダウン、逆に自分の色の上に立っていればダウンしないという、本編とはちょっと違った塩梅になっています。

つまり、スプラトゥーンということ。


障害物に隠れていても、ダウンするときがあったりするので、個人的には本編よりも難しく、試行錯誤の幅は広いように感じました。


ストーリーは本編と同じく、短すぎてあまり見所はありませんが、明智芳澤の空気感はやっぱりちょっとレアな感じがして、ぼくは見てて楽しかった。音楽面も出来が良いですので、単体としてみればこちらは良作だったかなと思います。

相変わらず聞きごたえのあるサウンド

サウンド面は安定の出来でした。方向性としてはQシリーズとか、ストライカーの一部の曲に近く感じたので、たぶんメイン担当は小西さん辺りなのかな。特にラスボス戦付近の曲はめっちゃペルソナQ感あって、ちょっと懐かしい気持ちになりました。

 

5シリーズらしくLyn氏が担当するボーカル入りの曲も多く、オープニングの「Revolution in your Heart」を筆頭に熱い曲もあり耳に残ります。ただ、シミュレーションRPGということもあり、全体的にはやや落ち着いた曲が多かったかもしれない。



一番好きだったのは、DLC編の通常戦闘曲「The Night We Stood」。ちょっと気ダルイ感じのラフな曲調がグラフィティをテーマにした内容と絶妙にマッチしているし、サビも盛り上がるので聞いていて楽しい曲でした。ペルソナ5にはありそうでなかったタイプの曲なので新鮮味もあってよかった。

 

サビをバックに総攻撃を決める気持ちよさよ!

 

気になった点

物足りないコンテンツ量

本作、一番気になったのは価格帯に対してのコンテンツ量の少なさです。本編はクエストやアワードを全てやり込んでも、精々25時間が限度の内容。追加エピソードの「Repaint Your Heart」にしても、精々5時間くらいの内容なので、併せて30時間弱。

これが両方収録されていて1本8000円なら、まあまだ分かるんですが、わざわざ別売りで出している所は足元見られてる感じがしてどうしても良い印象が持てません。

加えて、短いボリュームの中に内容が詰まっているのであれば許容できる部分もありますが、残念ながら本編は終盤のステージはほぼ使いまわしで、ギミックやボスの数も少ないです。

シリーズ初のシミュレーションゲームだったので、ノウハウが足りなかったのでしょうか?過去外伝作と比べても明らかに内容が物足りないので、定価での購入は残念ながらあまりおススメできません。

パッとしないメインストーリー

メインストーリーはですね、悪くはないと思います。内容はきちんと本編の内容に沿った上でそれを補強するものにはなっているので。


ただ、やはりパッとしない。内容的にはほぼ「春日部 統志郎」という新キャラに焦点を当てたものになっていて、彼の物語としては、綺麗にまとまっているので、彼自身と新キャラのエルはいいキャラだったとは思うんですが、じゃあそのうえでペルソナ5のストーリーラインでやる必要性が合ったかと言われると、正直何とも言えず。


キャラクターの描写としては、本編後っていう所がポイントなのかもしれませんが、本編後は既にP5Sでやってしまっているので、新鮮味はなく。新キャラに焦点を当てて本編を補完していく流れはPQ2でも見たので、既視感が凄かった。

せっかく、ファンタジー世界での冒険という個性があったので、そこらへんでもう少しキャラクターのイベントとかあれば良かったような。いかんせんボリュームのないので、本作をプレイしないと見れない描写は薄く、そういう所も本作を人におススメしにくい点にもなってしまっているかと思います。

 

ちなみに、外伝の方は他だとほぼ登場してない芳澤かすみさんが登場する貴重なエピソードにはなっているので、そういう意味では個性はあると思います。本編に入れてくれー…。

あまり活きていないペルソナ周りのシステム

本作、全体的にペルソナの配合要素が死んでいるのも気になりました。というのも、前述した通りペルソナのスキルは敵を動かすときに有用なんですが、

正直な所、スキル自体はどれを使ってもそこまで効果が変わらないんですよ。結局総攻撃をベースにステージ攻略していく形になると思うので。

なので、キャラクターごとのペルソナに関しては、何を装備させようがさした差は感じられず。バフスキルに関しても、終盤まで行かないと有用なものはないので、ペルソナ配合が全く存在感がありませんでした。ここまで存在感ない作品初めて見たかも。



ペルソナを合体させて武器にする要素が合ったりもするんですが、それも別になくても困らないので、そこまで個性として意味があったといわれると何とも。

前述通り、初めてのシミュレーションゲームだったからなのか?システム自体は面白いかったものの、バランス周りの調整が上手くいっていない印象で、ペルソナ要素はその犠牲になってしまった感がありますね。

どこに向けた作品なのかよくわからない

ストーリーの部分の話と被る所もあるんですが、本作自体がどこの層をターゲッティングしたのかもよく分かりませんでした。

設定的にペルソナ5本編の後の時系列になるので、ペルソナ5を遊んでない層はプレイできない。かといって、P5Sのようなきちんとした後日談ではないし、コンテンツボリュームも少ないので、他の外伝作品と比べても見るべきところは少ないです。

ゲームシステム面は人によっては楽しめそうなので、ペルソナ5シリーズをプレイ済み、かつX-COMタイプのシミュレーションが好き、という層には刺さりそうですが、そんな狭い層は果たしてどのくらいいるのか…?

ペルソナ5題材でこのシステムをやりたい!という考えなのであれば、もう少し外伝ならではの特殊表現とか、新規のひとでも入りやすいパラレル工夫とか、そういうのがあったらよかったんじゃないかと思いました。現状はちょっと中途半端ですね。

 

そりゃこれじゃ売れないよね…。

 

まとめ

以上、感想まとめでした。

気になる点はかなり多い作品だったので、正直ペルソナ外伝作品としてはおススメできる内容ではありません。

ただ、一方でX-COMのフォロワータイトルとしては、ポイントしっかり押さえられていたかなと。難易度が簡単な所は課題ではあるものの、少なくとも、ぼくはステージ攻略していてそれなりに爽快感と試行錯誤を味合うことが出来たので、遊んでいて結構楽しかった。

なので、ペルソナ5ファンでそのジャンルが気になるor好きな人におススメという感じかな。

ジャンルとして目の付け所は良いと思うので、アトラスの別作品でこの形を継承してくれると、ぼくは喜ぶと思います。

アトラスさん、よろしくお願いします!